会計名及び科目 | 一般会計 (組織)厚生本省 (項)国民健康保険助成費 |
部局等の名称 | 厚生本省(交付決定庁) |
東京都(支出庁) | |
補助の根拠 | 国民健康保険法(昭和33年法律第192号) |
事業主体 | 全国土木建築国民健康保険組合(保険者) |
療養給付費補助金の概要 | 国民健康保険組合が行う国民健康保険事業運営の安定化を図るために交付するもの |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 28,152,546,534円 | (平成5、6両年度) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 659,573,129円 | (平成5、6両年度) |
1 補助金の概要
(国民健康保険組合に対して交付される療養給付費補助金)
国民健康保険事業は、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)に基づき、地方公共団体である市町村及び特別区が保険者となって行うほか、都道府県知事の認可を受けた国民健康保険組合(以下「国保組合」という。)が保険者となって行うことができることとなっている。
国保組合が行う国民健康保険事業に対しては、その事業運営の安定化を図るため、各種の国庫助成が行われており、その一つとして、療養給付費補助金が交付されている。療養給付費補助金の交付額は、原則として、各国保組合の医療給付費(注)
の100分の32に相当する額となっている。
(注) 医療給付費 療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額並びに入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費及び高額療養費の支給に要する費用の額の合算額
(全国土木建築国民健康保険組合)
国保組合の一つとして、全国土木建築国民健康保険組合(以下「全国土木」という。)があり、土木建築事業に従事する者が組合員になっている。
そして、全国土木の組合員の種類はその組合規約で次のように定められている。
(ア) 事業主、役職員、職員に準ずる者及び作業現場の基幹労務者等の常用労働者(第一種組合員)
(イ) 2箇月以内の期間を定めて臨時に使用されているなどの作業現場の日雇労働者(第二種組合員)
上記の組合員のうち、法人等の事業所に常用的に使用される者は、健康保険法(大正11年法律第70号)の強制適用被保険者となるが、社会保険事務所から健康保険の被保険者としての適用を除外する旨の承認を受けることにより全国土木の被保険者(以下、この承認を受けた被保険者を「特定承認被保険者」という。)となり、全国土木ではこれらの者を第一種組合員として取り扱っている。
(全国土本に対する国庫補助金の算定方法)
全国土木に対する国庫補助金の算定に当たっては、作業現場の日雇労働者で第二種組合員として取り扱われている者及び組合員の世帯に属する者に係る医療給付費については他の国保組合と同様に補助の対象とするが、上記の特定承認被保険者に係る医療給付費については全国土木の組合員からの保険料収入で賄うようになっていることから、補助の対象外とすることとなっている。
そして、第二種組合員として取り扱われている者が、事業所に2箇月を超えた期間以降も引き続き常用的に使用されるなどの場合には、国庫補助金の算定に当たって、その期間を経過した後以降これらの者を特定承認被保険者として取り扱い、その医療給付費を補助の対象外とすることとなっている。
(全国土木に対する国庫補助金の交付額)
全国土木では、平成5、6両年度の国庫補助金の算定に当たり、補助の対象となる医療給付費を、医療給付費の総額から特定承認被保険者となっている第一種組合員に係る医療給付費を除いて計算して、5年度43,673,526,604円、6年度44,303,181,317円であるとしていた。そして、これにより5、6両年度の交付申請を行い、5年度13,975,528,513円、6年度14,177,018,021円、計28,152,546,534円の交付を受けていた。
2 検査の結果
検査の結果、全国土木の第二種組合員として取り扱われていた者のうち、事業所に2箇月を超えた期間以降も引き続き使用され、常用的に使用されていると認められる者が、5年度13,354人、6年度17,678人見受けられた。
しかし、全国土木では、5、6両年度の国庫補助金の交付申請に当たり、これらの者を特定承認被保険者として取り扱わず、補助対象とならない被保険者に係る医療給付費5年度889,750,369円、6年度1,171,415,658円を補助の対象に含めて算定し、国庫補助金の交付を受けていた。
したがって、補助対象とならない医療給付費を控除すると国庫補助金の適正な交付額は、5年度13,690,808,395円、6年度13,802,165,010円、計27,492,973,405円となり、前記交付額との差額5年度284,720,118円、6年度374,853,011円、計659,573,129円が過大に交付されていて不当と認められる。