ページトップ
  • 平成8年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第6 日本国有鉄道清算事業団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

土地台帳等の整備業務を実施するに当たり、処分済みの土地を委託の対象から除外することにより委託費の節減を図るよう改善させたもの


土地台帳等の整備業務を実施するに当たり、処分済みの土地を委託の対象から除外することにより委託費の節減を図るよう改善させたもの

科目 (項)用地対策費
部局等の名称 北海道支社ほか2支社
契約名「日高本線ほか3土地台帳整理」ほか16契約
契約の概要 土地の所在地、登記年月日、地目、地積等を登録した土地台帳の作成及び
登録した土地の図面の作成を委託により行うもの
契約の相手方 レールシティ東開発株式会社ほか2会社
契約 平成8年4月〜9年1月
支払額 98,025,100円
節減できた委託費 4970万円
<検査の結果>
 上記の委託契約に当たり、処分済みの土地を委託の対象から除外したとすれば委託費を約4970万円節減できたと認められた。
 このような事態が生じていたのは、上記の部局において処分済みの土地について必要性を十分検討しないまま土地台帳等の整備の対象としていたこと、また、本社においてもこの状況を十分把握せず整備の対象について適切な指示を行っていなかったことによると認められた。
<当局が講じた改善の処置>
 本院の指摘に基づき、日本国有鉄道清算事業団では、本社において、平成9年10月に各支社に対して通達を発し、土地台帳等の整備に当たっては、処分済みの土地を整備の対象から除外することとする処置を講じた。

1 業務の概要

(土地台帳等の整備業務)

 日本国有鉄道清算事業団(以下「事業団」という。)では、旧日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)等から承継した土地について、売却等の処分の促進を図るとともに、当該土地の管理業務を行っている。そして、この管理業務の一環として、事業団本社制定の「土地管理基準規程」(昭和63年用管達第3号)に基づき、各支社において、管理業務の統一性と適正化を図るため土地台帳及び土地管理図(以下「土地台帳等」という。)の整備を行っている。
 そして、この整備業務には、事業団職員が直接行う場合と業務を委託して行う場合がある。

(整備業務の委託)

 このうち、整備業務の委託について、事業団の北海道支社ほか2支社(注) (以下「北海道支社等」という。)では、平成8年度に、「日高本線ほか3土地台帳整理」ほか16件の土地台帳等整備業務をレールシティ東開発株式会社ほか2会社に委託して土地台帳1,361件、土地管理図2,088件を作成している。この委託費の支払額は計98,025,100円となっている。

(委託業務の内容)

 北海道支社等が委託した土地台帳等の整備業務の内容は、次のとおりである。

(ア) 土地台帳については、土地の所在地、登記年月日、地目及び地積の取得時から現在までの経緯等を登録した土地台帳本表等を作成する。

(イ) 土地管理図については、土地台帳本表に登録した土地についての形状、寸法、地積、周囲の状況等を記した図面を作成する。

 そして、国鉄等から承継した土地の一件ごとに、上記の土地台帳及び土地管理図をそれぞれ作成することとしている。

2検査の結果

(調査の観点)

 事業団においては、国鉄等から大量の土地を承継し、これらの土地の処分に努め、その売却収入等により長期債務の償還等を行っている。このため、業務の執行においても、その効率的な実施が望まれている。このような状況を踏まえ、土地台帳等の整備業務が適宜適切に実施されているかという観点から、委託契約における整備業務の内容について調査した。

(調査の結果)

 調査したところ、次のような事態となっていた。
 すなわち、事業団では、昭和62年4月の国鉄改革により承継した土地などについて、測量作業を行い土地台帳等を整備したうえ、処分を図ることにしていた。しかし、測量作業の対象となる土地が多く予算の制約もあったことなどから、測量作業を順次行うこととなり、土地台帳等の全体の整備業務が遅れていた。一方、土地の処分については早期に行う必要があることから、土地台帳等が整備されていない土地についても処分が行われてきた。
 そして、北海道支社等では、このように土地台帳等が整備されないままで処分された土地についても、次のような理由から委託業務の対象としていた。

(ア) 土地台帳等には土地の取得時からの経緯などについて記載することになっており、土地台帳等は処分済みの土地についても、事業団の内部、外部からの境界の確認、売却年月日等についての照会等に対して活用できること

(イ) 将来、土地の管理業務を別組織に承継させる場合には、処分済みの土地について問題が発生したとき、これに対処できるようにするため、当該組織にその土地の履歴を記載した書類を引き渡す必要があること

 しかし、次のような理由から、処分済みの土地についてまで土地台帳等を整備する要はないものと認められた。

(ア) 処分済みの土地についての内部、外部からの照会については、その件数も少なく、これに対しては土地台帳等を作成する際の原資料となる土地売買契約書、登記済証、測量図面等により対応できること

(イ) 土地の管理業務を将来別組織に承継させる場合、処分済みの土地について、承継後、問題が発生しても、上記(ア)と同様に原資料により対応することができること

 したがって、土地台帳等の整備の対象を明確にして、処分済みの土地を委託の対象から除外し、これにより委託費の節減を図る要があると認められた。

(節減できた委託費)

 本件各契約において作成した土地台帳1,361件、土地管理図2,088件、計3,449件のうち、処分済みの土地に係る土地台帳942件、土地管理図1,415件、計2,357件を委託業務の対象から除外して8年度の委託費を計算すると、計48,324,445円となり、委託費を計約4970万円節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、北海道支社等において処分済みの土地について必要性を十分検討しないまま土地台帳等の整備の対象としていたこと、また、本社においてもこの状況を十分把握せず整備の対象について適切な指示を行っていなかったことによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、事業団では、本社において、平成9年10月に各支社に対して通達を発し、土地台帳等の整備に当たっては、委託による場合のほか事業団職員が直接行う場合も、処分済みの土地を整備の対象から除外することとする処置を講じた。

北海道支社ほか2支社 北海道、東北、中国各支社