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  • 平成7年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 貸付金

農業改良資金の貸付けが不当と認められるもの


(153)−(158) 農業改良資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 農業経営基盤強化措置特別会計(項)農業改良資金貸付金
昭和59年度以前は、
一般会計(組織)農林水産本省(項)農業振興費
部局等の名称 関東、中国四国、九州各農政局
国の貸付金等 農業改良資金貸付金
(昭和59年度以前は、「農業改良資金助成補助金」)
貸付け等の根拠 農業改良資金助成法(昭和31年法律第102号)
貸付け等の内容 農業者等に対し農業改良資金の貸付けを行う都道府県に対する資金の貸付け等
貸付け等先 千葉県ほか3県
県の貸付先 6農業者
県の貸付金額の合計 77,206,000円(国の貸付金等相当額51,470,665円)
県の不当貸付金額 46,393,732円
貸付け等の目的に沿わない国の貸付金等相当額 30,929,153円
 上記の4県で6農業者に対して行った農業改良資金77,206,000円の貸付けにおいて、46,393,732円の貸付けが不当と認められ、ひいては国の貸付金等相当額30,929,153円が貸付け等の目的に沿わない結果になっていると認められる。

1 貸付金の概要

 農林水産省では、農業者等における農業経営の改善等に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、当該貸付けに必要な資金の3分の2を無利子で貸し付けている(昭和59年度以前は当該額を補助金として交付している。)。
 都道府県は、この国の貸付金及び補助金に自己資金等を合わせて農業改良資金として資金を造成し、能率的な農業技術の導入に必要な施設の設置又は機械の購入等を行う農業者等に対して、その必要な資金を無利子で貸し付けている。この農業改良資金の貸付けの限度額は、資金の種類によって、農林水産省令で定める標準資金需要額を基準として都道府県が定める額の100分の80又は100分の90などとなっている。また、償還期間は12年以内となっている。
 農業改良資金の貸付けを受けようとする農業者等は、貸付申請書に事業計画を添えて貸付申請を行い、都道府県はその内容を審査の上貸付けの適否を決定することとなっている。そして、借受者は、施設等を売却しようとする場合には都道府県知事の承認を受けることなどが貸付けの条件となっている。また、借受者は事業完了後に事業実施報告書を提出し、都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。

2 検査の結果

 この農業改良資金の貸付けについて調査したところ、6農業者に対する77,206,000円の貸付けにおいて、借受者が、施設を県に無断で売却したり、施設等を貸付対象事業費より低額で設置又は購入したりなどしていた。このため、46,393,732円の貸付けが不当と認められ、ひいては国の貸付金等相当額30,929,153円が貸付け等の目的に沿わない結果になっていると認められる。

 これを県別に示すと次のとおりである。

県名 貸付先 貸付対象 貸付年月 貸付対象事業費 貸付対象として適切でない事業費 貸付け等の目的に沿わない国の貸付金等相当額

摘要

同上に対する貸付金額 同上に対する貸付金相当額

(153)

千葉県

農業者

パイプハウスの設置


6.1

千円
9,572
(6,485)
千円
6,965
(4,399)
千円
2,933

低額実施
 この貸付けは、花き栽培用のパイプハウス12棟2,948m2 の設置に必要な資金9,572,608円の一部として、6,485,000円を貸し付けたものである。借受者は、この施設を貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、この額は施設の規模を過大にして契約額を水増しするなどしていたもので、実際は9棟948m2 を2,606,790円で設置していた。
 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると2,085,432円となるので、本件貸付金額との差額4,399,568円が過大な貸付けとなっている。
(154) 千葉県 農業者 肥育素牛の購入

4.10

14,000
(12,600)
8,110
(7,299)
4,866 低額実施
 この貸付けは、6箇月齢の肥育素牛100頭の購入に必要な資金14,000,000円の一部として、12,600,000円を貸し付けたものである。借受者は、この肥育素牛を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、実際は、単価の安い2箇月齢の牛を導入するなどして、これより低額な5,889,200円で購入していた。
 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると5,300,280円となるので、本件貸付金額との差額7,299,720円が過大な貸付けとなっている。
(155) 山梨県 農業者 複合環境制御温室の設置

5.3

12,000
(9,600)
3,459
(2,767)
1,845 低額実施
 この貸付けは、花き栽培用の複合環境制御温室(注) (1棟972m2 )の設置に必要な資金12,000,000円の一部として、9,600,000円を貸し付けたものである。借受者は、この施設を請負により貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、実際は、自ら資材等を購入するなどして施工し、これより低額な8,540,400円で設置していた。
 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると6,832,320円となるので、本件貸付金額との差額2,767,680円が過大な貸付けとなっている。
 (注)  複合環境制御温室 作物の栽培に適した温度、土壌水分等の環境を保つため、室温や土壌水分等の変化に応じて暖房機の点火・消火又は窓の開閉、散水等を自動的に制御する機能を備えた温室
(156) 山梨県 農業者 ロックウール栽培装置等の設置

7.2

8,943
(7,154)
3,501
(2,800)
1,867 低額実施及び事業の一部不実施
 この貸付けは、花き栽培用のロックウール栽培装置(注) 及び複合環境制御装置の設置に必要な資金8,943,394円の一部として、7,154,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの装置を請負により貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、実際は、ロックウール栽培装置については自ら資材等を購入して施工するなどして5,441,818円で設置し、複合環境制御装置については設置していなかった。
 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると4,353,454円となるので、本件貸付金額との差額2,800,546円が過大な貸付けとなっている。
 (注)  ロックウール栽培装置 土壌の代わりに多孔質のロックウール(岩綿)を用いて、これに培養液を浸透させて作物を栽培する装置
(157) 広島県 農業者

鶏糞発酵施設の設置

7.2

31,709
(25,367)
31,709
(25,367)

16,911

無断処分
 この貸付けは、鶏糞発酵施設(木造平屋建て1棟945m2 )の設置に必要な資金31,709,616円の一部として、25,367,000円を貸し付けたものである。借受者は、この施設を平成7年4月に設置したが、同年8月に県に無断で売却していた。
 したがって、この施設に係る貸付金25,367,000円は、貸付けの目的を達成していない。
(158) 鹿児島県 農業者 たばこ乾燥施設等の設置等

7.5

16,150
(16,000)
3,910
(3,759)
2,506 低額実施
 この貸付けは、たばこ乾燥施設(木造2階建て1棟延べ256m2 )及び堆肥置場の設置等に必要な資金16,150,782円の一部として、16,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの施設等を貸付対象事業費どおりの額で設置などしたとしているが、このうちたばこ乾燥施設(貸付対象事業費14,500,000円)については実際は値引きを受けて10,590,000円で設置していた。
 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると12,240,782円となるので、本件貸付金額との差額3,759,218円が過大な貸付けとなっている。
(153)−(158) の計 92,376
(77,206)
57,657
(46,393)
30,929