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雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの


(278) 雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)失業等給付費
部局等の名称 北海道ほか24都府県(支給庁)
札幌公共職業安定所ほか157公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 354人
失業等給付金の支給額の合計 248,081,640円
不適正支給額 68,814,630円
 失業等給付金(基本手当及び再就職手当)の支給決定に当たり、受給資格者からの申告等に対する調査確認が十分でなかったため、上記の354人に対して68,814,630円(基本手当55,759,380円、再就職手当13,055,250円)が不適正に支給されていた。これらについては、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。

 

1 保険給付の概要

(雇用保険)

 雇用保険は、工場、事務所、商店等に雇われる労働者を被保険者とし、被保険者が失業した場合及び被保険者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合にその生活及び雇用の安定を図るなどのため失業等給付金の支給を行うほか、雇用安定事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行う保険である。

(失業等給付金の支給)

 失業等給付金には基本手当及び再就職手当のほか13種の手当等がある。このうち、基本手当は、受給資格者(注) が失業している日について所定給付日数を限度として支給されるものであり、再就職手当は、受給資格者が、基本手当を受給できる日数を所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上残して安定した職業に就いた場合に支給されるものである。基本手当及び再就職手当は、公共職業安定所が、次のように支給を決定し、これに基づいて、各都道府県が支給することとなっている。

(ア) 基本手当については、受給資格者から提出された失業認定申告書に記載されている就職、就労(臨時的に短期間仕事に就くこと)の有無等の事実について確認のうえ失業の認定を行って支給を決定する。

(イ) 再就職手当については、受給資格者から提出された再就職手当支給申請書に記載されている雇入れ年月日等について調査確認を行って支給を決定する。

受給資格者 離職した被保険者で、離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることの要件を満たしていて、公共職業安定所において、基本手当を受給する資格があると決定された者

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道ほか27都府県(支給決定庁 札幌公共職業安定所ほか284公共職業安定所)から失業等給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者16,035人について、公共職業安定所における失業等給付金の支給決定の適否を検査した。

(不適正支給の事態)

 検査したところ、次のとおり基本手当及び再就職手当が不適正に支給されていた。

ア 基本手当

 北海道ほか24都府県で、本院が調査した10,323人に対する基本手当の支給のうち350人に対する支給(支給額235,026,390円)について、55,759,380円が不適正に支給されていた。これは、札幌公共職業安定所ほか154公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職、就労していながらその事実を失業認定申告書に記載していないため、申告書の内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。

イ 再就職手当

 北海道ほか17都府県で、本院が調査した649人に対する再就職手当の支給のうち43人に対する支給(支給額13,055,250円)について、13,055,250円が不適正に支給されていた。これは、札幌公共職業安定所ほか39公共職業安定所において、受給者が誠実でなく、再就職手当支給申請書に事実と相違した雇入れ年月日を記載していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことなどによるものである。
 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
 これらの不適正支給額を都道府県別に示すと次のとおりである。

都道府県名 公共職業安定所 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した失業等給付金 左のうち不適正失業等給付金


千円 千円
北海道 札幌ほか15 1,230 39 26,191 9,051

札幌ほか3 105 4 662 662

小計

26,854 9,714
宮城県 仙台ほか3 209 8 3,363 639

仙台ほか1 50 2 616 616

小計

3,980 1,256
秋田県 秋田ほか7 569 17 13,077 2,187


- - - -

小計

13,077 2,187
福島県 福島ほか4 409 14 7,884 1,260

平ほか1 60 2 355 355

小計

8,239 1,615
埼玉県 大宮ほか2 243 6 2,472 930

大宮ほか1 67 2 1,079 1,079

小計

3,552 2,010
千葉県 千葉ほか5 502 16 11,624 3,004

松戸 29 2 409 409

小計

12,033 3,413
東京都 上野ほか9 773 19 12,123 3,253

上野ほか2 53 3 698 698

小計

12,822 3,952
神奈川県 横浜ほか5 384 11 5,542 627

横浜ほか2 78 4 741 741

小計

6,283 1,368
新潟県 村上 18 1 819 819


- - - -

小計

819 819
静岡県 静岡ほか8 627 29 20,077 4,431

島田 3 1 128 128

小計

20,206 4,560
愛知県 名古屋東ほか10 624 21 16,907 2,525

名古屋南ほか6 68 7 3,655 3,655

小計

20,563 6,181
三重県 四日市ほか4 375 18 12,093 2,155


- - - -

小計

12,093 2,155
滋賀県 大津ほか1 118 3 1,573 119

大津 14 1 405 405

小計

1,978 524
京都府 京都七条ほか3 205 8 4,342 1,091


- - - -

小計

4,342 1,091
大阪府 大阪東ほか8 595 16 12,447 2,359

河内柏原 13 1 146 146

小計

12,593 2,505
兵庫県 尼崎ほか4 300 13 8,727 1,472

尼崎 4 1 129 129

小計

8,857 1,602
鳥取県 鳥取ほか1 157 6 4,009 1,074

鳥取 7 1 108 108

小計

4,118 1,182
岡山県 岡山ほか4 304 14 14,395 3,429


- - - -

小計

14,395 3,429
広島県 広島ほか3 179 4 1,794 958

三原 3 2 1,328 1,328

小計

3,122 2,286
徳島県 徳島ほか5 308 16 12,005 3,435

徳島ほか3 30 4 964 964

小計

12,969 4,399
高知県 高知ほか2 288 6 3,979 772


- - - -

小計

3,979 772
福岡県 福岡中央ほか8 540 24 15,312 3,389

福岡中央ほか3 53 4 1,081 1,081

小計

16,393 4,470
佐賀県 佐賀ほか5 298 13 8,492 2、303


- - - -

小計

8,492 2,303
大分県 大分ほか7 495 14 8,155 1,730

臼杵 6 1 428 428

小計

8,583 2,159
鹿児島県 鹿児島ほか7 573 14 7,613 2,737

名瀬 6 1 114 114

小計

7,728 2,851
 計 155箇所 10,323 350 235,026 55,759

40箇所 649 43 13,055 13,055
合計


248,081 68,814
(注1) 上段は基本手当に係る分、下段は再就職手当に係る分である。
(注2) 公共職業安定所のうち、基本手当と再就職手当の双方について不適正な支給があったものが37、基本手当のみのものが118、再就職手当のみのものが3あり、したがって、公共職業安定所の実数は158である。
(注3) 不適正受給者のうち、基本手当と再就職手当の双方に係る者が39人、基本手当のみの者が311人、再就職手当のみの者が4人おり、したがって、基本手当と再就職手当に係る不適正受給の実人員は354人である。