科目 | (住宅・都市整備勘定)(項)宅地造成費 |
部局等の名称 | 中部、関西両支社、首都圏都市開発本部、南多摩開発局 |
工事名 | 播磨地区5−H工区他整地工事ほか29工事 |
工事の概要 | 都市開発事業の一環として、大規模な宅地等の造成を行う工事 |
工事費 | 7,703,205,200円 |
請負人 | 前田・大本建設工事共同企業体ほか29会社 |
契約 | 平成6年3月〜8年3月 指名競争契約、指名競争後の随意契約 |
節減できた整形費 | 6570万円 |
上記の各工事において、切土法面の整形を現場の状況に応じた適切なものとすることにより、整形費(積算額計2億4633万余円)を約6570万円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、切土法面の経済的な整形についての配慮が十分でなく、現場の状況に応じた切土法面の整形に関する仕様、積算方法等が定められていなかっ
たことなどによると認められた。
本院の指摘に基づき、住宅・都市整備公団では、平成8年11月に、切土法面の整形に関する仕様、積算方法等が現場の状況に応じた適切なものとなるよう仕様書及び積算の基準を改正し、同年12月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。
1 工事の概要
(工事の内容)
住宅・都市整備公団(以下「公団」という。)中部支社ほか3支社等(注)
では、都市開発事業の一環として、平成7年度に、切土・盛土工、法面工、調整池設置工等を行う大規模な宅地等の造成工事を30工事(工事費総額77億0320万余円)施行している。
そして、これらの工事では、切土部の法面工として、切土工で生じた凹凸のある斜面を所定の勾配に削り取りながら平たんに整形する法面整形工(以下「整形工」という。)を施工している。これは、法面表土の周辺への流失防止を目的として施工する種子吹付け等の法面保護(以下「保護工」という。)の下地処理などのために行うものである。
上記各工事の切土法面には、整形工を施工した後、保護工を施工するなどして完成させるものと、土工事を段階的に施工しなければならないことなどから、将来、別途工事で更に切土を予定しているものとがある。
(整形工の仕様及び整形費の積算)
公団では、法面の整形について、本社制定の「工事共通仕様書」(以下「仕様書」という。)において、法面が波打つことなどのないように仕上げると定めている。
また、切土法面の整形費については、本社制定の「土木工事積算要領」(以下「積算要領」という。)等において、設計図面に勾配を規定した法面について計上するものとしており、地山の土質が砂質土等の場合にはバックホウ及び人力により、中硬岩等の場合には人力により施工することとした歩掛かりを定めている。そして、前記4支社等では、本件30工事で施工する切土法面358,045m2
のすべてについてこのような施工方法により整形工を施工することとし、このうち別途工事で更に切土する予定の法面292,294m2
の整形費を、積算要領等に基づき、総額2億4633万余円と積算していた。
2 検査の結果
(調査の観点)
整形工において人力を伴う施工をすることとしているのは、保護工の下地処理として必要な程度の整形の精度を確保するためであるが、本件各工事における別途工事で更に切土する予定の法面についてもこのような精度の整形工を施工する必要があるかについて調査した。
(調査の結果)
調査したところ、前記の別途工事で更に切土する予定の292,294m2 の切土法面のうち114,981m2 については、保護工を施工するなどしていたが、残りの177,313m2 については、次の理由から法面保護の必要がないとして、保護工を施工していなかった。
〔1〕 切土法面が宅地、河川、一般の人が通行する道路等に面していない現場で施工されていること
〔2〕 公団では、近年、開発地区外への配慮から、工事用の調整池等をきめ細かく設置するなど防災管理体制の整備を図っており、法面表土が流出するなどしても開発地区外に影響を及ぼすこともないこと。
したがって、上記の切土法面177,313m2
については、保護工の下地処理として必要な程度の整形の精度を確保するために人力を伴う整形工を施工する必要はなく、バックホウや大型ブレーカ等の切土工に使用する機械をそのまま使用して法面を削り取って仕上げる経済的な整形を行えば足りると認められた。
(節減できた整形費)
上記により、本件各工事における切土法面の整形費を修正計算すると、1億8056万余円となり、前記の整形費2億4633万余円を約6570万円節減できたと認められた。
(発生原因)
このような事態が生じていたのは、切土法面の経済的な整形についての配慮が十分でなく、仕様書及び積算要領等に現場の状況に応じた切土法面の整形に関する仕様、積算方法等が定められていなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、公団では、8年11月に、切土法面の整形に関する仕様、積算方法等が現場の状況に応じた適切なものとなるよう仕様書及び積算要領等を改正し、同年12月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。
(注) 中部支社ほか3支社等 中部、関西両支社、首都圏都市開発本部、南多摩開発局