ページトップ
  • 平成5年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第6 住宅・都市整備公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

コンピュータヘのデータ入力の業務委託契約における入力作業の仕様を適切なものとするよう改善させたもの


(1) コンピュータヘのデータ入力の業務委託契約における入力作業の仕様を適切なものとするよう改善させたもの

科目 (住宅・都市整備勘定)(項)管理諸費
部局等の名称 住宅・都市整備公団本社
契約名 データエントリー処理業務ほか2契約(単価契約)
契約の概要 本社のコンピュータにより、各種報告書の作成、情報のオンライン検索等を行うために、各支社等から送付されるデータの入力作業等を委託するもの
契約の相手方 株式会社住宅共栄及び株式会社日本情報開発
契約 平成4年11月及び5年9月
支払金額 平成4年度分 64,098,647円
平成5年度分 94,353,679円
158,452,326円
節減できた委託費 平成4年度分 720万円
平成5年度分 670万円
1390万円
<検査の結果>
 上記の業務委託契約において、コンピュータヘのデータの入力作業に当たり、データ入力装置の機能を活用することにより、委託費を約1390万円節減できたと認められた。
 このような事態が生じていたのは、データ入力装置にデータ入力を効率的に行う機能があるのに、これについての検討が十分でなかったことなどによると認められた。

<当局が講じた改善の処置>

 本院の指摘に基づき、住宅・都市整備公団では、平成6年11月に、業務委託契約の変更契約を締結し、データ入力装置の機能を活用したものとするようデータ入力作業の仕様を改めるなどの処置を講じた。

1 業務委託の概要

(業務の概要)

 住宅・都市整備公団本社(以下「公団」という。)では、コンピュータシステムにより、各種報告書を作成したり、情報のオンライン検索等を行ったりするために、これらに必要なデータの入力等の業務を、平成4、5両年度に、株式会社住宅共栄及び株式会社日本情報開発に委託して行わせている。この委託費の支払額は、4年度契約分64,098,647円、5年度契約分94,353,679円、計158,452,326円となっている。

(データの入力方法)

 これらの委託業務は、各支社等から本社に送付される455種類の住宅管理等に係る帳票(以下「入力帳票」という。)に記載されている入居者名、住戸番号等のデータを、キーパンチャーがデータ入力装置のキーボードを打鍵して入力し、磁気テープに記録する作業(以下「データ入力作業」という。)を行わせるものである。このデータの入力項目の種類としては、〔1〕 団地コードや住戸番号コードのように入力するデータの長さ(桁数)が固定されている項目(固定長項目)と、〔2〕 入居者名や家賃のように、入力するデータの長さが固定されていない項目(可変長項目)とがある。(参考図参照)
 そして、この委託業務の実施方法には、委託先のキーパンチャーが公団の施設内でデータ入力作業を行うものと、委託先の施設内に入力帳票を持ち込み行うもの(以下「外部処理」という。)とがある。

(委託費の算定及び支払)

 本件の業務委託契約における委託費の算定についてみると、公団の施設内でデータ入力作業を行う場合は、人件費相当の定額(月額)としている。一方、外部処理に係る委託費については、公団では、コンピュータにより、委託先から納入された磁気テープの入力データを、英数字・カナ文字等(以下「英数字等」という。)と漢字の2種類に区分してそれぞれの入力文字数を算出し、この入力文字数にそれぞれの入力単価を乗じて算定することとしている。
 この外部処理に係る委託費の支払額は、4年度契約分64,098,647円、5年度契約分52,626,319円、計116,724,966円となっている。

2 検査の結果

(調査の観点)

 一般に、コンピュータにより各種の業務を処理する場合、データの入力作業に多くの人手と時間が必要となることから、これらの省力化のため、データ入力装置には、データ入力を効率的に処理するための機能が備えられている。
 そこで、本件のデータ入力作業の仕様が、データ入力装置の持つ効率的な機能を考慮したものとなっているかなどについて調査を行った。

(調査の結果)

 調査したところ、本件の業務委託契約のうち外部処理について、次のような事態が見受けられた。
 公団では、外部処理のデータ入力作業について、本件の業務委託を開始した昭和56年度の契約で定めた仕様書に基づき行うこととしている。これによれば、各入力帳票に記載されている英数字等を入力する場合、入力データの項目と項目の間を区切るために、磁気テープ上では1桁分の空白(スペース)が必要となるため、データ入力装置のキーボードの「スペース」キーを打鍵して、このスペースを入力することとしている(以下このスペースを「項目間スペース」という。)。そして、この項目間スペースは、委託費の算定基礎となる英数字等の入力文字数に含めることとしている。
 しかし、データの入力に当たっては、一般的には、入力帳票に応じた入力フォーマット(注) をデータ入力装置にあらかじめ登録しておき、これを表示画面に呼び出し、表示に従ってデータを入力する方法が採られている。そして、この方法によれば、固定長項目の場合には、データの最終桁を入力したときに、データ入力装置の機能により自動的に項目間スペースが挿入されるため、「スペース」キーを打鍵する必要はないこととなる。
 そして、本件のデータ入力作業でも、各入力帳票について、この入力方法を採ることが可能であり、これによれば、固定長項目の場合には、「スペース」キーの打鍵が不要となるので入力文字数が減少し、これを基にして算定する委託費は低減することになる。
 したがって、本件業務委託契約に当たっては、上記のデータ入力装置の項目間スペースを自動的に挿入する機能を活用するよう、データ入力作業の仕様を改めて、委託費の節減を図る要があると認められた。

(節減できた委託費)

 本件の業務委託契約について、平成6年に実施したデータ入力業務における上記の項目間スペースの英数字等の入力文字数に占める割合を調査したところ、その割合は約14%となっていた。
 そして、4、5両年度の外部処理に係る委託費1億1,672万余円について、入力文字数の算出に当たり、この14%相当分を差し引くこととして、委託費を計算すると、1億0277万余円となり、委託費の支払額を約1,390万円節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、データ入力装置の機能を活用することにより、データ入力を効率的に行う方法があるのに、データ入力作業の仕様を定める際にこれについての検討が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、公団では、6年11月に、本件業務委託契約の変更契約を締結し、データ入力装置の機能を活用したものとするようデータ入力作業の仕様を改めるなどの処置を講じた。
(注)  入力フォーマット データ入力用の補助プログラム。表示画面に、入力しようとするデータの項目名、桁数を表示し、また、固定長項目の最終桁にデータを入力したとき、項目の区切りに必要なスペース等を自動的に挿入するなどの機能を備えたプログラム

(参考図)

(参考図)