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  • 平成7年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 第2 農林漁業金融公庫|
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  • 貸付金

農地等取得資金等の貸付けが不当と認められるもの


(220)−(221) 農地等取得資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 青森、松山両支店
受託金融機関 青森県信用農業協同組合連合会ほか1金融機関
貸付けの根拠 農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)
貸付金の種類 農地等取得資金、中山間地域活性化資金
貸付けの内容 農林漁業者等に対する農地等取得資金等の貸付け
貸付件数 2件
貸付金の合計額 119,240,000円
不当貸付金額 12,464,702円
 上記の2支店で行った2件119,240,000円の貸付けにおいて、12,464,702円の貸付けがその目的に沿わない結果になっていて、不当と認められる。

1 貸付金の概要

 農林漁業金融公庫(以下「公庫」という。)は、農林漁業者等に対して、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
 このうち、公庫が直接貸付けを行う場合は、公庫が借入申込書類を審査して、所定の条件を満たしていると認めたものに対して貸し付け、事業の完成状況、事業費の支払状況等によって貸付金の使途などを確認することとしている。また、公庫が金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が借入申込書類の審査を行い、一部の資金については公庫が貸付決定を行うこととしているが、そのほかの資金については受託金融機関が公庫の直接貸付けの場合に準じて貸付け等の事務を行うこととしている。

2 検査の結果

 公庫の貸付けについて調査した結果、2件119,240,000円の貸付けにおいて、12,464,702円の貸付けが不当と認められる。これらの資金の借入者からは、事実と相違した内容の借入申込みや事業完成報告がされるなどしていた。しかし、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付対象とならない事業に対して貸し付けているなどしていた。

 これを貸付先別に示すと次のとおりである。

支店名
(受託金融機関名)
貸付先
(所在地)
貸付対象 貸付年月
(貸付利率)
貸付対象事業費 左に対する貸付金額 貸付金額のうち不当と認める額 摘要
(農地等取得資金)

(220)

青森支店
(青森県信用農業協同組合連合会)

農業者
(五所川原市)

農地の取得

4.6
(年3.5%)
千円
36.742
千円
36,740
千円
4,876

過大貸付
 この貸付けは、農地(40,375m2 )の取得に必要な資金36,742,000円の一部として、36,740,000円を貸し付けたものである。借入者は、経営規模を拡大することにより農業経営の改善を図るため、経営農地25,934m2 に加え、上記の農地を取得するとして本資金を借り入れていた。
 本資金については、借入者が借入申請前3箇年以内に経営農地を縮小した場合には、貸付けの対象としないこととなっているが、経営農地を公共用地として売却した場合には、取得所要額から売却代金を控除した額を貸付けの対象とすることとなっている。ただし、この売却代金からは、農業経営の規模の拡大を図るために必要と認められる費用などについては控除できるものとしている。
 本件借入者は、本資金の借入れ前に上記経営農地の一部10,400m2 を工業団地等の公共用地として売却することとし、売却代金の一部として18,000,000円を受領していた。しかし、本件貸付対象事業費の算定に当たり、上記受領額から経営規模の拡大を図るために必要なコンバイン、トラクター等の購入費用合計13,121,097円を控除した残額4,878,903円を取得所要額から控除していなかった。
 したがって、この残額を貸付対象事業費から控除して適正な貸付金額を計算すると31,863,097円となるので、本件貸付金額との差額4,876,903円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高3,958,387円については、平成8年10月に繰上償還された。
(中山間地域活性化資金)
(221) 松山支店
(株式会社伊予銀行)
製材業者
(伊予市)
全自動ツイン帯のこ盤等の設置等 6.12
(年4.5%)
103,129 82,500 7,587 貸付対象外
 この貸付けは、全自動ツイン帯のこ盤、自動搬送装置等機械設備の設置等に必要な資金103,129,000円の一部として、82,500,000円を貸し付けたものである。借入者は、この事業を96,889,961円で実施したとして、上記貸付金から事業費の減少に伴う5,000,000円を繰上償還し、平成7年2月に貸付金77,500,000円の払出しを受けていた。
 受託金融機関は、本件貸付けに当たり、貸付対象事業費の支払状況等の確認を十分行わず、事業が完了していないのに、繰上償還後の貸付金全額を払い出していた。そして、8年3月及び5月に、受託金融機関が、貸付対象事業費の確認を行ったところ、自動搬送装置について事業費が減少するなどしていて、実際の事業費は上記の貸付対象事業費96,889,961円を下回っていた。受託金融機関は、この貸付対象事業費の減少額を補うため、耳すり機(注) 、おがくず送風機等の設置等(事業費合計10,162,640円)を新たに貸付対象事業に加えるなどして、貸付対象事業費を97,552,892円に変更した事業完成報告書を借入者から提出させていた。
 しかし、貸付対象事業の変更は、最終の貸付金の払出しから12箇月以内に限って認められているのに、本件貸付対象事業の変更は、上記のとおり、最終の貸付金の払出し後12箇月を超えており、新たに貸付対象に加えた機械設備の設置等は貸付けの対象にならないものである。その結果、貸付対象となる事業費は87,390,252円となる。
 なお、上記のうち、耳すり機の設置(事業費6,500,000円)については、借入者は、7年7月に、既に全額愛媛県から林業改善資金の貸付けを受けて実施していた。
 したがって、この事業についての適正な貸付金額を計算すると69,912,201円となるので、上記の繰上償還後の貸付金額77,500,000円との差額7,567,799円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、8年9月に繰上償還された。
(注)  耳すり機  丸太から取った板材の両側面を整形し一定の幅に仕上げる機械
(220)(221) の計 139,871 119,240 12,464