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  • 平成5年度|
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中小企業高度化資金の貸付けが不当と認められるもの


(227) 中小企業高度化資金の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 中小企業事業団
貸付けの根拠 中小企業事業団法(昭和55年法律第53号)
貸付金の種類 共同施設資金貸付金
貸付けの内容 中小企業者に対し中小企業高度化資金の貸付けを行う都道府県に対する資金の貸付け
貸付先 千葉県
貸付金額 58,242,000円
県の貸付先及び貸付金額 事業協同組合(松戸市所在)90,137,000円
県の不当貸付金額 38,608,012円
貸付けの目的に沿わない事業団の貸付金相当額 24,946,557円
 上記の県で中小企業者に対して行った90,137,000円の貸付けにおいて、38,608,012円の貸付けが不当と認められ、ひいては中小企業事業団の貸付金相当額24,946,557円が貸付けの目的に沿わない結果になっていると認められる。

1 貸付金の概要

(制度の概要)

 中小企業事業団(以下「事業団」という。)は、中小企業事業団法(昭和55年法律第53号)に基づき、中小企業者が企業規模の適正化、事業の共同化、工場・店舗等の集団化等を図るための事業の用に供する土地、建物その他の施設の取得等を行う場合に、これに必要な資金として中小企業高度化資金の貸付けを行う都道府県に対して、その財源の一部を貸し付けている。その貸付条件は、貸付利率を無利子から年4.1%までとし、償還期限を20年以内とじている。
 都道府県は、この借入金に自己資金を合わせて中小企業者に貸し付けている。その貸付条件は、貸付利率を無利子又は年2.7%とし、償還期限を上記と同様20年以内としていて、極めて低利かつ長期のものとなっている。
 そして、事業団が都道府県に中小企業高度化資金を貸し付ける場合は,あらかじめ都道府県において借入申込者の事業計画について診断を実施し、事業団はその事業計画の内容を審査したうえ妥当と認めたものについて貸し付けることとしている。

(本件貸付金の概要)

 事業団は、平成3年12月、千葉県に対して共同施設資金貸付金58,242,000円を年利率4.1%で貸し付けていた。同県は、上記の貸付金に県費を合わせて財源とし、同年同月、松戸市所在の事業協同組合(以下「組合」という。)に対して、組合会館延べ622.08m2 等の設置に必要な資金139,256,000円(うち貸付対象事業費分138,673,000円)の一部として90,137,000円を年2.7%の利率で貸し付けていた。

2 検査の結果

 上記の貸付けについて調査したところ、組合は、組合会館等を139,256,000円で設置したとしているが、実際は、契約額を水増ししたり、値引きを受けたりなどして79,820,000円(うち貸付対象事業費分 79,275,763円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付金額は51,528,988円となり、本件貸付金額90,137,000円との差額38,608,012円(うち事業団の貸付金相当額24,946,557円)が過大な貸付けとなっている。
 これは、同県が4年2月に実施した完了検査において、事業費の支払状況の確認が十分でなかったことなどによると認められた。
 なお、本件の不当貸付金残高35,635,001円(事業団の貸付金相当額23,025,546円)については、6年10月に繰上償還された。