会計名及び科目 | 農業経営基盤強化措置特別会計 (項)農業改良資金貸付金 |
昭和59年度以前は、 一般会計(組織)農林水産本省(項)農業振興費 |
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部局等の名称 | 農林水産本省及び東北、関東、中国四国、九州各農政局 |
国の貸付金等 | 農業改良資金貸付金 (昭和59年度以前は、「農業改良資金助成補助金」) |
貸付け等の根拠 | 農業改良資金助成法(昭和31年法律第102号) |
貸付け等の内容 | 農業者等に対し農業改良資金の貸付けを行う都道府県に対する資金の貸付け等 |
貸付け・等先 | 北海道ほか6県 |
道県の貸付先 | 9農業者等 |
道県の貸付金額の合計 | 168,400,000円 | (国の貸付金等相当額112,266,664円) |
道県の不当貸付金額 | 33,980,149円 | |
貸付け等の目的に沿わない国の貸付金等相当額 | 22,653,430円 |
1 貸付金の概要
農林水産省では、農業者等における農業経営の改善等に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、当該貸付けに必要な資金の3分の2を無利子で貸し付けている(昭和59年度以前は当該額を補助金として交付している。)。
都道府県は、この国の貸付金及び補助金に自己資金等を合わせて農業改良資金として資金を造成し、能率的な農業技術の導入に必要な施設の設置又は機械の購入等を行う農業者等に対して、その必要な資金を無利子で貸し付けている。この農業改良資金の貸付けの限度額は、資金の種類によって、農林水産省令で定める標準資金需要額を基準として都道府県が定める額の100分の80又は100分の90などとなっている。また、償還期間は12年以内となっている。
農業改良資金の貸付けを受けようとする農業者等は、貸付申請書に事業計画を添えて貸付申請を行い、都道府県はその内容を審査の上貸付けの適否を決定することとなっており、農業者等が貸付申請前に完了した事業については、貸付対象としないこととされている。そして、借受者は、機械等を処分しようとする場合には都道府県知事の承認を受けることなどが貸付けの条件となっている。また、借受者は事業完了後に事業実施報告書を提出し、都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。
2 検査の結果
この農業改良資金の貸付けについて調査したところ、9農業者等に対する168,400,000円の貸付けにおいて、借受者が、施設等を貸付対象事業費より低額で設置などしたり、機械を道に無断で処分したり、貸付申請前に既に事業を完了したりしていた。このため、33,980,149円の貸付けが不当と認められ、ひいては国の貸付金等相当額22,653,430円が貸付け等の目的に沿わない結果になっていると認められる。
これを道県別に示すと次のとおりである。
道県名 | 貸付先 | 貸付対象 | 貸付年月 | 貸付対象事業費(同上に対する貸付金額) | 貸付対象として適切でない事業費(同上に対する貸付金相当額) | 貸付け等の目的に沿わない国の貸付金等相当額 | 摘要 | |
(212) |
北海道 |
農業者の組織する団体 |
米麦作用コンバイン等の購入等 |
4.9 |
千円 80,753 (64,600) |
千円 9,631 (7,705) |
千円 5,136 |
無断処分 |
この貸付けは、米麦作用コンバイン4台、トラクタ1台等の購入及び水稲用育苗ハウス(1棟180m2 )の設置に必要な資金80,753,933円の一部として、64,600,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの機械等を平成4年11月に購入するなどしたが、これらのうちコンバイン2台(貸付対象事業費19,275,420円)を、8年9月に道に無断で処分していた。
したがって、コンバイン2台に係る処分時点での貸付金残高相当額7,705,018円は、貸付けの目的を達成していない。
(213) | 岩手県 | 農業者 | 肥育牛舎等の設置 | 6.6 | 14,725 (13,250) |
2,166 (1,550) |
1,033 | 低額実施 |
この貸付けは、肥育牛舎(木造平屋建て1棟299m2 )及び堆肥舎(木造平屋建て1棟198m2 )の設置に必要な資金14,725,153円の一部として、13,250,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの施設を15,166,908円で設置したとしているが、実際は値引きを受けて、これより低額な13,000,000円で設置していた。
したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると11,700,000円となるので、本件貸付金額との差額1,550,000円が過大な貸付けとなっている。
(214) | 宮城県 | 農業者 | トラクタ等の購入 | 5.11 | 7,913 (6,330) |
7,913 (6,330) |
4,220 | 貸付対象外 |
この貸付けは、トラクタ、乾燥機等の購入に必要な資金7,913,490円の一部として、6,330,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの機械を資金の交付を受けた平成5年11月に購入したとしているが、実際は、貸付申請をした同年8月より前の4年8月に乾燥機等を、5年2月にトラクタをそれぞれ購入していた。
したがって、この事業は貸付対象にならないものである。
(215) | 宮城県 | 農業者 | 肥育牛舎の設置 | 7.4 | 20,909 (18,270) |
7,786 (6,458) |
4,305 | 低額実施 |
この貸付けは、肥育牛舎(木造平屋建て1棟760m2 )の設置に必要な資金20,909,000円の一部として、18,270,000円を貸し付けたものである。借受者は、この施設を複数の業者に請け負わせ20,909,700円で設置したとしているが、実際はそれぞれ値引きを受けるなどして、これより低額な13,123,552円で設置していた。
したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると11,811,196円となるので、本件貸付金額との差額6,458,804円が過大な貸付けとなっている。
(216) | 山梨県 | 農業者 | 複合環境制御温室の設置 | 7.6 | 9,638 (7,710) |
2,286 (1,828) |
1,218 | 低額実施及び貸付対象外 |
この貸付けは、花き栽培用の複合環境制御温室(注) (1棟324m2 )の設置に必要な資金9,638,000円の一部として、7,710,000円を貸し付けたものである。借受者は、この施設を平成7年6月に9,638,194円で設置したとしているが、このうち、鉄骨ハウス本体工事等(貸付対象事業費8,731,794円)は値引きを受けるなどして、実際は7,352,100円で実施していた。また、基礎工事(貸付対象事業費906,400円)は、貸付申請をした7年2月より前の6年6月に実施していて、貸付対象にならないものである。
したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると5,881,680円となるので、本件貸付金額との差額1,828,320円が過大な貸付けとなっている。
(注) 複合環境制御温室 作物の栽培に適した温度、水分等の環境を保つため、室温や水分等の変化に応じて暖房機の点火・消火又は窓の開閉、給水等を自動的に制御する機能を備えた温室
(217) | 静岡県 | 農業者 | ロックウール栽培装置の設置等 | 8.5 | 23,410 (23,000) |
3,051 (2,660) |
1,773 | 低額実施 |
この貸付けは、花き栽培用のロックウール栽培装置(注) の設置、苗木の購入等に必要な資金23,410,005円の一部として、23,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの装置等を23,390,648円で設置などしたとしているが、このうちロックウール栽培装置(貸付対象事業費14,020,381円)及び苗木(同3,334,419円)については、実際は値引きを受けて、それぞれ11,618,670円及び2,684,489円で設置などしていた。
したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると20,339,007円となるので、本件貸付金額との差額2,660,993円が過大な貸付けとなっている。
(注) ロックウール栽培装置 土壌の代わりに多孔質のロックウール(岩綿)を用いて、これに培養液を浸透させて作物を栽培する装置
(218) | 香川県 | 農業者 | 複合環境制御温室の設置 | 5.10 | 20,433 (16,300) |
3,000 (2,353) |
1,568 | 低額実施 |
この貸付けは、野菜栽培用の複合環境制御温室(2棟1,964m2 )の設置に必要な資金20,433,900円の一部として、16,300,000円を貸し付けたものである。
借受者は、この施設を20,433,179円で設置したとしているが、実際は値引きを受けて、これより低額な17,433,179円で設置していた。
したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると13,946,543円となるので、本件貸付金額との差額2,353,457円が過大な貸付けとなっている。
(219) | 福岡県 | 農業者 | 花き栽培用温室の設置 | 6.8 | 9,181 (9,000) |
3,843 (3,661) |
2,441 | 低額実施 |
(220) | 同 | 農業者 | 花き栽培用温室の設置 | 6.8 | 12,428 (9,940) |
1,793 (1,431) |
954 | 同 |
これらの貸付けは、同一世帯の2農業者に対し、花き栽培用温室(1棟540m2 及び1棟1,088m2 )の設置に必要な資金9,181,523円及び12,428,499円の一部として、それぞれ9,000,000円及び9,940,000円を貸し付けたものである。両借受者は、これらの施設を同一時期に同一業者に施工させ貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、実際はそれぞれ値引きを受けて、これより低額な5,338,171円及び10,635,341円で設置していた。
したがって、これらの事業についての適切な貸付金額を計算すると5,338,171円及び8,508,272円となるので、本件貸付金額との差額3,661,829円及び1,431,728円が過大な貸付けとなっている。
(212)-(220)の計 | 199,393 (168,400) |
41,472 (33,980) |
22,653 |