会計名及び科目 | 一般会計 (組織)厚生本省 (項)国民健康保険助成費 |
部局等の名称 | 厚生本省(交付決定庁) |
北海道ほか7県(支出庁) | |
交付の根拠 | 国民健康保険法(昭和33年法律第192号) |
交付先 | 15市、4町(保険者) |
療養給付費負担金の概要 | 市町村等の国民健康保険事業運営の安定化を図るために交付するもの |
上記に対する国庫負担金交付額の合計 | 33,135,456,852円 | (平成5、6両年度) |
不当と認める国庫負担金交付額 | 105,053,875円 | (平成5、6両年度) |
1 負担金の概要
(国民健康保険の療養給付費負担金)
国民健康保険は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)等が保険者となって、被用者保険の被保険者及びその被扶養者等を除き、当該市町村の区域内に住所を有する者等を被保険者として、その疾病、負傷、出産又は死亡に関し、療養の給付、出産育児一時金、葬祭費の支給等の給付を行う保険である。
国民健康保険については各種の国庫助成が行われており、その一つとして、市町村が行う国民健康保険事業運営の安定化を図るため療養給付費負担金(以下「国庫負担金」という。)が交付されている。
(市町村の国民健康保険の被保険者等)
市町村の国民健康保険の被保険者は、一般被保険者と退職被保険者に区分されている。
このうち、退職被保険者は、被用者保険の被保険者が退職して国民健康保険の被保険者となった者で、老人保健制度が適用になるまでの間に、厚生年金等の受給資格がある場合に適用される資格である。これは被用者保険(給付割合被保険者9割)と国民健康保険(給付割合同7割)との給付割合に格差があるため、医療に対する必要性が高まる高齢期になって給付水準が低下すること、また、退職者を多く抱える国民健康保険は、医療費負担が増大していることなどの給付面と負担面双方の不合理を是正するためのものである。これにより、退職被保険者及びその被扶養者(以下「退職被保険者等」という。)に係る医療給付費(注)
については、国庫負担金の交付の対象とはせずに、退職被保険者等に係る保険料又は保険税と被用者保険の保険者が拠出する療養給付費交付金で負担されている。そして、退職被保険者等については給付割合は被保険者が8割、被扶養者が入院8割、入院外7割となっている。
一方、被保険者のうち一般被保険者(老人保健法(昭和57年法律第80号)による医療を受けることができる者を除く。以下同じ。)は、退職被保険者等以外の被保険者であり、この一般被保険者に係る医療給付費については、その一部が前記の国庫負担金で負担されている。
(注) 医療給付費 療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額並びに入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費及び高額療養費の支給に要する費用の額の合算額
(退職被保険者等の資格取得の時期)
国民健康保険の被保険者の資格を取得している者が退職被保険者となるのは、当該被保険者の年金受給権の取得年月日(ただし、受給権の取得年月日が国民健康保険の資格取得年月日以前の場合は国民健康保険の資格取得年月日。以下「退職者該当年月日」という。)とされている。そして、退職被保険者等となったときは、年金証書等が到達した日の翌日から起算して14日以内(受給権を有している者が退職被保険者等となったときは、退職者該当年月日から14日以内)に、市町村に届出をすることとなっている。
(国庫負担金の算定方法)
前記のうち、毎年度の国庫負担金の交付額は、「国民健康保険の国庫負担金及び被用者保険等保険者拠出金等の算定等に関する政令」(昭和34年政令第41号)等により、次により算定することとなっている。
(注) 市町村が一般被保険者の属する世帯のうち、低所得者層の負担の軽減を図るため減額した保険料又は保険税の総額について当該市町村の一般会計から国民健康保険に関する特別会計に繰り入れた額の2分の1相当額
そして、一般被保険者に係る医療給付費は、次の〔1〕 から〔2〕 を控除して算定することとなっている。〔2〕 を控除するのは一般被保険者に係るものとして支払った医療給付費が退職被保険者等に係るものとして振り替えられるからである。
〔1〕 前年度の3月から当該年度の2月までの医療給付費
〔2〕 当該年度において、退職被保険者等の資格が遡って発生することが確認された場合、退職者該当年月日以降における一般被保険者に係るものとして支払った医療給付費
(交付手続)
国庫負担金の交付手続は、〔1〕 交付を受けようとする市町村は都道府県に交付申請書を提出し、〔2〕 交付申請書を受理した都道府県は、その内容を添付書類により、また、必要に応じて現地調査を行うことにより審査のうえ、これを厚生省に提出し、〔3〕 厚生省はこれに基づき交付決定を行い国庫負担金を交付することとなっている。
2 検査の結果
国庫負担金の交付について検査した結果、登別市ほか18市町において、次のとおり退職被保険者等として届出をした者について、その資格が遡って発生することが確認された場合の処理を誤り、これに基づき国庫負担金の交付申請等を行っていたため、国庫負担金105,053,875円が過大に交付されていて不当と認められる。
(ア) 退職者該当年月日の適用を誤って、届出があった月の初日として処理していたため、退職者該当年月日以降における一般被保険者に係るものとして支払った医療給付費を当該年度の医療給付費から控除していなかった。
(イ) 退職被保険者等の資格を年金受給権の取得年月日まで遡及しているものの、退職者該当年月日以降における一般被保険者に係るものとして支払った医療給付費を当該年度の医療給付費から控除していなかった。
これは、上記19市町の制度に対する理解が不足していたこと、また、北海道ほか7県の国庫負担金の交付申請等に対する審査が十分でなかったことによるものである。
これを道県別に示すと次のとおりである。
道県名 | 交付先 (保険者) |
年度 | 国庫負担対象費用額 | 左に対する国庫負担金 | 不当と認める国庫負担対象費用額 | 不当と認める国庫負担金 | 摘要 |
|
(113) |
北海道 |
登別市 |
6 |
千円 1,402,302 |
千円 560,920 |
千円 5,182 |
千円 2,072 |
退職者該当年月日の適用を誤っていたもの |
(114) | 茨城県 | 日立市 | 5、6 | 7,582,611 | 3,033,044 | 38,162 | 15,264 | 医療給付費の処理を誤っていたもの |
(115) | 同 | 東茨城郡 茨城町 |
5、6 | 2,765,798 | 1,106,319 | 4,695 | 1,878 | 退職者該当年月日の適用を誤っていたもの |
(116) | 千葉県 | 佐原市 | 5、6 | 3,504,571 | 1,401,828 | 19,434 | 7,773 | 医療給付費の処理を誤っていたもの |
(117) | 同 | 勝浦市 | 5、6 | 1,860,228 | 744,091 | 6,450 | 2,580 | 同
|
(118) | 石川県 | 金沢市 | 6 | 11,238,472 | 4,495,389 | 47,080 | 18,832 | 同
|
(119) | 同 | 七尾市 | 5、6 | 2,660,354 | 1,064,141 | 5,824 | 2,329 | 退職者該当年月日の適用を誤っていたもの |
(120) | 同 | 輪島市 | 5、6 | 3,059,609 | 1,223,843 | 11,103 | 4,441 | 同
|
(121) | 同 | 珠洲市 | 5、6 | 1,773,008 | 709,203 | 13,366 | 5,346 | 同
|
(122) | 同 | 松任市 | 5、6 | 2,300,065 | 920,026 | 5,936 | 2,374 | 医療給付費の処理を誤っていたもの |
(123) | 島根県 | 松江市 | 5、6 | 6,197,539 | 2,479,015 | 4,225 | 1,690 | 同
|
(124) | 大分県 | 大分郡 挟間町 |
6 | 344,045 | 137,618 | 6,594 | 2,637 | 退職者該当年月日の適用を誤っていたもの |
(125) | 同 | 玖珠郡 玖珠町 |
5 | 761,186 | 304,474 | 12,436 | 4,974 | 同
|
(126) | 宮崎県 | 宮崎市 | 5、6 | 16,659,452 | 6,663,781 | 34,650 | 13,860 | 同
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(127) | 同 | 都城市 | 5、6 | 9,585,664 | 3,834,265 | 8,467 | 3,386 | 医療給付費の処理を誤っていたもの |
(128) | 同 | 日南市 | 5、6 | 2,958,968 | 1,183,587 | 7,522 | 3,008 | 退職者該当年月日の適用を誤っていたもの |
(129) | 同 | えびの市 | 5、6 | 2,445,615 | 978,245 | 10,794 | 4,317 | 同
|
(130) | 同 | 宮崎郡 清武町 |
5、6 | 1,217,563 | 487,025 | 5,745 | 2,298 | 医療給付費の処理を誤っていたもの |
(131) | 沖縄県 | 糸満市 | 5、6 | 4,521,583 | 1,808,633 | 14,960 | 5,984 | 退職者該当年月日の適用を誤っていたもの |
(113)-(131) の計 | 82,838,642 | 33,135,456 | 262,634 | 105,053 |