科目 | (項)用地対策費 |
部局等の名称 | 北海道支社ほか8支社 |
契約名 | 土地追跡調査(札幌地区)ほか35件 |
契約の概要 | 所有権の移転禁止等の条件を付して売却した土地について、その履行状況の追跡調査を請負により行わせるもの |
契約の相手方 | レールシティ東開発株式会社ほか7会社 |
契約 | 平成4年7月〜12月 随意契約 |
平成5年7月〜12月 随意契約 |
支払額 | 平成4年度 | 161,316,540円 |
平成5年度 | 177,337,160円 | |
計 | 338,653,700円 | |
節減できた請負費 | 平成4年度 | 1560万円 |
平成5年度 | 1770万円 | |
計 | 3330万円 |
<検査の結果> |
上記の契約において、調査結果の報告書類のうち、売渡しの条件に違反する土地がある場合に追加していた報告書類の作成を請負業務から除外して自ら行うこととし、これにより積算したとすれば、請負費を約3330万円節減できたと認められた。 |
<当局が講じた改善の処置> |
本院の指摘に基づき、日本国有鉄道清算事業団では、平成6年9月に、土地追跡調査の請負業務から、上記売渡しの条件に違反する土地についての報告書類の作成を除外することとして、業務の示方書の改正を行うとともに、積算の基準について所要の改正を行い、同月以降締結する請負契約から適用することとする処置を講じた。 |
1 業務の概要
日本国有鉄道清算事業団(以下「事業団」という。)の北海道支社ほか8支社(注)
では、売却した土地の追跡調査をレールシティ東開発株式会社ほか7会社に随意契約により請け負わせて実施している。そして、その支払額は、平成4年度に20契約で161,316,540円、5年度に16契約で177,337,160円、計36契約で338,653,700円となっている。
この土地追跡調査は、投機的取引による地価高騰を防止するなどのため一定期間の所有権移転を禁止するなどの条件(以下「売渡し条件」という。)を付して売却した土地について、その履行状況を把握し、売渡し条件違反の防止を図るために実施するものである。
そして、その業務は、事業団本社制定の「土地追跡調査標準示方書(案)」(以下「示方書」という。)に基づき、売却した土地の現況を実地に確認するほか、法務局から登記簿謄本を徴するなどして売渡し条件違反の有無等を調査のうえ、所定の報告書類を作成又は整備し(以下、この作成等の業務を「収集資料整理業務」という。)、現況写真、登記簿謄本等を添えて事業団の各支社に提出するものとなっている。
収集資料整理業務の主な内容は、示方書によれば、次のように3種類の報告書類を作成又は整備するものとなっている。
(ア) 調査した土地1件ごとに、土地の概要、売渡し先、売渡し条件、調査の結果判明した違反の有無、違反の内容等を記載した契約履行調査整理表を作成する。
(イ)同じく、調査した土地1件ごとに、事業団が土地の管理のため作成し、売渡し条件の履行状況等を記録している土地管理カードに、調査結果を追記し、同カードの内容を整備する。
(ウ) さらに、売渡し条件に違反(違反の疑いがある場合を含む。以下同じ。)する土地について、その所在地、売渡し先、売渡し条件違反の内容等を記載した一覧表である契約違反対応措置表を作成する。この表には、事業団が執った対応措置を記入する欄が設けてあり、事業団では当該措置を執ったときに同欄にその内容を記入し整理する。
上記の収集資料整理業務に要する費用(以下「収集資料整理費」という。)については、事業団本社制定の「土地追跡調査積算要領(案)」(以下「積算要領」という。)に基づき、上記3種類の報告書類の作成又は整備等に要する作業時間により算出した土地1件当たりの所要人工数に、労務単価及び調査件数を乗ずるなどして積算している。そして、前記の支払額のうち収集資料整理費相当額は、4年度61,857,773円、5年度69,147,758円、計131,005,531円となっている。
2 検査の結果
上記のように、示方書では、契約違反対応措置表は売渡し条件に違反する土地についてのみ作成することとなっているが、積算要領では、調査するすべての土地について、同表を作成するものとして算出された所要人工数を適用するようになっている。そこで、こうした積算が違反の実態を反映した適切なものであるかなどについて調査した。
調査したところ、4、5両年度の売渡し条件違反の件数は、追跡調査件数5,838件に対し、わずかに4年度に1件あったにすぎなかった。そして、このため、契約違反対応措置表もこの1件を除き作成されていない状況であった。
これは、近年、事業団において売渡し先に対する注意喚起等の予防措置を強化したことなどによるもので、違反件数は元年度の91件を最高に、以後激減している。
しかし、積算要領において、売渡し条件に違反し契約違反対応措置表の作成を行う場合の所要人工数しか示されていないことから、各支社では、前記のように、違反の有無にかかわらず、調査するすべての土地についてその所要人工数を適用して収集資料整理費を積算していたもので、適切でないと認められた。
一方、契約違反対応措置表は、その記載内容からして契約履行調査整理表の記載事項を基に作成できるものであり、近年のように売渡し条件違反がほとんどない状況の下では、事業団の各支社が自ら作成することとしても十分対応できると認められた。
したがって、違反の実態に即して、収集資料整理業務のうち契約違反対応措置表の作成を請負業務から除外して事業団が自ら行うこととし、これにより収集資料整理費の積算を適切に行う要があると認められた。
契約違反対応措置表の作成を請負業務から除外することとし、その場合の収集資料整理業務に要する人工数により収集資料整理費を修正計算すると、4年度46,164,239円、5年度51,447,669円、計97,611,908円となる。そして、これによれば、請負費を4年度約1,560万円、5年度約1,770万円、計約3,330万円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、近年、売渡し条件違反の件数が極めて少なくなっているのに、請負業務の内容及び請負費の積算に、この違反の実態を反映させることの検討が十分でなかったことによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、事業団では、6年9月に、土地追跡調査の請負業務から契約違反対応措置表の作成を除外することとして、示方書の改正を行うとともに、積算要領について所要の改正を行い、同月以降締結する請負契約から適用することとする処置を講じた。
(注) 北海道支社ほか8支社 北海道、東北、新潟、関東、中部、近畿、中国、四国、九州各支社