科目 | (款)鉄道事業営業収益 (項)運輸雑収 |
部局等の名称 | 北海道旅客鉄道株式会社本社 |
土地の貸付けの概要 | 電気通信事業を行う者に光ファイバケーブル用の管路等を設置するための鉄道用地の一部を貸し付けるもの |
貸付けの相手方 | 日本テレコム株式会社 |
土地の貸付面積 | 138,417m2 |
土地の貸付料 | 104,996,190円(平成8年度分) |
増収できた土地の貸付料 | 5220万円 |
1 土地の貸付けの概要
北海道旅客鉄道株式会社(以下「JR北海道」という。)では、平成元年度から、電気通信事業を営む日本テレコム株式会社(以下「日本テレコム」という。)との間で、土地賃貸借契約を締結し、鉄道用地の一部を貸し付けている。
本件契約に係る土地は、日本テレコムが、鉄道線路沿いに光ファイバケーブルを収容する管路、マンホール等(以下「ケーブル管路等」という。)を設置したり、同ケーブルを添架するのに必要な電柱を設置したりする用地として利用しているものである。
そして、8年度において、JR北海道では、日本テレコムに対し、ケーブル管路等の設置に係る土地130,087m2 及び電柱8,330本の設置に係る土地8,330m2 、計138,417m2 (総延長約845km)の土地を貸し付けており、これらに係る貸付料として1億0499万余円を収受している。
上記の貸付けの対象となる土地は、鉄道線路に沿ってケーブル管路等を設置するための用地として使用される幅約0.17mの狭長な土地などである。この利用形態に類似するものとしては、道路に沿って電線や水道管等の工作物などを設け継続して使用するものがあり、これについては、道路法施行令(昭和27年政令第479号)において、道路占用者が道路管理者に支払う道路占用料が定められている。
このため、JR北海道では、この道路占用料により本件土地の貸付料を算定することとしている。
そして、ケーブル管路等の用地については、ケーブル管路等の専有面積に1m2 当たりの単価を乗じて算出した額に公租公課相当額を加えた額を貸付料とし、また、電柱を設置するための用地については、電柱の本数に1本当たりの単価を乗じて算出した額を貸付料としている。
2 検査の結果
JR北海道においては、鉄道事業収入と併せ、土地等の資産を有効に活用して収益の向上を図ることとしていることから、土地の貸付料の算定が適切に行われているかなどについて調査した。
調査したところ、JR北海道では、元年度から日本テレコムと土地賃貸借契約を締結しており、その時点で施行されていた昭和62年改正の道路法施行令における道路占用料の額により、本件土地の貸付料を算出し、その後平成8年度までこの額で契約を継続してきていた。そして、ケーブル管路等用地の1m2 当たりの単価(年額)は、甲地(札幌市)が2,200円、乙地(札幌市以外の市)が990円及び丙地(町及び村)が620円となっており、また、電柱1本当たりの単価(年額)は乙地が320円及び丙地が250円となっていた。
しかし、昭和62年以降改定されていなかった道路占用料は、平成8年4月に道路法施行令の改正により改定されており、これによると、上記の単価(年額)は、ケーブル管路等用地1m2 当たりでは、それぞれ3,100円、1,400円、1,100円、また、電柱1本当たりでは、930円及び690円となっていた。そして、JR北海道では、貸付料については、契約書に道路占用料の改定に合わせて改定できる旨の条項が明確に定められていなかったことなどのため、その改定を行っていなかった。
したがって、本件土地の貸付料については、契約条項を改めるなどして、道路占用料の改定に合わせて改定することとし、その増収を図るよう努めるべきであると認められた。
現に、他の旅客鉄道株式会社においては、日本テレコムとの間でJR北海道と同様の土地貸付けを行っており、その貸付料は、JR北海道と同様道路占用料によっているが、道路占用料の改定に伴い8年4月から改定されている状況であった。
本件土地貸付けにおいて、8年4月の改定後の道路占用料により貸付料の改定を行ったとすれば、8年度の貸付料は1億5721万余円となり、前記貸付料との差額約5220万円が増収できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、本件の土地賃貸借契約書に道路占用料の改定に合わせて貸付料の改定を行うことができる明確な条項がなかったことなどによると認められた。
3 当局が講じた改善の処置
上記についての本院の指摘に基づき、JR北海道では、9年11月、日本テレコムとの間で、道路占用料が改定された場合に貸付料の改定を行うことができるよう契約条項を改めるとともに、契約金額の改定を行い、同年4月に遡及して適用することとする処置を講じた。