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  • 平成8年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第1 総理府|
  • (防衛庁)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

公共下水道への汚水排出量を把握することにより、駐屯地における下水道料金の支払を適切なものにするよう改善させたもの


公共下水道への汚水排出量を把握することにより、駐屯地における下水道料金の支払を適切なものにするよう改善させたもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)防衛本庁 (項)防衛本庁
部局等の名称 陸上自衛隊旭川駐屯地ほか3駐屯地
契約の概要 陸上自衛隊旭川駐屯地等において汚水を排出するため関係地方公共団体の公共下水道を使用するもの
契約の相手方 旭川市ほか3市
支払 平成7年5月〜9年4月
支払金額 506,029,486円(平成7、8両年度)
節減できた下水道料金 7,920万円(平成7、8両年度)

<検査の結果>
 上記の4駐屯地において、下水道料金の支払に当たり、公共下水道に接続する汚水排水設備に汚水流量計を設置して、これにより計量したものを公共下水道への汚水排出量として関係地方公共団体の認定を受けたとすれば、下水道料金を約7,920万円節減できたと認められた。
 このような事態が生じていたのは、防衛庁において、汚水流量計による汚水排出量の認定について周知徹底を図っていなかったこと、また、4駐屯地において、汚水流量計により汚水排出量の実態を把捉して、関係地方公共団体の認定を受ける手続を執っていなかったことによると認められた。
<当局が講じた改善の処置>
 本院の指摘に基づき、防衛庁では、平成9年10月に各自衛隊等に対し通知を発し、汚水流量計による関係地方公共団体の汚水排出量の認定の促進について周知徹底を図るとともに、4駐屯地では速やかに汚水流量計を設置し、関係地方公共団体の汚水排出量の認定を受けることとする処置を講じた。

1 下水道料金支払の概要

(駐屯地で使用する水道水等)

 陸上自衛隊の駐屯地では、水道水等を生活用水として使用しているほか、洗車場や蒸気ボイラー設備等へ給水するなどしている。
 そして、公共下水道が整備されている地域に所在する駐屯地では、駐屯地内で発生した汚水を公共下水道に排出しており、これを管理する地方公共団体(以下「関係地方公共団体」という。)に対し下水道料金を支払っている。

(下水道料金の算定)

 下水道料金は、関係地方公共団体が、その下水道条例等に基づき、公共下水道の使用者(以下「使用者」という。)の汚水排出量を定められた期間ごとに認定し、その量に所定の1m3 当たり単価を乗ずるなどして算定している。
 このうち、汚水排出量の認定は次のように行うこととなっている。

(ア) 原則として水道水等の使用量をもって汚水排出量とする。

(イ) 水道水等の使用量が公共下水道に排出される汚水量と著しく異なる場合には、使用者の申告により、公共下水道に排出した汚水の量をもって汚水排出量とする。

(汚水排出量の認定方法)

 上記(イ)の汚水排出量の認定には、次のような方法がある。

(ア) 給水された水道水等の相当量が公共下水道へ排出されない特定の施設や設備ごとに、給水量を計量するための計測器(以下「水量計」という。)を設置し、この水量計で計量した水量を水道水等の使用量から控除した水量を汚水排出量とする。

(イ) 公共下水道に接続する汚水排水設備に、各施設からの汚水量を一括して計量するための計測器(以下「汚水流量計」という。)を設置し、これにより計量した水量を汚水排出量とする。

2 検査の結果

(調査の観点)

 陸上自衛隊の駐屯地の汚水排出量の認定が、駐屯地における汚水排出の実態に適合したものとなっているかという観点から調査した。

(調査の結果)

 公共下水道が整備されている地域に所在し、大量の水道水等を使用している駐屯地について調査したところ、次のとおりとなっていた。

 すなわち、旭川、真駒内、帯広及び豊川各駐屯地では、平成7、8両年度の水道水等の使用量から洗車場、蒸気ボイラー設備等に設置した水量計で計量した水量(以下「減水量」という。)を控除した水量を汚水排出量として関係地方公共団体から認定を受けており、減水量の割合は7、8両年度平均で3.8%から13.7%となっていた。そして、4駐屯地で、7年度245,936,714円、8年度260,092,772円、計506,029,486円の下水道料金を関係地方公共団体に支払っていた。

 しかし、上記の4駐屯地では、敷地が広大で人員も多く、訓練場等の施設も多岐にわたっており、水道水等は、生活用水のほか野外訓練等の各方面で大量に使用されている状況であった。このため、生活上及び業務上使用した水道水等で公共下水道に排出されない水量は相当量あると見込まれた。そして、このような場合には、水量計により減水量を施設等ごとに把握して汚水排出量を求める方法よりも、汚水流量計により各施設からの汚水排出量を一括して把握する方法の方が汚水排出量をより的確に把握できると認められた。

 そして、既に汚水流量計を設置して関係地方公共団体から汚水排出量の認定を受けている駐屯地では、7、8両年度平均の公共下水道に排出されない水量の割合は、27.4%から36.5%となっていた。また、駐屯地等の汚水排水設備の設計に当たって適用することとしている防衛施設庁の下水道施設設計要領では、駐屯地等の汚水排出の実態調査の結果などに基づき、公共下水道に排出されない水量の割合を25%としている。

 したがって、前記の4駐屯地においては、水道水等の使用量が大量となっていることから、新たに必要となる汚水流量計の設置費を考慮したとしても、下水道料金の節減効果が早期に実現できるものであり、関係地方公共団体から汚水流量計による汚水排出量の認定を受け、下水道料金の支払を適切なものにする要があると認められた。

(節減できた下水道料金)

 汚水排出量について、公共下水道に排出されない水量の割合を、前記の設計要領で採用している25%によることとして下水道料金を修正計算すると、7年度195,590,771円、8年度208,751,037円、計404,341,808円となり、当初必要となる汚水流量計の設置費を考慮したとしても、7、8両年度において計約7,920万円が節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、防衛庁において、汚水流量計による汚水排出量の認定について周知徹底を図っていなかったこと、また4駐屯地において、汚水流量計により汚水排出量の実態を把握して、関係地方公共団体の認定を受ける手続を執っていなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、防衛庁では、9年10月に各自衛隊等に対し通知を発し、汚水流量計による関係地方公共団体の汚水排出量の認定の促進について周知徹底を図るとともに、4駐屯地では、速やかに汚水流量計を設置し、関係地方公共団体の汚水排出量の認定を受けることとする処置を講じた。