会計名及び科目 | 郵政事業特別会計 (項)業務費 |
部局等の名称 | 郵政本省、関東郵政局 |
車両借上げの概要 | 郵便物の集荷及び集配業務を行う集配郵便局において、郵便物の増加等により、既配備の郵便事業用車両が不足する場合に、レンタル業者から車両を借り上げているもの |
借上期間 | 平成6年3月〜9年2月 |
借上経費 | 119,868,700円 |
不経済となっている借上料 | 3640万円 |
1 郵便事業用車両の概要
郵政本省では、郵便物の集荷及び集配業務のため、郵便事業用車両として軽自動四輪車、自動二輪車及び原動機付自転車(以下、それぞれ「軽四」、「自二」、「原付」という。)を購入し、全国4,944の集配郵便局(以下「郵便局」という。)に配備しており、平成8年度の車両購入経費は、総額3億0295万余円となっている。
また、郵便物の増加等により集配業務が集中して、郵便局の配備車両では不足する場合には、各郵便局においてその不足する期間だけ臨時的に、レンタル業者から借り上げて対応することとしており、8年度における車両借上経費は、計25億6029万余円となっている。
郵政本省では、毎年度の車両の購入に当たっては、地方郵政局(沖縄郵政管理事務所を含む。以下同じ。)から、前年10月ごろに、管内の各郵便局で必要な車両の購入要求を行わせ、各郵便局の業務量等を考慮して配備する郵便局を決定し、購入契約を締結して、翌年3月ごろ(要求から約1年半後)までに車両を郵便局に配備することとしている。
また、借上車両については、大量の郵便物を取り扱う年末年始等の繁忙期に各郵便局が臨時的に車両を借り上げた場合、その借上車両数及び所要経費等を地方郵政局に報告させることとしているが、繁忙期以外の通常期の借上げについては、各郵便局から地方郵政局へ報告させることについて統一的な定めはない。
郵政省では、従来から実施している集荷サービスについて、6年度には、大口利用者からの集荷を、従来の原則1日1便から2便に増加させるなどしている。そして、7年度には、昼間の不在者へのサービスとして、小包郵便物及び書留郵便物の夜間再配達を開始するなど、利用者のニーズに応える体制を整備し、郵便サービスの拡大に力を注いでいる。
このため、郵便局によっては業務量が著しく増加し、繁忙期以外の通常期においても、集配に使用する車両が不足する場合が生じているため、借上車両の利用が大幅に増加している。
2 検査の結果
近年、上記のような郵便サービスの拡大に伴い、車両の借上経費が増加していることから、車両の借上げ等が経済的に実施されているかなどについて調査した。
調査は、地方郵政局の中でも特に業務量が増加している関東郵政局について実施することとし、9年2月時点で郵便事業用車両を借り上げている管内の198局を対象として、借上記録が保存されている6年3月からの借上状況について調査した。
調査したところ、次のような状況となっていた。
すなわち、上記の198局における借上車両数は、軽四が107局で244両、自二が37局で114両、原村が169局で1,247両、計1,605両となっているが、これら借上期間別にみると、次表のとおりとなっていて、借上期間が長期にわたり継続的なものとなっている車両が多数見受けられた。
借上期間
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車両区分 |
1年以下 | 1年を越え継続して2年以下 | 2年を越え継続して3年以下 | 計 |
車両数 | 車両数 | 車両数 | 車両数 | |
軽四 | 128 | 39 | 77 | 244 |
自二 | 67 | 33 | 14 | 114 |
原付 | 619 | 498 | 130 | 1,247 |
上記の1,605両の借上車両のうち、年末年始等の繁忙期のみにとどまらず年間を通して借り上げていて、借上経費の額(6年3月から9年2月までの間の各車両に係る支出額)が車両の取得維持経費(同種車両の1両当たりの8年度取得価格に借上期間分の維持経費を加えた額)を上回っているものが、軽四で63両、自二で7両、原付で251両、計321両見受けられた。
このうち、一例を示すと次のとおりである。
A郵便局は、軽四6両を36箇月継続して借り上げていて計13,248,000円の借上料を支払っている。しかし、同種車両を購入して使用したとすれば、1両当たり8年度取得価格906,000円に維持経費561,600円(1月当たりの平均維持経費15,600円に借上期間36箇月を乗じた額)を見込んだとしても6両で計8,805,600円となる。したがって、借上経費が購大した場合の費用を4,442,400円上回っている。
このような事態は、郵政本省において、毎年10月に、地方郵政局から車両の購入要求を提出させる際に、各郵便局の借上車両の状況を的確に報告させることとすれば、翌年度の購入契約に反映させて、各郵便局に配備することにより是正することが十分可能であると認められた。
したがって、郵政本省において、地方郵政局から上記の購入要求に合わせ、通常期を含めた年間の車両借上げの状況を報告させ、適切に車両を購入し配備することとして、車両の借上経費の節減に努める要があると認められた。
上記の車両321両について、車両の購入要求を提出する時点で既に継続して1年以上借り上げられていて、8年度の購入契約に反映させることができたと認められる車両は、軽四で27局43両、自二で3局4両、原付で16局57両、計104両(8年度末に実際に購入配備された分は除く。)となっていた。
上記の104両(借上経費の合計額1億1986万余円)について、それぞれの借上経費と取得維持経費との開差額を計算すれば、軽四で計約2470万円、自二で計約80万円、原付で計約1090万円、合計約3640万円となる。
このような事態が生じていたのは、郵政本省において、地方郵政局に対して、各郵便局の車両借上げの実態を的確に把握し、借上車両の状況を考慮した購入要求を行うよう指導していないなど、郵便事業用車両に係る経費について経済的配慮が十分でなかったことによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、郵政省では、9年11月に、郵便事業用車両に係る経費が経済的なものとなるよう、借上げについての指針を定めるとともに、各地方郵政局に対して指示文書を発し、新たに各郵便局から車両借上げに関する報告を提出させ、購入要求に反映させることとする処置を講じた。