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  • 平成7年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第11 建設省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

開削工法による下水道管布設工事における埋戻工費の積算を経済的な機械施工にするよう改善させたもの


(1) 開削工法による下水道管布設工事における埋戻工費の積算を経済的な機械施工にするよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計(組織)建設本省 (項)都市計画事業費
(項)北海道都市計画事業費
(項)沖縄開発事業費
(項)離島振興事業費
部局等の名称 北海道ほか18府県
補助の根拠 下水道法(昭和33年法律第79号)
事業主体 道1、県3、市36、町38、村5、組合2、計85事業主体
補助事業 東藻琴村特環公共下水道東藻琴幹線ほか178事業
補助事業の概要 下水道整備事業の一環として、開削工法により下水道管を布設するなどの事業
事業費 16,746,676,535円 (平成6、7両年度)
上記に対する国庫補助金交付額 8,679,250,069円
過大積算額 1億6150万円 (平成6、7両年度)
上記に対する国庫補助金相当額 8420万円
<検査の結果>

 上記の補助事業において、開削工法による下水道管布設工事の埋戻工費の積算(積算額計2億8615万余円)が適切でなかったため、積算額が約1億6150万円(国庫補助金相当額約8420万円)過大になっていた。
 このように積算額が過大になっていたのは、事業主体において、近年の建設機械の性能向上等により経済的な機械による埋戻工の施工が可能となってきているのに、これを積算に反映させていなかったことにもよるが、建設省において、各事業主体が適切な積算を行うことができるよう措置していなかったことによると認められた。

<当局が講じた改善の処置>

  本院の指摘に基づき、建設省では、平成8年11月に、都道府県等に対し、埋戻工費の積算を、管部分の埋戻しの土砂の投入についても機械により行うこととするよう通達を発するなどし、同月以降積算する工事から適用することとする処置を講じた。

1 工事の概要

 (下水道管布設工事の概要)

 建設省では、下水道の整備を計画的に推進するため、下水道整備事業を実施する地方公共団体(以下「事業主体」という。)に対し、毎年度多額の国庫補助金を交付している。そして、北海道ほか3県(注1) 、及び北海道ほか18府県(注2) 管内の81市町村等、計85事業主体では、平成6、7両年度に、下水道管を布設するため、東藻琴村特環公共下水道東藻琴幹線工事ほか178工事を工事費総額167億4667万余円(国庫補助金86億7925万余円)で施行している。
 上記の各工事は、主として開削工法により下水道管を布設するもので、この工法は、バックホウで道路等を掘削して矢板等で土留めを施し、その溝に下水道管を布設して、最後に溝を埋め戻して復旧するものである。

 (埋戻工の施工方法)

 このうち、溝の埋戻し作業(以下「埋戻工」という。)については、建設省が発した「開削工法による下水道管きょ布設工事に伴う埋め戻し工について」(昭和53年都下公発第58号。以下「埋戻し通達」という。)等により、次のとおり施工することとなっている(参考図参照)

(ア) 溝の底面から布設した管の天端上30cmまでの部分(以下、この部分を「管部分」という。)については、埋戻しの際の土砂の投入による衝撃で、管にき裂、横ずれ等を生じるおそれがあるなどのため人力で土砂を投入する。

(イ) 管部分より上の部分については、バックホウ等の機械で土砂を投入する。

 (埋戻工費の積算)

 前記各工事の工事費の積算については、建設省が示している「下水道用設計標準歩掛表」を基に都道府県等が定めた積算基準により算定することとなっている。そして、前記の各事業主体では、本件各工事の埋戻工費について、埋戻し通達等により管部分の土砂の投入を人力によることとして、積算基準に基づき、総額2億8615万余円と積算していた。

2 検査の結果

 (調査の観点)

 開削工法による下水道管布設工事における埋戻工については、近年、建設機械の性能も向上し、施工の機械化が進展してきていることなどから、管部分の土砂の投入を人力によるとしていることが適切かという観点から施工の実態等を調査した。

 (調査の結果)

 調査したところ、次のような状況となっていた。

(ア) 埋戻しに使用されるバックホウについては、近年、バケットやブームがコンピュータで制御されていて作業性能が向上しており、バケットを所定の位置に正確に停止させるなどの制御装置の付いた機種も普及してきている。このため、管に衝撃を与えないように管の天端上の所定の高さまでバケットを下げて、土砂の投入を容易に行えるようになっていた。

(イ) 施工状況をみると、埋戻しの土砂の投入前に、あらかじめ、管の両脇を土のうで固定したり、管径に合わせたU字形の鉄筋で管を固定したりなどして、管の横ずれ等を防止する工法が採られている。このため、機械で土砂を投入することとしても管の横ずれ等は生じないものとなっていた。

(ウ) 一部の事業主体では、管部分の土砂の投入を機械によることとして積算し、実際の施工も機械により特に支障なく行っていた。

 したがって、上記の状況からみて、下水道管布設工事の埋戻工における管部分の土砂の投入は、現場条件等に支障がある場合を除き機械によることとし、これにより積算すべきであると認められた。

 (低減できた積算額)

 上記により、本件各工事における埋戻工のうち管部分の埋戻工費について、埋戻しの土砂の投入を人力に代えて機械によることとして修正計算すると、積算額を約1億6150万円(国庫補助金相当額約8420万円)低減できたと認められた。

 (発生原因)

 このような事態が生じていたのは、事業主体において、近年の建設機械の性能向上等を積算に反映させた経済的な機械による埋戻工の施工方法についての検討が十分でなかったことにもよるが、建設省において、各事業主体が適切な積算を行うことができるような措置を講じていなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、建設省では、8年11月に、都道府県等に対し、開削工法による下水道管布設工事における埋戻工費の積算を、管部分の埋戻しの土砂の投入についても機械により行うこととするよう通達を発するなどし、同月以降積算する工事から適用することとする処置を講じた。

 (注1)  北海道ほか3県 北海道、秋田、群馬、埼玉各県

 (注2)  北海道ほか18府県 北海道、京都、大阪両府、宮城、秋田、群馬、埼玉、神奈川、新潟、富山、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、香川、大分、沖縄各県

(参考図)

(参考図)