科目 | (助成勘定) (項)助成事業費 |
部局等の名称 | 畜産振興事業団(平成8年10月1日以降は「農畜産業振興事業団」) |
補助の根拠 | 畜産物の価格安定等に関する法律(昭和36年法律第183号) |
事業主体 | 社団法人中央酪農会議 |
指定団体 | (1) | 大阪府総合畜産農業協同組合連合会 |
(2) | 栃木県酪農業協同組合連合会 |
助成の事業 | 生乳供給調整緊急推進 |
事業の概要 | 生乳需給の均衡化の促進を図るため、指定団体が若齢搾乳牛をとう汰し肉用化した酪農経営者に対して奨励金を交付する場合などに、社団法人中央酪農会議が畜産振興事業団の補助を受けて当該指定団体に助成金を交付するもの |
不適正な助成金の額 | (1) | 平成5年度 | 3,150,000円 |
(2) | 平成6年度 | 3,720,000円 | |
計 | 6,870,000円 | ||
不当と認める事業団の補助金相当額 | (1) | 平成5年度 | 3,150,000円 |
(2) | 平成6年度 | 3,720,000円 | |
計 | 6,870,000円 |
1 事業の概要
(生乳供給調整緊急推進事業の概要)
畜産振興事業団(以下「事業団」という。)では、畜産物の価格安定等に関する法律(昭和36年法律第183号)に基づき、社団法人中央酪農会議(以下「中央酪農会議」という。)に対して、輸入乳製品の売買差益等を財源とする補助金を交付している。
そして、中央酪農会議では、事業団の補助金を財源として造成した基金により平成5年度から、生乳需給の均衡化の促進を図るため、指定団体(注)
が実施する生乳供給調整緊急推進事業に対して助成金を交付している。この事業は、生乳供給調整緊急推進奨励金交付事業(以下「奨励金交付事業」という。)等から成っている。そして、奨励金交付事業は、指定団体が、若齢搾乳牛をとう汰し肉用化した酪農経営者に対し、牛1頭当たり30,000円の奨励金を交付する場合に、中央酪農会議が当該指定団体に同額の助成金を交付するものである。
この奨励金交付事業の交付対象となる牛(以下「対象牛」という。)は、次のすべての要件を満たすこととされている。
(ア) 搾乳中の牛であって、搾乳中止時に4歳齢以下であること
(イ) 家畜共済(農業災害補償法(昭和22年法律第185号)第83条で規定する家畜共済をいう。)の共済金の支払対象となっている疾病牛又は傷害牛でないこと
(ウ) 各事業実施年度の12月31日までに搾乳を中止し、かつ当該事業実施年度の3月31日までにと畜された牛であること
(助成金及び奨励金の交付手続)
奨励金交付事業に係る助成金及び奨励金の交付手続は次のとおりとなっている。
(ア) 農業協同組合(以下「農協」という。)等は、酪農経営者が提出するとう汰予定牛の生年月日等を記載した奨励金交付事業参加申込書(以下「参加申込書」という。)を取りまとめ、事業実施計画を作成し指定団体に提出する。
(イ) 農協等は、酪農経営者から提出された家畜登録証書、健康手帳、と畜証明書等の証拠書類などにより、対象牛の要件等に照らし奨励金交付事業が適正に行われているか調査確認し、対象牛の名号、生年月日、と畜年月日等を記載した事業の実績報告書を指定団体に提出する。そして、指定団体は、農協等における確認及び証拠書類の整備が適正であるか調査確認し、農協等からの実績報告書を取りまとめ中央酪農会議へ提出する。
(ウ) 中央酪農会議は、実績報告書が適正と認めた場合は、指定団体に対し助成金の交付を行い、指定団体は、酪農経営者に奨励金を交付する。
(注) 指定団体 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法(昭和40年法律第112号)に基づき、都道府県知事の指定を受けた生乳生産者団体
2 検査の結果
検査したところ、(ア)指定団体である大阪府総合畜産農業協同組合連合会(以下「府畜連」という。)において、酪農経営者からの参加申込書が農協へ提出されていないのに、農協からとう汰予定頭数を聞きとり、とう汰する牛を特定しないまま牛105頭をとう汰することとして奨励金交付事業を実施していた。このため、府畜連では、証拠書類が整わず、奨励金交付の要件が満たされている牛の調査確認ができなかったにもかかわらず、事業を完了したとして実績報告書を中央酪農会議に提出し、対象牛105頭分の助成金3,150,000円の交付を受けていた。また、(イ)指定団体である栃木県酪農業協同組合連合会(以下「県酪連」という。)において、酪農経営者59人が農協等に提出した対象牛をとう汰したとする証拠書類に対する調査確認が十分でなかったため、搾乳中止時点において4歳を超えているなど対象牛とならない牛124頭分の奨励金を不適正に交付していた。そして、県酪連では、これに対する助成金3,720,000円の交付を受けていた。
したがって、これらに対する事業団の補助金相当額計6,870,000円が不当と認められる。