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  • 平成5年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 補助金

中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの


(169) −(172) 中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計(組織)中小企業庁(項)中小企業対策費
部局等の名称 東北、関東、中部、近畿各通商産業局
助成の根拠 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)
事業主体 山形県ほか3都県
事業の内容 中小企業者に対する無利子の設備近代化資金の貸付け
貸付先 4中小企業者
貸付金額の合計 72,430,000円
(国庫補助金相当額 36,215,000円)
不当貸付金額 46,556,380円
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 23,278,190円
 上記の4都県で4中小企業者に対して行った72,430,000円の貸付けにおいて,46,556,380円の貸付けが不当と認められ,ひいては国庫補助金相当額23,278,190円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

1 補助金の概要

 中小企業庁では、中小企業者の設備の近代化に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、中小企業設備近代化補助金を交付している。
 都道府県は、この補助金に自己資金等を合わせて資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、設備の設置に必要と認めた資金の額の2分の1以内の額を中小企業設備近代化資金として無利子で貸し付けている。その貸付金額は50万円以上3,000万円以下(平成6年2月10日以降は50万円以上4,000万円以下)、償還期間は原則として5年以内となっている。そして、借主は、貸付対象事業費のうち都道府県からの貸付金相当額を貸付年度中又は貸付金受領後1月以内に、残額を翌年度の9月30日までにそれぞれ支払うことなどが貸付けの条件となっている。

2 検査の結果

 この事業の実施について調査したところ、4中小企業者に対する72,430,000円の貸付けにおいて、借主が、設備の設置に必要な長期資金を金融機関から借り入れた後に重複して貸付けを受けたり、貸付けの条件となっている支払期限までに支払を完了していなかったり、設備を貸付対象事業費より低額で設置したりなどしていた。このため、46,556,380円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額23,278,190円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

これを都県別に示すと次のとおりである。

都県名 貸付先 貸付対象設備 貸付年月 貸付対象事業費
(同上に対する貸付金額)
貸付対象として適切でない事業費
(同上に対する金相当額)
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額

摘要


(169) 

山形県

運送業者

トラクタートラックほか 1

4.2
千円
35,418
(17、700)
千円
35,418
(17、700)
千円
8,850

貸付対象外
 この貸付けは,トラクタートラック及びトレーラー各2台の購入に必要な資金35,418,200円の一部として,17,700,000円を貸し付けたものである。借主は,これらの設備を貸付対象事業費どおりの額で購入し,その代金は,貸付けの条件となっている支払期限の平成4年9月30日までに支払ったとしている。しかし,実際は,これより低額な30,600,000円で購入し,その代金のうち12,366,266円については長期の手形払い(4年1月から7年12月までの48回払い)としていて,上記の支払期限までに支払を完了していなかった。
 したがって,本件設備は貸付対象にならないものである。
(170) 東京都 通信機械器具製造業者 立型マシニングセンタ 3.2 31,600
(15,800)
12,545
(6,272)
3,136 低額設置
この貸付けは,立型マシニングセンタ(注) 1台の設置に必要な資金31,682,800円(うち貸付対象事業費分31,600,000円)の一部として,15,800,000円を貸し付けたものである。借主は,この設備を31,682,800円で設置したとしているが,この額は契約額を水増ししたもので,実際は19,055,000円(貸付対象事業費同額)で設置していた。したがって,この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると9,527,500円となるので,本件貸付金額との差額6,272,500円が過大な貸付けとなっている。
(注) マシニングセンタ 工作機械の一種で,切削工具を自動的に交換しながら金属を加工するもの
(171) 三重県 食料品製造業者 冷凍冷蔵設備 3.11 26,522
(11,930)
7,932
(2635)
1,317 貸付対象事業費の過大計上
 この貸付けは,冷凍冷蔵設備一式の設置に必要な資金26,522,500円(うち貸付対象事業費分26,522,000円)の一部として,11,930,000円を貸し付けたものである。借主は,この設備を26,522,500円で設置したとしているが,この額については,貸付対象にならない事務所の電気設備工事費を含めて過大に計上しており,実際は18,589,440円(貸付対象事業費同額)で設置していた。
 したがって,この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると9,294,720円となるので,本件貸付金額との差額2,635,280円が過大な貸付けとなっている。
(172) 和歌山県 工具製造業者 プレス機 3.4  60,000(27,000) 44,330
(19,948)
9,974 重複融資
 この貸付けは,プレス機1台の設置に必要な資金60,000,000円の一部として,27,000,000円を貸し付けたものである。しかし,借主は,この貸付けを受ける以前に,上記の貸付対象事業以外の基礎工事等の費用を合わせ事業費総額67,051,400円を対象として中小企業金融公庫から長期資金60,000,000円を借り入れており,この設備の設置について重複して貸付けを受けていた。
 したがって,この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると7,051,400円となるので,・本件貸付金額との差額19,948,600円が過大な貸付けとなっている。
(169)−(172) の計  153,540
(72,430)
100,225
(46,556)
23,278