ページトップ
  • 平成5年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第1 住宅金融公庫|
  • 不当事項|
  • 貸付金

団地住宅購入資金の貸付けが不当と認められるもの


(215)−(217) 団地住宅購入資金の貸付けが不当と認められるもの

科目 (貸付金)個人住宅貸付
部局等の名称 名古屋、南九州両支店
受託金融機関 株式会社東海銀行ほか1金融機関
貸付けの根拠 住宅金融公庫法(昭和25年法律第156号)
貸付金の種類 団地往宅購入資金
貸付けの内容 民間事業者が計画的、集団的に建設した分譲住宅を自ら居住するために購入する者に対する資金の貸付け
貸付件数 3件
貸付金の合計額 56,500,000円
不当貸付金額 56,477,059円

 上記の2支店で行った3件56,500,000円の貸付けにおいて、56,477,059円の貸付けがその目的に沿わない結果になっていて、不当と認められる。

1 貸付金の概要

 住宅金融公庫(以下「公庫」という。)は、自ら居住するために住宅を必要とする者や、その者に住宅を建設して譲渡又は賃貸する事業を行う者等に対し、住宅の建設及び購入に必要な資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
 公庫では、住宅の種類等に応じて各種の資金を貸し付けており、その中に団地住宅購入資金がある。
 団地住宅購入資金は、民間事業者が計画的、集団的に建設した分譲住宅を自ら居住するために購入する個人に貸し付けるものであり、この貸付けは原則として1世帯1口に限られている。
 そして、この資金の貸付けに当たっては、〔1〕 借入申込者が自ら居住するため住宅を必要とし貸付対象住宅に居住すると認められる者であるか、〔2〕 1世帯1口の申込みであるかなどについて審査を行うことになっている。また、貸し付けた後には、貸付けの対象となった住宅が自らの居住の用に供されているかなどについて調査し、用途変更等の事実が判明した場合は貸付金の繰上償還等の措置を執ることになっている。これらの審査及び調査については、公庫が自ら行うほか金融機関にも行わせている。

2 検査の結果

 公庫の貸付けについて調査したところ、3件56,500,000円の貸付けにおいて、56,477,059円の貸付けが不当と認められる。これらは、貸付けに当たっての審査が十分でなかったり、貸付後の調査を怠ったりしたため、資金が貸付けの対象とならない者に対して貸し付けられていたり、住宅が貸付けの目的外に使用されていたりしていたものである。

 これを貸付先別に示すと次のとおりである。

支店名

貸付先

貸付対象
(所在地)
貸付年月
(貸付利率)
貸付金額 貸付金額のうち不当と認める額

摘要

(受託金融機関名)
千円 千円
(215) 名古屋支店
(株式会社東海銀行)
会社員
(妻)
住宅の購入
(名古屋市)
3.3
(年5.3%11年目以降年6.3%)
18,800
(5,900)
18,800

貸付対象外

(216)
(同)
会社役員
(夫)
住宅の購入
(同)
3.3
(年5.3%11年目以降年6.3%)
18,900
(5,400)
18,900

 上記2件の貸付けは、夫婦である2人の借入者に、それぞれ1戸ずつの住宅の購入に必要な資金39,560,000円(妻に対する貸付けに係る分)及び45,600,000円(夫に対する貸付けに係る分)の一部として、18,800,000円及び18,900,000円を貸し付けたものである。
 しかし、上記のとおり、2借入者は夫婦であって、1世帯2口の申込みとなっていたにもかかわらず、受託金融機関ではこれを見過ごして、それぞれに1口ずつの貸付けを行っていた。そして、2借入者は、実際に、本件貸付けの対象となった住宅に当初から居住しておらず、これらの住宅にそれぞれ親族を居住させていた。
 なお、本件の不当貸付金残高18,540,780円及び18,644,085円については、平成6年8月に繰上償還された。
(注) 貸付金額欄の( )書きは、借入者の希望による特別加算額を内書きしたもので、これについては当初から年6.3%の貸付利率が適用されている。
(217) 南九州支店
(株式会社熊本ファミリー銀行)

会社員

住宅の購入
(熊本市)

2.5
(年4.55%11年目以降年5.2%)
18,800
(6,800)
18,777 目的外使用
 この貸付けは、住宅の購入に必要な資金18,864,000円の一部として、18,800,000円を貸し付けたものである。そして、この住宅については、受託金融機関が公庫の指示により平成5年9月にその使用状況の調査を行い、貸付けの目的どおり使用されているとしていた。
 しかし、実際は、借入者は、本件貸付けの対象となった住宅に当初の約4箇月間居住しただけで継続して居住しておらず、5年3月までは親族を、同年4月以降は第三者を居住させていた。また、受託金融機関も上記の使用状況の調査を行っていないにもかかわらず、これを行ったこととして事実と相違した報告をしていた。
 なお、本件の不当貸付金残高18,434,637円については、6年1月に繰上償還された。
(注) 貸付金額欄の()書きは、借入者の希望による特別加算額を内書きしたもので、これについては当初から年5.2%の貸付利率が適用されている。
(215)-(217) の計 56,500 56,477