会計名及び科目 | 一般会計(組織)矯正官署 | (項)矯正官署 (項)矯正収容費 |
部局等の名称 | 札幌刑務所ほか14矯正施設 |
契約の概要 | 札幌刑務所等において汚水を排出するため関係地方公共団体の公共下水道を使用するもの |
契約の相手方 | 札幌市ほか10市 |
支払 | 平成6年5月〜8年4月 |
支払金額 | 325,002,896円 | (平成6、7両年度) |
節減できた下水道料金 | 1110万円 | (平成6、7両年度) |
<検査の結果> |
上記の15矯正施設において、下水道料金の支払に当たり、水道水等の使用量から蒸気ボイラー設備等の稼働等による減水量を控除したものを公共下水道への汚水排出量として関係地方公共団体の認定を受けたとすれば、下水道料金を約1110万円節減できたと認められた。 このような事態が生じていたのは、法務省において、汚水排出量の認定について周知徹底を図っていなかったこと、また、15矯正施設において関係地方公共団体の下水道条例等を十分理解しておらず、汚水排出量の実態を把握してその認定を受ける手続を執っていなかったことによると認められた。 |
<当局が講じた改善の処置> |
本院の指摘に基づき、法務省では、平成8年3月に矯正施設に対し通知を発し、関係地方公共団体の下水道条例等における汚水排出量の認定について周知徹底を図るとともに、15矯正施設では、汚水排出の実態を把握したうえ、同年7月までに関係地方公共団体から減水量を控除した汚水排出量の認定を受ける処置を講じた。 |
1 下水道料金支払の概要
(矯正施設で使用する水道水等)
法務省が監獄法(明治41年法律第28号)等に基づいて設置している刑務所、拘置所、少年院等の施設(以下「矯正施設」という。)では、水道水等を生活用水として使用しているほか、被収容者のための炊事、入浴、暖房等の熱源を供給する蒸気ボイラー設備等へ給水するなどしている。
そして、公共下水道が整備されている地域に所在する矯正施設では、施設内で発生した汚水を公共下水道に排出しており、これを管理する地方公共団体(以下「関係地方公共団体」という。)に対し下水道料金を支払っている。
(下水道料金の算定)
下水道料金の算定は、関係地方公共団体が、その下水道条例等に基づき、公共下水道の使用者(以下「使用者」という。)の汚水排出量を定められた期間ごとに認定し、その量に所定の1m3
当たり単価を乗じるなどして行っている。
このうち、汚水排出量の認定は次のように行うこととなっている。
(ア) 原則として水道水等の使用量をもって汚水排出量とする。
(イ) 水道水等の使用量が公共下水道に排出される汚水量と著しく異なる場合には、使用者の申告により、水道水等の使用量から公共下水道に排出されない水量(以下「減水量」という。)を控除した水量を汚水排出量とする。
2 検査の結果
(調査の観点及び対象)
矯正施設における蒸気ボイラー設備等に給水された水は、相当量が蒸発するなどしていて公共下水道へ排出される汚水量は水道水等の使用量より相当程度減少していることが見込まれた。
そこで、蒸気ボイラー設備等を設置している札幌刑務所ほか32矯正施設(注1)
における公共下水道への汚水排出の実態及び汚水排出量の認定状況について調査した。
(調査の結果)
調査したところ、上記の33矯正施設のうち、札幌刑務所ほか14矯正施設(注2)
においては、蒸気ボイラー設備等に係る減水量の申告を関係地方公共団体に対し行っておらず、水道水等の使用量を汚水排出量と認定されるなどして、平成6、7両年度に計325,002,896円の下水道料金を関係地方公共団体に支払っていた。
しかし、蒸気ボイラー設備等に給水された水は、設備の稼働に伴って相当量が蒸発するなどしている状況であるので、この分に係る水は公共下水道に排出されないものと認められた。
本院において、上記の15矯正施設における蒸気ボイラー設備等への給水量を測定機器で把握した水量等を基に算出したところ、6、7両年度において計66,408m3
となっていた。これに対して、上記設備の稼働等に伴って生じる減水量を関係地方公共団体の下水道条例等を基に算出したところ、6、7両年度において計61,476m3
となっており、給水量の大部分が減水量となっていた。
したがって、上記の15矯正施設において、汚水排出の実態を十分に把握し、関係地方公共団体から、蒸気ボイラー設備等の稼働等に伴って生じる減水量を控除した汚水排出量の認定を受けるよう手続を執り、下水道料金の支払を適切なものにする要があると認められた。
(節減できた下水道料金)
汚水排出量について、上記の減水量61,476m3 を控除して下水道料金を修正計算すると、6、7両年度において計約1110万円が節減できたと認められた。
(発生原因)
このような事態が生じていたのは、法務省において、汚水排出量の認定について周知徹底を図っていなかったこと、また、15矯正施設において関係地方公共団体の下水道条例等を十分理解しておらず、汚水排出量の実態を把握してその認定を受ける手続を執っていなかったことによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、法務省では、8年3月に矯正施設に対し通知を発し、関係地方公共団体の下水道条例等における汚水排出量の認定について周知徹底を図るとともに、15矯正施設では、汚水排出の実態を把握したうえ、同年7月までに関係地方公共団体から減水量を控除した汚水排出量の認定を受ける処置を講じた。
(注1) 札幌刑務所ほか32矯正施設 札幌、帯広、網走、秋田、前橋、八王子医療、横須賀、静岡、千葉、甲府、長野、京都、滋賀、山口、高松、小倉、熊本各刑務所、東京、京都、小倉各拘置所、札幌、豊橋両刑務支所、札幌、岩見沢、太田、浦和、松戸、丸の内、京町各拘置支所、帯広、関東医療、久里浜、奈良各少年院
(注2) 札幌刑務所ほか14矯正施設 札幌、秋田、前橋、甲府、京都、山口、熊本各刑務所、京都、小倉両拘置所、札幌刑務支所、札幌、太田、浦和、松戸、京町各拘置支所