会計名及び科目 | 印刷局特別会計 (項)事業費 |
部局等の名称 | 印刷局 |
契約の概要 | 日本銀行券用紙等を製造するための原材料である輸入パルプの購入契約(80契約) |
契約の相手方 | 東邦ワラパルプ株式会社ほか7会社 |
契約 | 平成7年5月〜9年3月 一般競争契約、随意契約 |
契約金額 | 4,523,834,498円(平成7、8両年度) |
低減できた積算額 | 950万円(平成7、8両年度) |
1 契約の概要
印刷局では、日本銀行券用紙等を製造するため、本局において、その原材料である輸入パルプの購入契約をパルプ輸入業者(以下「納入業者」という。)との間で締結しており、平成7、8両年度の契約件数、金額は計80件、45億2383万余円となっている。
そして、上記契約において、輸入パルプは、輸入港で陸揚げし、倉庫業者の倉庫等にいったん保管した後、日本銀行券用紙等の製造を行っている小田原、岡山両工場(以下「小田原工場等」という。)に納入させることとなっている。
上記契約の予定価格については、本局において、輸入パルプの1kg当たりの購入単価を算定し、これに数量を乗ずるなどして積算している。この購入単価は、輸入パルプの原材料価格等を基に輸入単価を算出し、この単価に倉庫業者の倉庫等から小田原工場等に納入するための運送経費を加えるなどして算定している。
上記の運送経費については、次の費用を算出し、これらを合計して積算している。
〔1〕 倉庫業者の倉庫等から、車上に積み込む庫出作業に要する費用
〔2〕 倉庫業者の倉庫等から小田原工場等までの運搬に要する費用
〔3〕 車上から小田原工場等の倉庫に搬入・格納する庫入作業に要する費用(以下「庫入料」という。)
そして、7、8両年度の輸入バルブの運送経費の積算額は、小田原工場に係る分5149万余円、岡山工場に係る分8920万余円、計1億4069万余円となっている。
2 検査の結果
購入単価の算定に当たり、小田原工場等に納入される輸入パルプ以外の原材料に係る運送経費の積算には庫入料を含めていないのに、輸入パルプについては、納入業者が庫入作業を行うとして運送経費を積算していることから、この積算が作業の実態に適合したものとなっているかなどの観点から調査を行った。
調査したところ、岡山工場においては、本局の積算のとおり納入業者が輸入パルプの庫入作業を行っていたものの、小田原工場においては、次のとおり、7年度以降、納入業者は輸入パルプの庫入作業を行っていなかった。
すなわち、小田原工場では、6年度までは、納入業者が荷役業者に委託して庫入作業を行っていたが、7年度からは、納入業者は、輸入パルプを貨物自動車で小田原工場倉庫の入口まで運搬した後、工場職員に送り状を渡して納品に立ち合うだけであった。そして、庫入作業については、別途小田原工場が荷役業者との間で締結した庫入作業の請負契約に基づき、輸入パルプ以外の原材料の庫入作業とともに当該荷役業者に行わせていた。
したがって、小田原工場に係る輸入パルプの運送経費の積算に当たっては、上記の作業実態からみて、庫入料を算定する必要はないと認められ、積算を作業の実態に適合した経済的なものとなるよう改める要があると認められた。
上記により、小田原工場に係る輸入パルプの運送経費の積算に当たり、庫入料を除外して修正計算すると、前記の小田原工場に係る積算額5149万余円は4195万余円となり、積算額を約950万円低減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、本局において、小田原工場との連絡調整を十分行っておらず、小田原工場における輸入パルプの庫入作業の実態を十分に把握しないまま、運送経費の庫入料の積算を行っていたことによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、印刷局では、9年6月以降に締結する購入契約から、小田原工場に係る輸入パルプの運送経費の積算において庫入料を含めないこととし、積算を作業の実態に適合したものに改めるとともに、同工場に対して通知を発し、その旨の周知を図る処置を講じた。