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  • 平成7年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 補助金

公立学校施設整備費負担金等の経理が不当と認められるもの


(35)(37) 公立学校施設整備費負担金等の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 (1) 一般会計 (組織)文部本省 (項)学校教育振興費
(2) 一般会計 (組織)文部本省 (項)公立文教施設整備費
(3) 一般会計 (組織)文部本省 (項)公立文教施設整備費
部局等の名称 (1) 大阪府
(2) 長野県
(3) 北海道
補助の根拠 (1) 予算補助
(2) 義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)
(3) 豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)
事業主体 (1) 1
(2) 1
(3) 1
3事業主体
補助事業 (1) 非常勤講師配置 1事業
(2) 中野市立南宮中学校校舎改築 1事業
(3) 新得町立屈足南小学校へき地教員宿舎整備 1事業
3事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 (1) 43,637,000円
(2) 76,109,000円
(3) 5,685,000円
125,431,000円
不当と認める国庫補助金交付額 (1) 1,376,000円
(2) 2,704,000円
(3) 5,685,000円
9,765,000円
 上記の3補助事業において、補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めていたり、補助対象事業費を過大に精算していたりしており、これに係る国庫補助金9,765,000円が不当と認められる。

1 補助金の概要

 文部省は、地方公共団体に対して、次の負担金又は補助金(以下「補助金」という。)を交付している。

(1) 教員研修事業費等補助金(非常勤講師配置事業)

 この補助金は、教員研修事業費等補助金(初任者研修)交付要綱(昭和62年文部事務次官裁定)に基づき、初任者研修の円滑な実施に資することを目的として、新任教員の所属する学校に指導教員を配置することに伴い、必要となる非常勤講師の配置に要する経費の一部を補助するために交付されるものである。

(2) 公立学校施設整備費負担金(危険改築事業)

 この補助金は、義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)に基づき、小学校、中学校その他の公立の義務教育諸学校の施設の整備を促進し、教育の円滑な実施を確保することを目的として、構造上危険な状態にある建物の改築事業(以下「危険改築事業」という。)に要する経費の一部を補助するために交付されるものである。

(3) 公立学校施設整備費補助金(へき地教員宿舎整備事業)

 この補助金は、豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)等に基づき、へき地等における義務教育の円滑な実施に資することを目的として、へき地学校(注) 等に勤務する教職員(以下「教職員」という。)のための住宅(以下「教員宿舎」という。)の建築に要する経費の一部を補助するために交付されるものである。

 (注)  へき地学校 交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地、離島その他の地域に所在する公立の小学校及び中学校並びに共同調理場

2 検査の結果

 検査の結果、3事業主体が実施した非常勤講師配置事業等の3事業に係る国庫補助金9,765,000円が不当と認められる。
 これを不当の態様別に示すと次のとおりである。

〔1〕  補助の対象とは認められないものを補助対象事業費に含めているもの

2事業

不当と認める国庫補助金

8,389,000円

〔2〕  補助対象事業費を過大に精算しているもの

1事業

不当と認める国庫補助金

1,376,000円

これらを道府県別に示すと次のとおりである。

道府県名 補助事業 事業主体 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金

摘要


(35)

大阪府

非常勤講師配置

大阪府
千円
87,294
千円
43,637
千円
2,769
千円
1,376

補助対象事業費の精算過大
 この事業は、平成6年度の非常勤講師配置事業として、大阪府が、新任教員の所属する公立の小・中学校等に、必要となる非常勤講師を配置したものである。
 補助対象事業費は、配置する非常勤講師の区分ごとに、その報酬及び交通費の合計額となっている。そして、国庫補助金は、この補助対象事業費の所要見込額に2分の1を乗じて得た額以内の額(交付決定額)を交付し、額の確定の際に、この交付決定額と実支出額に2分の1を乗じて得た額(以下「実支出基準額」という。)とのいずれか低い方の額で精算することとなっている。

 同府では、この補助金の額の確定に当たっての実績報告書において、実支出額を87,294,723円、その実支出基準額を43,646,000円(1,000円未満切捨て)とし、この実支出基準額に比べ交付決定額が低額であるとして、交付決定額43,637,000円をそのまま国庫補助金として精算していた。
 しかし、同府では、実績報告書の作成に当たり、非常勤講師各人の報酬に一律に一定額を上乗せするなどして、実支出基準額が交付決定額を上回るようにしていたもので、上記の実支出額は、正しい実支出額に比べて2,769,876円が過大になっていた。
 したがって、適正な補助対象事業費に基づき国庫補助金を算定すると、42,261,000円となり、1,376,000円が不当と認められる。

(36) 長野県 南宮中学校校舎改築 中野市 228,328 76,109 8,112 2,704 補助の対象外
 この事業は、平成7年度の危険改築事業として、南宮中学校の校舎を改築したものである。
 補助対象事業費は、補助対象面積に1m2 当たりの補助単価を乗ずるなどして算定することとなっている。この補助対象面積は、当該学校に係る標準学級数に応じて算定した必要面積から既設建物のうち危険でない部分の面積を差し引くなどして算定した面積と、実際の建築面積(以下「実施面積」という。)とのいずれか少ない方とすることとなっている。そして、実施面積は、当該学校の建物の棟ごとの各階ごとに壁等により風雨を防ぎ得る天井高(平均)2.0mを超える部分の床面積を合計した面積とすることとなっている。

 中野市では、校舎の必要面積6,980m2 から既設校舎のうち危険でない建物の面積667m2 を差し引いた6,313m2 より実施面積の方が少ないことから、実施面積1,154m2 を危険改築事業の補助対象面積としていた。そして、これに1m2 当たりの補助単価195,900円を乗ずるなどして補助対象事業費を228,328,000円(国庫補助金76,109,000円)と算定していた。
 しかし、同市は、上記の実施面積に含めないこととされている平均天井高2.0m以下の校舎3階の一部の物置41m2 を実施面積に含めており、これを差し引くと実施面積は1,113m2 となる。
 したがって、危険改築事業の補助対象面積は1,113m2 となり、これにより算定すると、適正な補助対象事業費は220,216,000円(国庫補助金73,405,000円)となり、国庫補助金2,704,000円が過大に交付されていた。

(37) 北海道 屈足南小学校へき地教員宿舎整備 上川郡新得町 10,338 5,685 10,338 5,685

補助の対象外

 この事業は、平成5年度のへき地教員宿舎整備事業として、屈足南小学校の教員宿舎1戸を建築したものである。
 補助対象となる教員宿舎の戸数(以下「補助対象戸数」という。)は、教員宿舎の建築戸数とすることとなっている。ただし、当該学校における事業実施年度の5月1日(以下「基準日」という。)現在の教職員の住宅の現況により、借家、借間に入居している教職員数に応じる戸数などから算定した各学佼ごとの教員宿舎の不足戸数が建築戸数を下回る場合、この不足戸数を限度とすることとなっている。そして、既設の教員宿舎が空家(老朽等により取り壊さざるを得ないものを除く。)となっていたり、教職員ではない者が入居していたりしている場合には、この戸数を控除した戸数とされている。

 新得町では、基準日において、同校の既設の教員宿舎12戸には既に教職員12人が入居しており、このほかに、借家に入居している教職員1人がいることから、不足戸数を1戸と算定し、これを補助対象戸数としていた。しかし、実際は、既設の教員宿舎12戸のうちには、教職員ではない者が入居しているなどしていて同校の教員宿舎には、不足戸数は発生していなかった。
 したがって、本件事業は、補助の対象とならず、これに係る国庫補助金5,685,000円は交付の要がなかった。

(35)−(37) の計 325,960 125,431 21,219 9,765