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  • 平成8年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第5 厚生省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

公共下水道への汚水排出量を把握することにより、国立病院等における下水道料金の支払を適切なものにするよう改善させたもの


(2) 公共下水道への汚水排出量を把握することにより、国立病院等における下水道料金の支払を適切なものにするよう改善させたもの

会計名及び科目 国立病院特別会計 (病院勘定)
(療養所勘定)
(項)病院経営費
(項)療養所経営費
部局等の名称 国立病院東京災害医療センターほか6病院
契約の概要 国立病院東京災害医療センター等において汚水を排出するため関係地方公共団体の公共下水道を使用するもの
契約の相手方 東京都及び6市
支払 平成7年5月〜9年4月
支払金額 390,635,347円(平成7、8両年度)
節減できた下水道料金 1810万円(平成7、8両年度)
<検査の結果>
 上記の7病院において、下水道料金の支払に当たり、水道水等の使用量から蒸気ボイラー設備等の稼働による減水量を控除したものを公共下水道への汚水排出量として関係地方公共団体の認定を受けたとすれば、下水道料金を約1810万円節減できたと認められた。
 このような事態が生じていたのは、厚生省において、汚水排出量の認定について周知徹底を図っていなかったこと、また、7病院において関係地方公共団体の下水道条例等を十分理解しておらず、実態に即した汚水排出量の認定を受ける手続を執っていなかったことによると認められた。
<当局が講じた改善の処置>
 本院の指摘に基づき、厚生省では、平成9年4月に病院に対し通知を発し、関係地方公共団体の下水道条例等における汚水排出量の認定について周知徹底を図るとともに、7病院では、汚水排出の実態を把握したうえ、同年9月までに関係地方公共団体から実態に即した汚水排出量の認定を受ける処置を講じた。

1 下水道料金支払の概要

(病院で使用する水道水等)

 厚生省が厚生省設置法(昭和24年法律第151号)等に基づいて設置している国立病院、国立療養所及び国立高度専門医療センター(以下「病院」という。)では、水道水等を生活用水として使用しているほか、入院患者等のための炊事、暖房等の熱源を供給する蒸気ボイラー設備及び病棟等の冷房を行う冷房設備(以下「蒸気ボイラー設備等」という。)へ給水するなどしている。

 そして、公共下水道が整備されている地域に所在する病院では、病院内で発生した汚水を公共下水道に排出しており、これを管理する地方公共団体(以下「関係地方公共団体」という。)に対し下水道料金を支払っている。

(下水道料金の算定)

 下水道料金の算定は、関係地方公共団体が、その下水道条例等に基づき、公共下水道の使用者(以下「使用者」とう。)の汚水排出量を定められた期間ごとに認定し、その量に所定の1m3 当たり単価を乗ずるなどして行っている。

 このうち、汚水排出量の認定は次のように行うこととなっている。

(ア) 原則として水道水等の使用量をもって汚水排出量とする。

(イ) 水道水等の使用量が公共下水道に排出される汚水量と著しく異なる場合には、使用者の申告により、水道水等の使用量から公共下水道に排出されない水量(以下「減水量」という。)を控除した水量を汚水排出量とする。

2 検査の結果

(調査の観点及び対象)

 病院における蒸気ボイラー設備等に給水された水は、相当量が蒸発するなどしていて公共下水道へ排出される汚水量は水道水等の使用量より相当程度減少していることが見込まれた。

 そこで、蒸気ボイラー設備等を設置している国立病院東京災害医療センターほか11病院(注1) における公共下水道への汚水排出の実態及び汚水排出量の認定状況について調査した。

(調査の結果)

 調査したところ、上記の12病院のうち、国立病院東京災害医療センターほか3病院(注2) では、蒸気ボイラー設備等に係る減水量の申告を関係地方公共団体に対し行っておらず、水道水等の使用量を汚水排出量として認定されるなどしていた。また、国立鯖江病院ほか2病院(注3) では、冷房設備に係る減水量の申告は行っていたものの、蒸気ボイラー設備に係る減水量の申告は行っておらず、水道水等の使用量から冷房設備に係る減水量のみを控除した水量を汚水排出量として認定されるなどしていた。そして、これら7病院においては、平成7、8両年度に計390,635,347円の下水道料金を関係地方公共団体に支払っていた。

 しかし、蒸気ボイラー設備等に給水された水は、設備の稼働に伴って相当量が蒸発するなどしている状況であるので、この分に係る水は公共下水道に排出されないものと認められた。

 本院において、上記の7病院における蒸気ボイラー設備等への給水量を測定機器等に基づき算出したところ、7、8両年度において計81,891m3 となっていた。これに対して、上記設備の稼働に伴って生じる減水量を関係地方公共団体から通知された算出方法等に基づき算出したところ、7、8両年度において計78,379m3 となっており、給水量の大部分が減水量となっていた。

 したがって、上記の7病院において、汚水排出の実態を十分に把握し、関係地方公共団体から、蒸気ボイラー設備又は冷房設備の稼働に伴って生じる減水量を控除した、実態に即した汚水排出量の認定を受けるよう手続を執り、下水道料金の支払を適切なものにする要があると認められた。

(節減できた下水道料金)

 汚水排出量について、上記の減水量78,379m3 を控除して下水道料金を修正計算すると、7、8両年度において計約1810万円が節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、厚生省において、汚水排出量の認定について周知徹底を図っていなかったこと、また、7病院において、関係地方公共団体の下水道条例等を十分理解しておらず、実態に即した汚水排出量の認定を受ける手続を執っていなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、厚生省では、9年4月に病院に対し通知を発し、関係地方公共団体の下水道条例等における汚水排出量の認定について周知徹底を図るとともに、7病院では、汚水排出の実態を把握したうえ、同年9月までに関係地方公共団体から実態に即した汚水排出量の認定を受ける処置を講じた。

(注1)  国立病院東京災害医療センターほか11病院 国立病院東京災害医療センター、国立大阪南、加古川、鯖江、指宿各病院、国立療養所西新潟中央、中信松本、岐阜、刀根山、東尾張各病院、国立がんセンター東病院、国立国際医療センター

(注2)  国立病院東京災害医療センターほか3病院 国立病院東京災害医療センター、国立指宿病院、国立療養所西新潟中央、岐阜両病院

(注3)  国立鯖江病院ほか2病院 国立鯖江病院、国立がんセンター東病院、国立国際医療センター