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  • 平成8年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 郵政省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

空気調和設備工事におけるダクト等の工事費の積算を適切なものとするよう改善させたもの


(2) 空気調和設備工事におけるダクト等の工事費の積算を適切なものとするよう改善させたもの

会計名及び科目 郵政事業特別会計 (項)局舎其他施設費
部局等の名称 郵政本省
工事名 渋谷郵便局空気調和設備工事ほか13工事
工事の概要 庁舎等の新築に伴い空気調和設備を設置する工事
工事費 23,381,217,471円
請負人 株式会社日設ほか6会社及び5共同企業体
契約 平成6年8月〜9年3月 一般競争契約、指名競争契約
過大積算額 4060万円
<検査の結果>
 上記の各工事において、ダクト及び保温板の工事費(積算額計7億6416万余円)の積算が適切でなかったため、積算額が約4060万円過大になっていた。
 このように積算額が過大になっていたのは、積算システムを構成する各種ファイルの作成に当たり、入力データを取り違えたことにより誤った標準複合単価を算出し、これにより積算したことによると認められた。
<当局が講じた改善の処置>
 本院の指摘に基づき、郵政省では、平成9年5月に、各種ファイル及び標準複合単価を適切なものに改正し、同月以降積算する工事から適用するとともに、同年10月に要領を制定し、積算システムの各種ファイルヘデータを入力する際の審査体制の整備を図る処置を講じた。

1 工事の概要

(空気調和設備工事)

 郵政省では、郵便局庁舎等建設工事の一環として、大規模な空気調和設備工事を、毎年継続して施行しており、平成8年度に14工事(工事費総額233億8121万余円)を実施している。
 この空気調和設備工事は、建物内の冷暖房、換気等を行うために、空気調和機、ダクト(注1) 、チャンバー等(注2) の設備を設置する工事と、保温等のためにダクト等を保温板で被覆する工事を施工するものである。

(建築設備積算システム)

 空気調和設備工事の工事費の算定に当たっては、郵政省制定の「設備工事積算基準」及び「設備工事積算要領」に基づいて同省が開発した郵政省建築設備積算システム(平成5年6月建備第22号)によって積算している。
 この積算システムは、材料の所要量を入力した資材構成ファイル、労務歩掛かりを入力した労務構成ファイル、標準材料単価を入力した資材単価ファイル等と、これらのファイルのデータを用いて算出された地域別、品目別の標準複合単価を記録している標準複合単価ファイルにより構成されている。そして、各工事の工事費の積算に当たっては、地域別、品目別の標準複合単価に基づいて算定することになっている。

(ダクト等の工事費の積算)

 前記の14工事で施工するステンレス鋼板ダクト、普通鋼板ダクト、グラスウール保温板及びロックウール保温板については、これらの地域別、品目別の標準複合単価にそれぞれの施工数量を乗ずるなどして、ステンレス鋼板ダクト1億3710万余円、普通鋼板ダクト9447万余円、グラスウール保温板及びロックウール保温板5億3259万余円、計7億6416万余円と積算していた。

2 検査の結果

(調査の観点)

 郵政省では、郵便局庁舎等の建設に伴い、大規模な空気調和設備工事を多数施行しており、空気調和設備工事費のうちダクト等の設置工事と被覆工事の工事費の占める割合が高いことなどから、その積算が適切なものとなっているかという観点から調査した。

(調査の結果)

 調査したところ、積算システムを構成する前記の各種ファイルの作成に当たり、入力データを取り違えたことにより標準複合単価の算出を誤っているものが次のとおり見受けられた。

(ア) ステンレス鋼板ダクト

 ステンレス鋼板ダクト(厚さ0.5mm、0.6mm、0.8mm及び1.2mmの4種類)については、資材構成ファイルヘの鋼板の面積の入力が誤っていたため、標準複合単価が過大に算出されていた。
 例えば、6年度栃木県内用の厚さ0.5mmのステンレス鋼板ダクトの標準複合単価についてみると、1m2 当たりの施工に必要な材料費を、鋼板の面積7.93m2 に標準材料単価を乗じて求め、これにその他の材料費等を加えて、標準複合単価を27,906円と算出していた。
 しかし、上記の1m2 当たりの施工に必要なステンレス鋼板の面積は、正しくは1.36m2 であるのに、資材構成ファイルヘ入力する際に、誤ってステンレス鋼板1枚当たりの重量7.93kgの数値を1m2 当たりの施工に必要な面積としていたものである。したがって、適正な面積により標準複合単価を求めると、18,672円となる。

(イ) 普通鋼板ダクト

 普通鋼板ダクトについては、資材単価ファイルヘの標準材料単価の入力が誤っていたため、標準複合単価が過大に算出されていた。
 例えば、6年度東京都内用の厚さ1.6mmの普通鋼板ダクトの標準複合単価についてみると、1m2 当たりの施工に必要な材料費を、鋼板の1m2 当たりの施工に必要な重量に1m2 当たりの標準材料単価728円を乗じて求め、これにその他の材料費等を加えて、標準複合単価を30,096円と算出していた。
 しかし、上記で乗ずべき標準材料単価は、正しくは1kg当たりの単価58円であるのに、資材単価ファイルヘ入力する際に、誤って1m2 当たりの単価728円としていたものである。したがって、適正な1kg当たりの標準材料単価により標準複合単価を求めると、16,758円となる。

(ウ) グラスウール保温板及びロックウール保温板

 グラスウール保温板及びロックウール保温板については、6年4月に標準仕様書で材料の規格等を変更しているが、変更前の歩掛かりを適用していたため、標準複合単価が過小に算出されていた。
 例えば、6年度東京都内用のグラスウールを使用したダクトの標準複合単価についてみると、材料の規格を従前のグラスウール保温板とするなどして、標準複合単価を5,416円と算出していた。
 しかし、6年4月に変更したアルミガラスクロス付グラスウール保温板(注3) とするなどして適切な標準複合単価を算出すると、6,248円となる。
 なお、(ア)、(イ)及び(ウ)の事態については、他の地域の標準複合単価についても同様な事態となっていた。

(低減できた積算額)

 上記により、本件各工事におけるステンレス鋼板ダクト3,474m2 、普通鋼板ダクト3,187m2 及び両保温板94,351m2 について適切な標準複合単価により工事費を積算すると、7億2353万余円となり、前記の積算額7億6416万余円を約4060万円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、積算システムを構成する各種ファイルの作成に当たり、入力データを取り違えるなどデータの取扱いが適切でなかったり、積算システムの各種ファイルヘデータを入力する際の審査体制が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、郵政省では、9年5月に、各種ファイル及び標準複合単価を適切なものに改正し、同月以降積算する工事から適用するとともに、同年10月に設備工事積算システム標準複合単価追加・修正要領を制定し、積算システムの各種ファイルヘデータを入力する際の審査体制の整備を図る処置を講じた。

(注1) ダクト 冷温風を流すために長方形や円形に作られた通風路
(注2) チャンバー 冷温風を分岐するなどのためにダクトの途中や端部に設けられる箱状の容器
(注3) アルミガラスクロス付グラスウール保温板 グラスウール、ガラスクロス及びアルミニウム箔の3層で構成される断熱材