会計名及び科目 | 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費 |
部局等の名称 | 東北、関東、中部、近畿、中国、九州各通商産業局 |
助成の根拠 | 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号) |
事業主体 | 青森県ほか8県 |
事業の内容 | 中小企業者に対する無利子の設備近代化資金の貸付け |
貸付先 | 10中小企業者 |
貸付金額の合計 | 120,176,000円 (国庫補助金相当額60,088,000円) |
不当貸付金額 | 82,418,067円 |
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 | 41,209,033円 |
1 補助金の概要
中小企業庁では、中小企業者の設備の近代化に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、中小企業設備近代化補助金を交付している。
都道府県は、この補助金に自己資金等を合わせて資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、設備の設置に必要と認めた資金の額の2分の1以内の額を中小企業設備近代化資金として無利子で貸し付けている。その貸付金額は50万円以上4000万円以下(平成6年2月9日以前は50万円以上3000万円以下)、償還期間は原則として5年以内となっている。そして、貸付対象設備については新品であること、借主は、設備を売却しようとする場合には都道府県知事の承認を受けることなどが貸付けの条件となっている。
2 検査の結果
この事業の実施について調査したところ、10中小企業者に対する120,176,000円の貸付けにおいて、借主が、設備を県に無断で売却し たり、貸付対象事業費より低額で設置したり、設備そのものを設置していなかったりなどしていた。このため、82,418,067円の貸付けが 不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額41,209,033円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。
これを県別に示すと次のとおりである。
県名 | 貸付先 | 貸付対象設備 | 貸付年月 | 貸付対象事業費 (同上に対する貸付金額) |
貸付対象として適切でない事業費 (同上に対する貸付金相当額) |
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(221) | 青森県 | 輸送用機械器具製造業者 | 車枠矯正装置 | 5.11 | 20,737 (10,360) |
9,737 (4,860) |
2,430 | 低額設置 |
この貸付けは、車枠矯正装置一式の設置に必要な資金21,359,110円(うち貸付対象事業費分20,737,000円)の一部として、10,360,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を21,359,110円で設置したとしているが、実際は、契約したとしている業者とは別の業者と契約し、これより低額な11,330,000円(うち貸付対象事業費分11,000,000円)で設置していた。 したがって、この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると5,500,000円となるので、本件貸付金額との差額4,860,000円が過大な貸付けとなっている。 |
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(222) | 茨城県 | 建設業者 | 掘削機ほか1 | 6.9 | 18,025 (8,976) |
6,764 (3,345) |
1,672 | 低額設置 |
この貸付けは、掘削機1台及びブルドーザ1台の購入に必要な資金18,025,000円の一部として、8,976,000円を貸し付けたものである。借主は、これらの設備を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は11,330,000円(うち貸付対象事業費分11,260,824円)で購入していた。 したがって、これらの設備の購入に対する適切な貸付金額を計算すると5,630,412円となるので、本件貸付金額との差額3,345,588円が過大な貸付けとなっている。 |
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(223) | 栃木県 | 印刷業者 | 両面印刷機 | 6.4 | 20,600 (9,800) |
20,600 (9,800) |
4,900 | 貸付対象外 |
この貸付けは、両面印刷機1台の設置に必要な資金20,600,000円の一部として、9,800,000円を貸し付けたものである。借主は、新品の設備を設置したとしているが実際は他の事業者が使用した中古品を設置していた。 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。 |
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(224) | 千葉県 | 建設業者 | コンクリートポンプ車 | 5.7 | 39,140 (19,570) |
39,140 (19,570) |
9,785 | 無断処分 |
この貸付けは、コンクリートポンプ車1台の購入に必要な資金39,140,000円の一部として、19,570,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を平成5年4月に購入したが、7年5月に県に無断で売却していた。 したがって、この設備に係る貸付金19,570,000円は、貸付けの目的を達成していない。 |
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(225) | 同 | 特殊産業用機器具製造業者 | ミキシングロール機ほか2 | 8.4 | 25,963 (12,900) |
12,875 (5,018) |
2,509 | 重複融資 |
この貸付けは、ミキシングロール機1台(注)
ほか2設備の設置に必要な資金26,568,850円(うち貸付対象事業費分25,963,241円)の一部として、12,900,000円を貸し付けたものである。しかし、借主は、この貸付けを受ける前に、中小企業金融公庫から長期資金50,000,000円を借り入れていて、その貸付対象設備には上記設備のうちミキシングロール機1台ほか1設備が含まれており、当該2設備の設置に必要な資金のうち一部(貸付対象事業費12,875,391円)について重複して貸付けを受けていた。 したがって、これらの設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると7,881,200円となるので、本件貸付金額との差額5,018,800円が過大な貸付けとなっている。 |
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(注) ミキシングロール機 成型機の一種で、ゴムの加工に用いられるもの | ||||||||
(226) | 神奈川県 | 産業廃棄物処理業者 | 破砕機 | 5.12 | 20,700 (10,000) |
20,700 (10,000) |
5,000 | 不設置 |
この貸付けは、破砕機1台の設置に必要な資金20,754,500円(うち貸付対象事業費分20,700,000円)の一部として、10,000,000円を貸し付けたものである。借主はこの設備を20,754,500円で設置したとしているが、実際は設置していなかった。 したがって、本件貸付けはその要がないものである。 |
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(227) | 三重県 | 印刷業者 | シール印刷機 | 6.7 | 21,527 (10,330) |
7,467 (3,300) |
1,650 | 無断処分 |
この貸付けは、シール印刷機一式の設置に必要な資金21,527,000円の一部として、10,330,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を平成6年5月に設置したが、7年8月にこの設備のうち切断装置ほか2装置(貸付対象事業費相当額7,467,500円)を県に無断で売却していた。 したがって、この設備に係る貸付金のうち上記の3装置に係る貸付金相当額3,300,250円は、貸付けの目的を達成していない。 |
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(228) | 兵庫県 | 紙加工品製造業者 | 紙管乾燥装置 | 6.4 | 25,750 (11,580) |
25,750 (11,580) |
5,790 | 貸付対象外 |
この貸付けは、紙管乾燥装置一式の設置に必要な資金25,750,000円の一部として、11,580,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を貸付対象事業費どおりの額で購入し設置したとしているが、実際はリース契約により借り受けていた。 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。 |
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(229) | 山口県 | 産業廃棄物処理業者 | タイヤ切断設備 | 5.10 | 33,320 (16,660) |
17,355 (8,677) |
4,338 | 一部不設置及び低額設置 |
この貸付けは、タイヤ切断設備一式の設置に必要な資金33,320,500円(うち貸付対象事業費分33,320,000円)の一部として、16,660,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を33,320,500円で設置したとしているが、実際は、この設備のうち、タイヤ背割機ほか2装置は設置しておらず、タイヤ切断機ほか1装置(貸付対象事業費相当額22,711,000)だけを15,965,000円(貸付対象事業費相当額同額)で設置していた。 したがって、この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると7,982,500円となるので、本件貸付金額との差額8,677,500円が過大な貸付けとなっている。 |
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(230) | 熊本県 | クリーニング業者 | ドライクリーニング装置 | 6.12 | 20,329 (10,000) |
7,145 (6,265) |
3,132 | 低額設置及び重複融資 |
この貸付けは、ドライクリーニング装置一式の設置に必要な資金20,329,110円(うち貸付対象事業費分20,329,000円)の一部として、10,000,000円を貸し付けたものである。借主は、この設備を20,329,110円で設置したとしているが、実際は他の低額な機種に変更するなどして、13,734,071円(うち貸付対象事業費分13,184,000円)で設置していた。また、借主は、この貸付けを受ける前に、上記設備を対象として環境衛生金融公庫から長期資金10,000,000円を借り入れていて、当該設備の設置に必要な資金のうち一部(貸付対象事業費7,145,000円)について重複して貸付けを受けていた。 したがって、この設備の設置に対する適切な貸付金額を計算すると3,734,071円となるので、本件貸付金額との差額6,265,929円が過大な貸付けとなっている。 |
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(221)-(230)の計 | 246,091 (120,176) |
167,534 (82,418) |
41,209 |