会計名及び科目 | 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)失業等給付費 |
部局等の名称 | 北海道ほか26都府県(支給庁) |
札幌公共職業安定所ほか146公共職業安定所(支給決定庁) | |
支給の相手方 | 390人 |
失業等給付金の支給額の合計 | 255,592,675円 |
不適正支給額 | 77,283,844円 |
1 保険給付の概要
(雇用保険)
雇用保険は、工場、事務所、商店等に雇われる労働者を被保険者とし、被保険者が失業した場合及び被保険者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合にその生活及び雇用の安定を図るなどのため失業等給付金の支給を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行う保険である。
失業等給付金には基本手当及び再就職手当のほか13種の手当等がある。このうち、基本手当は、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給されるものであり、再就職手当は、受給資格者が、基本手当を受給できる日数を所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残して安定した職業に就いた場合に支給されるものである。基本手当及び再就職手当は、公共職業安定所が、次のように支給を決定し、これに基づいて、各都道府県が支給することとなっている。
(ア) 基本手当については、受給資格者から提出された失業認定申告書に記載されている就職、就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定する。
(イ) 再就職手当については、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定する。
(注) 受給資格者 離職した被保険者で、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることの要件を満たしていて、公共職業安定所において、基本手当を受給する資格があると決定された者
2 検査の結果
(検査の対象)
北海道ほか27都府県(支給決定庁 札幌公共職業安定所ほか253公共職業安定所)から失業等給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者15,694人について、公共職業安定所における失業等給付金の支給決定の適否を検査した。
(不適正支給の事態)
検査したところ、次のとおり基本手当及び再就職手当が不適正に支給されていた。
ア 基本手当
北海道ほか26都府県で、本院が調査した10,370人に対する基本手当の支給のうち387人に対する支給(支給額234,867,125円)について、56,558,294円が不適正に支給されていた。これは、札幌公共職業安定所ほか144公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職、就労していながらその事実を失業認定申告書に記載していないため、申告書の内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。
イ 再就職手当
北海道ほか22都府県で、本院が調査した958人に対する再就職手当の支給のうち55人に対する支給(支給額20,725,550円)について、20,725,550円が不適正に支給されていた。
これは、滝川公共職業安定所ほか44公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇入れ年月日を記載していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。
なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
これらの不適正支給額を都道府県別に示すと次のとおりである。
都道府県名 | 公共職業安定所 | 本院が調査した受給者数 | 不適正受給者数 | 左の受給者に支給した失業等給付金 | 左のうち不適正失業等給付金 |
北海道 |
札幌ほか14 滝川ほか1 小計 |
人 1,306 47 |
人 37 3 |
千円 21,836 476 22,312 |
千円 7,758 476 8,235 |
宮城県 | 仙台ほか1 小計 |
120 - |
2 - |
2,104 - 2,104 |
866 - 866 |
山形県 | 山形ほか1 小計 |
221 - |
7 - |
3,925 - 3,925 |
1,327 - 1,327 |
茨城県 | 水戸ほか8 水海道ほか1 小計 |
517 20 |
23 2 |
13,018 1,220 14,238 |
3,069 1,220 4,289 |
栃木県 | 宇都宮ほか6 鹿沼ほか1 小計 |
345 10 |
16 2 |
12,637 286 12,924 |
2,446 286 2,733 |
群馬県 | 前橋ほか5 前橋ほか2 小計 |
417 54 |
17 3 |
7,811 1,229 9,041 |
1,315 1,229 2,545 |
埼玉県 | 川口ほか3 大宮ほか2 小計 |
343 83 |
9 3 |
2,619 2,136 4,755 |
501 2,136 2,637 |
千葉県 | 千葉ほか6 千葉ほか1 小計 |
525 33 |
18 2 |
14,626 815 15,441 |
1,531 815 2,347 |
東京都 | 五反田ほか10 渋谷ほか5 小計 |
958 218 |
30 6 |
20,510 1,677 22,188 |
4,178 1,677 5,856 |
神奈川県 | 横浜ほか6 横浜ほか1 小計 |
341 96 |
17 6 |
7,465 2,697 10,162 |
3,798 2,697 6,495 |
新潟県 | 新発田ほか2 新発田ほか1 小計 |
140 30 |
4 2 |
1,551 379 1,931 |
281 379 661 |
福井県 | 武生ほか2 福井ほか1 小計 |
122 22 |
4 2 |
1,697 670 2,368 |
526 670 1,197 |
山梨県 | 甲府ほか2 塩山 小計 |
192 5 |
9 1 |
5,542 242 5,784 |
856 242 1,098 |
岐阜県 | 大垣ほか1 中津川 小計 |
256 10 |
3 1 |
3,011 175 3,187 |
345 175 521 |
愛知県 | 名古屋東ほか8 名古屋東ほか2 小計 |
635 58 |
28 5 |
19,659 2,536 22,196 |
5,984 2,536 8,521 |
滋賀県 | 大津ほか5 大津 小計 |
287 20 |
14 1 |
4,206 693 4,900 |
1,955 693 2,649 |
京都府 | 京都西陣ほか1 福知山 小計 |
159 12 |
4 1 |
1,945 130 2,075 |
603 130 733 |
大阪府 | 梅田ほか7 河内柏原 小計 |
466 14 |
18 1 |
9,747 648 10,396 |
2,367 648 3,016 |
奈良県 | 奈良ほか4 奈良ほか1 小計 |
182 19 |
12 3 |
7,089 1,126 8,216 |
2,073 1,126 3,199 |
和歌山県 | 和歌山ほか1 和歌山 小計 |
175 44 |
10 2 |
6,115 497 6,613 |
1,612 497 2,110 |
島根県 | 松江ほか5 出雲 小計 |
305 24 |
10 1 |
7,373 660 8,033 |
777 660 1,437 |
広島県 | 広島東 広島東 小計 |
50 14 |
1 1 |
1,188 1,031 2,219 |
74 1,031 1,106 |
福岡県 | 福岡中央ほか7 福岡中央ほか2 小計 |
779 66 |
30 4 |
26,059 525 26,584 |
3,514 525 4,039 |
長崎県 | 長崎ほか1 小計 |
219 - |
5 - |
1,828 - 1,828 |
611 - 611 |
熊本県 | 熊本ほか6 水俣 小計 |
395 5 |
17 1 |
10,186 348 10,535 |
2,965 348 3,314 |
宮崎県 | 宮崎ほか5 小計 |
676 - |
28 - |
15,033 - 15,033 |
2,834 - 2,834 |
沖縄県 | 那覇ほか1 那覇ほか1 小計 |
240 54 |
15 2 |
6,074 515 6,589 |
2,379 515 2,894 |
計 | 145箇所 45箇所 |
10,371 958 |
388 55 |
234,867 20,725 |
56,558 20,725 |
合計 | 255,592 | 77,283 |
(注1) 上段は基本手当に係る分、下段は再就職手当に係る分である。
(注2) 公共職業安定所のうち、基本手当と再就職手当の双方について不適正な支給があったものが43、基本手当のみのものが102、再就職手当のみのものが2あり、したがって、公共職業安定所の実数は147である。
(注3) 受給中に他県の公共職業安定所の管轄内に住居を変更した者が1人いて重複計上されているので、本院が調査した基本手当の受給の実人員は10,370人、基本手当の不適正受給の実人員は387人である。
(注4) 不適正受給者のうち、基本手当と再就職手当の双方に係る者が52人、基本手当のみの者が335人、再就職手当のみの者が3人おり、したがって、基本手当と再就職手当に係る不適正受給の実人員は390人である。