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  • 平成7年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第1 総理府|
  • (経済企画庁)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

景気動向調査委託契約における法人企業動向調査に要する経費の積算に当たり、調査方法を郵送調査に統一することにより委託費の節減を図るよう改善させたもの


 景気動向調査委託契約における法人企業動向調査に要する経費の積算に当たり、調査方法を郵送調査に統一することにより委託費の節減を図るよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計(組織)経済企画庁(項)経済企画庁
部局等の名称 経済企画庁
契約名 景気動向調査委託契約(32契約)
契約の概要 法人企業動向調査及び消費動向調査を実施するもの
契約の相手方 北海道ほか15都府県
契約 平成6年4、5月及び7年4、5月
支払額 185,537,000円 (平成6、7両年度)
節減できた委託費 3570万円 (平成6、7両年度)
<検査の結果>
 上記の各委託契約において、法人企業動向調査の調査方法を郵送調査に統一して経費を積算したとすれば、委託費を約3570万円節減できたと認められた。
 このような事態が生じていたのは、経済企画庁において、積算に当たり、調査の方法が調査の実態を反映しているかを検討すべきであったのに、これを十分に行っていなかったことなどによると認められた。
<当局が講じた改善の処置>
 本院の指摘に基づき、経済企画庁では、平成8年10月に、法人調査の調査方法を郵送調査に統一し、委託費の積算が適切に行われるよう調査の手引及び委託費算定基準を改正し、9年度の委託契約から適用することとする処置を講じた。

1 業務委託の概要

 (業務の概要)

 経済企画庁では、景気動向調査業務を都道府県に委託して実施している。この調査には、法人企業動向調査(以下「法人調査」という。)と消費動向調査(注1) (以下「消費調査」という。)があり、同庁は、平成6、7両年度に、法人調査を北海道ほか15都府県(注2) に、また、消費調査を全都道府県に委託している。そして、両調査を実施している16都道府県に対する景気動向調査委託費(以下「委託費」という。)の支払額は、6、7両年度において計185,537,000円となっている。

 (法人調査の調査方法)

 上記のうち法人調査は、資本金1億円以上の法人を対象として、四半期ごとに景気動向の把握のために、法人の設備投資の実績と計画、企業経営者の景気・経営に対する判断や見通し等について、調査票の選択肢から該当する番号を選ばせるなどして調査するものである。
 そして、法人調査は、同庁で定めた「調査の手引」に基づき行うこととなっており、これによれば調査方法には、次の調査員調査と郵送調査の二つの方法がある。

〔1〕 調査員調査は、委託を受けた都道府県が調査員を任命し、調査員が調査対象法人を訪問して調査票を配布し、後日再び訪問して記人済みの調査票を回収する方法である。

〔2〕 郵送調査は、委託を受けた都道府県が調査対象法人に調査票を郵送により送付し、記入済みの調査票を郵送させて回収する方法である。

 (法人調査に要する経費)

 法人調査に要する経費は、同庁が定めた「景気動向調査委託費算定基準(法人企業動向調査)」(以下「算定基準」という。)に基づき積算することとなっている。これによれば、調査対象法人の75%に相当する法人については調査員調査を、残りの25%に相当する法人については郵送調査を実施することとして経費を積算することとなっている。そして、6、7両年度の算定基準では、調査員調査の場合には主たる経費である調査員の報酬は1調査対象法人当たり12,529円(6年度)12,700円(7年度)であるのに対し、郵送調査の場合には主たる経費である郵送料は1調査対象法人当たり1,160円(6、7両年度)となっている。
 同庁では、前記の16都道府県に対して、6、7両年度とも3,033法人の法人調査を委託しており、上記の算定基準に基づき、法人調査に要する経費を、6年度43,372,426円、7年度43,634,336円、計87,006,762円と積算していた。
 そして、同庁では、上記により積算した法人調査に要する経費と別途の算定の基準により積算した消費調査に要する経費との合計額に基づき、6、7両年度についてそれぞれ16都道府県と委託契約を締結していた。

2 検査の結果

 (調査の観点及び対象)

 同庁では、上記のように法人調査を調査員調査と郵送調査の二つの方法により実施することとして経費を積算しているが、この積算が委託業務の実態に適合しているかという観点から、6、7両年度における16都道府県の法人調査について調査した。

 (調査の結果)

 調査したところ、次のような事態が見受けられた。

(ア) 14都道府県では、両年度とも調査対象法人の2,736法人すべてについて郵送調査を実施していた。

(イ) 2県では、両年度とも調査対象法人の297法人のうち、180法人については調査員調査を実施し、残る117法人については郵送調査を実施していた。

 このように、16都道府県が調査を実施した3,033法人のうち、2,853法人については、6、7両年度とも郵送調査を実施しており、調査員調査を実施しているのは、両年度とも180法人に過ぎない状況となっており、法人調査に要する経費の積算が委託業務の実態と著しく異なっていた。
 そして、次のことなどから法人調査については調査員調査に代えてすべてを郵送調査により実施しても特段の支障は生じないと認められた。

(ア) 前記のとおり、調査対象法人は資本金1億円以上の企業であり、その事務担当者は各種の統計調査の事務処理に習熟していること、また、その回答方法も、四半期ごとに、ほぼ同じ内容の調査項目について、選択肢から該当する番号を選ぶなど定型的なものであることなどから、調査員調査と郵送調査とでその結果に差は生じていないこと

(イ) 調査員調査を実施している2県についても、従来からの調査方法をそのまま踏襲してきたものでこれを継続すべき特別の理由は認められないこと

 したがって、法人調査に要する経費の積算に当たっては、調査方法をより経済的な郵送調査に統一することとして、委託費の節減を図る要があると認められた。

 (節減できた委託費)

 本件業務委託契約における法人調査をすべて郵送調査により実施することとして積算したとすれば、郵送料等の費用の増額を考慮しても、法人調査に要する経費は6、7両年度で計5126万余円となり、委託費を両年度で計約3570万円節減できたと認められた。

 (発生原因)

 このような事態が生じていたのは、同庁において、法人調査に要する経費の積算に当たり、調査の方法が調査の実態を反映しているかを検討すべきであったのに、これを十分に行っていなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、同庁では、8年10月に、法人調査の調査方法を郵送調査に統一し、委託費の積算が適切に行われるよう調査の手引及び算定基準を改正し、9年度の委託契約から適用することとする処置を講じた。

 (注1)  消費動向調査 2人以上の世帯を対象として、家計消費についての消費者の意識、主要耐久消費財等の保有状況及び購入状況を調査して、個人消費動向を把握するための調査

 (注2)  北海道ほか15都府県 東京都、北海道、京都、大阪両府、宮城、埼玉、千葉、神奈川、新潟、静岡、富山、愛知、兵庫、広島、福岡、沖縄各県