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  • 平成8年度|
  • 第5章 歳入歳出決算その他検査対象の概要

国の財政等の概況


第1節 国の財政等の概況

 会計検査院の検査対象のうち国の会計及び政府関係機関その他国が資本金の2分の1以上を出資している法人について、歳入歳出、債務等の状況、またこれら検査対象相互間の資金の受払等である、国の会計間の繰入れ、政府出資、財政投融資等の状況を示すと、次のとおりである。

第1 国の会計

1 概況

 平成8年度における国の一般会計及び38特別会計の歳入及び歳出は、次のとおりである。

(歳入)

一般会計 81兆8090億円
特別会計 280兆7144億円
合計 362兆5235億円

 上記の合計額から、会計間の繰入れによる歳入歳出の重複額等162兆8609億円を控除した歳入の純計額は、199兆6626億円となっている。この純計額から、更に前年度剰余金の受入れ等21兆2747億円を控除した純歳入額は178兆3878億円となる。

(歳出)

一般会計 78兆8478億円
特別会計 245兆2104億円
合計 324兆0583億円

 上記の合計額から、会計間の繰入れによる歳入歳出の重複額等162兆0968億円を控除した歳出の純計額は、161兆9614億円となっている。

2 一般会計の歳入及び歳出

(1)歳入

 平成8年度における一般会計の収納済歳入額及びその主な内訳(構成比率)は、次のとおりである。


収納済歳入額
千円
81,809,038,852

 租税及印紙収入 52,060,103,884 (63.6%)
 公債金 21,748,298,660 (26.6%)
  建設公債(財政法(昭和22年法律第34号)第4条第1項ただし書の規定により発行された公債)の収入金 10,706,999,902
  特例公債(公債の発行の特例に関する特別の法律により発行された公債)の収入金 11,041,298,757
 その他 8,000,636,306 (9.8%)

(2) 歳出

 8年度における一般会計の支出済歳出額及びその主な内訳(構成比率)は、次のとおりである。


支出済歳出額
千円
78,847,867,404

 社会保障関係費 15,032,346,153 (19.1%)
 文教及び科学振興費 6,363,535,673 (8.1%)
 国債費 16,083,850,997 (20.4%)
 地方交付税交付金 13,944,993,337 (17.7%)
 防衛関係費 4,815,200,790 (6.1%)
 公共事業関係費 12,340,226,304 (15.6%)
 その他 10,267,714,147 (13.0%)

 なお、支出済歳出額に対する前記の公債金21兆7482億9866万余円の割合は27.6%である。

(3)会計間の繰入れに係る特例措置

 8年度においては、「平成8年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」(平成8年法律第41号)に基づき、国の財政収支の状況にかんがみ、一般会計と特別会計との間の繰入れについて次のとおり特例的な措置が執られた。

〔1〕 一般会計の歳入に関するもの 千円

外国為替資金特別会計からの繰入れ 200,000,000
〔2〕 一般会計の歳出に関するもの 千円

厚生保険特別会計(年金勘定)に繰り入れるべき国庫負担金の一部繰延べ 800,000,000

 このうち、厚生保険特別会計(年金勘定)への国庫負担金の一部繰延べに係るものについては、後日、予算の定めるところにより、この措置により繰延べが行われた額及びこの措置が執られなかったとした場合に生じていたと見込まれる運用収入に相当する額を合算した額に達するまでの金額を、一般会計から当該勘定に繰り入れるものとされている。

3 特別会計の損益等

(1) 一般会計からの繰入額

 平成8年度において一般会計から繰入れを受けているものは38特別会計のうち29特別会計であり、その合計額は44兆7308億0921万余円である。このうち、一般会計からの繰入額が1000億円以上のものは、次のとおりである。


交付税及び譲与税配付金特別会計(交付税及び譲与税配付金勘定)
千円
13,944,993,337
国債整理基金特別会計 16,083,850,997
産業投資特別会計 (社会資本整備勘定) 161,334,059
石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定) 524,000,000
国立学校特別会計 1,605,283,297
厚生保険特別会計 (健康勘定) 1,100,310,436
(年金勘定) 2,516,903,710
(業務勘定) 119,556,602
国立病院特別会計 (病院勘定) 116,743,410
国民年金特別会計 (国民年金勘定) 1,467,871,595
(福祉年金勘定) 143,792,265
(業務勘定) 160,554,200
食糧管理特別会計 (調整勘定) 177,000,000
国有林野事業特別会計(治山勘定) 219,201,115
国営土地改良事業特別会計 361,337,827
自動車損害賠償責任再保険特別会計(保険勘定) 154,387,544
港湾整備特別会計 (港湾整備勘定) 369,519,297
空港整備特別会計 142,983,356
労働保険特別会計 (雇用勘定) 328,168,438
道路整備特別会計 3,185,333,749
治水特別会計 (治水勘定) 1,234,706,717
(特定多目的ダム建設工事勘定) 164,468,212

(2) 特別会計の損益

 38特別会計の中で法令上損益計算を行っているものが21特別会計ある。この21特別会計のうち、8年度末において翌年度繰越利益金又は翌年度繰越損失金が1兆円以上となっているものは、次のとおりである。

〔1〕 翌年度繰越利益金を計上しているもの


8年度の利益金
(△損失金)
8年度末における
翌年度繰越利益金

厚生保険特別会計

(年金勘定)
千円
6,662,298,202
千円
119,727,167,742
国民年金特別会計 (基礎年金勘定) △33,754,101 1,958,755,408
(国民年金勘定) 945,062,736 8,452,686,255
労働保険特別会計 (労災勘定) 580,062,509 6,367,924,652
(雇用勘定) △176,578,109 6,062,698,901

〔2〕 翌年度繰越損失金を計上しているもの


8年度の損失金 8年度末における翌年度繰越損失金

国有林野事業特別会計(国有林野事業勘定)
千円
106,732,712
千円
1,614,325,470

4 一般会計及び特別会計の債務

 平成8年度一般会計国の債務に関する計算書及び各特別会計債務に関する計算書における債務の年度末現在額の合計は416兆0215億4832万余円である。このうち主なものは次のとおりである。

(1) 公債

 公債の8年度末現在額は247兆5439億1638万余円で、前年度末に比べて19兆4951億0300万余円増加している。このうち財政法及び公債の発行の特例に関する特別の法律により発行したもの並びにこれらの借換えに係るものは、次のとおりである。


建設公債(財政法第4条第1項ただし書の規定により発行したもの及びこの公債を借り換えるために発行したもの)
千円
167,827,733,900
特例公債(公債の発行の特例に関する特別の法律により発行したもの及びこの公債を借り換えるために発行したもの) 76,890,353,200
  計 244,718,087,100

(2) 借入金

 借入金の8年度末現在額は77兆0671億9622万余円で、前年度末に比べて8兆0518億2568万余円増加している。このうち一般会計の借入金現在額は10兆3182億0162万余円で、その主なものは次のとおりであり、これらはすべて資金運用部からの借入金である。


交付税及び譲与税配付金借入金
千円
4,793,263,000
旧日本国有鉄道借入金 4,727,494,651
日本国有鉄道清算事業団借入金 756,022,010

 このうち、8年度までに法律の規定により償還を延期する措置が執られたものの8年度末における累計額は次のとおりである。


交付税及び譲与税配付金借入金の償還の延期
千円
2,121,300,000
旧日本国有鉄道借入金の償還の延期 479,369,953
日本国有鉄道清算事業団借入金の償還の延期 212,137,505

 また、特別会計の借入金現在額は66兆7489億9460万余円で、その主なものは次のとおりであり、これらはすべて資金運用部からの借入金である。


交付税及び譲与税配付金特別会計(交付税及び譲与税配付金勘定)
千円
15,375,440,829
厚生保険特別会計(健康勘定) 1,479,228,212
国有林野事業特別会計(国有林野事業勘定) 3,522,761,107
国営土地改良事業特別会計 1,184,252,037
空港整備特別会計 1,009,660,000
郵便貯金特別会計(金融自由化対策特別勘定) 40,150,000,000

5 今後一般会計からの繰入れを要する措置

 上記のほか、平成8年度までに国の財政運営に資するなどのため、法律の規定に基づき、一般会計から特別会計に繰り入れるべき国庫負担金の一部を繰り延べたり、特別会計から一般会計に特別に繰り入れたりするなどの措置が執られたものがある。これらのうち、法律の規定により、今後一般会計から当該各特別会計に繰り入れることとされているものの8年度末における累計額は、次のとおりである。


交付税及び譲与税配付金特別会計(交付税及び譲与税配付金勘定)
千円
6,018,330,000
厚生保険特別会計 (健康勘定) 559,600,000
(年金勘定) 1,215,000,000
国民年金特別会計 (国民年金勘定) 540,200,000
自動車損害賠償責任再保険特別会計 (保険勘定) 916,612,456
(保障勘定) 49,000,000
労働保険特別会計 (雇用勘定) 60,000,000

(注) 1. 繰延べ等を行った期間に係る運用収入相当額は含まない。
2. 交付税及び譲与税配付金特別会計の金額の中には同特別会計の借入金に係るものが1,022,550,000千円含まれる。

第2 国が資本金の2分の1以上を出資している法人

1 政府出資金

 国が資本金の2分の1以上を出資している法人に対する平成8年度末における政府出資金の額の合計は、28兆8040億5606万余円である。このうち、政府出資金の額が1兆円以上の法人は、次のとおりである。


8年度中の政府出資額 8年度末における政府出資金の額

中小企業信用保険公庫
千円
19,500,000
千円
1,114,063,199
日本道路公団 83,823,000 1,129,033,042
石油公団 31,282,000 1,513,441,983
雇用促進事業団 85,067,764 1,924,184,580
動力炉・核燃料開発事業団 113,352,000 2,392,060,490
宇宙開発事業団 162,303,000 2,274,608,552
年金福祉事業団 7,272,928 1,042,341,395
中小企業事業団 3,600,000 1,187,832,119
日本原子力研究所 77,910,000 1,529,907,617
海外経済協力基金 373,300,000 4,645,244,477

2 延滞債権

 国が資本金の2分の1以上を出資している法人のうち、平成8年度末において弁済期限を6箇月以上経過して延滞となっている貸付けの元金残高(延滞債権額)が100億円以上のものは、次のとおりである。


延滞債権額 (貸付金残高)

国民金融公庫
千円
216,057,136
千円
(8,905,645,994)
住宅金融公庫 215,546,181 (70,106,254,108)
農林漁業金融公庫 92,949,075 (4,490,256,048)
中小企業金融公庫 201,218,757 (7,248,756,894)
北海道東北開発公庫 25,502,632 (1,468,076,342)
環境衛生金融公庫 23,358,072 (1,093,362,356)
沖縄振興開発金融公庫 24,108,200 (1,629,406,108)
日本開発銀行 45,874,513 (15,833,697,925)
日本輸出入銀行 (一般勘定) 90,875,898 (9,176,034,746)
年金福祉事業団 (一般事業勘定) 17,981,973 (10,541,733,482)
中小企業事業団 (中小企業倒産防止共済勘定) 74,513,817 (314,911,889)
(高度化出融資及び指導研修勘定) 35,762,105 (1,206,814,938)
日本育英会(一般勘定) 48,346,737 (1,468,170,391)
商工組合中央金庫 357,109,481 (11,426,953,253)

海外経済協力基金
(注)
367,184,711

(8,922,836,650)
新エネルギー・産業技術総合開発機構(石炭合理化勘定) 34,019,009 (117,418,010)
(注)  全額が外国政府又は外国政府機関を相手方とする借款契約に係るものである。

 

3 日本国有鉄道清算事業団の長期債務等

 日本国有鉄道清算事業団が処理すべきものとして旧日本国有鉄道等から帰属するなどした長期債務等の平成8年度末現在の額は27兆26百億円であり、この額は旧日本国有鉄道が日本国有鉄道清算事業団に移行した昭和62年度首の25兆52百億円より増加している。

 なお、この長期債務等を処理するための財源には、同じく旧日本国有鉄道等から帰属するなどした土地の売却収入等が充てられることになっていて、それでもなお残る長期債務等については、最終的には 国において処理するものとされている。

第3 財政投融資等

(1)財政投融資の原資

 産業投資特別会計の出資金及び貸付金、資金運用部資金、簡易生命保険特別会計の積立金並びに政府保証債及び政府保証借入金を原資として、財政投融資計画に基づき、国の特別会計、政府関係機関その他国が資本金の2分の1以上を出資している法人、地方公共団体等に対する資金の貸付け、これらの法人が発行する債券の引受け、あるいは出資が行われている。

 上記の財政投融資の原資のうち、資金運用部資金は郵便貯金及び郵便振替や国の特別会計の積立金及び余裕金等の資金運用部に預託された資金等を財源としており、その平成8年度末の現在額は次のとおりである。


資金運用部資金
千円
392,112,674,987
 預託金 391,547,073,854
  (内訳) 郵便貯金及び郵便振替 223,148,900,000
厚生保険特別会計 116,753,164,271
国民年金特別会計 9,556,568,196
簡易生命保険特別会計 5,485,470,000
労働保険特別会計 9,468,511,471
外国為替資金特別会計 8,752,091,563
その他預託金 18,382,368,352
  積立金等 565,601,133

 また、簡易生命保険特別会計の積立金は同特別会計の決算上生ずる過剰を積み立てたものであり、その8年度末の現在額は次のとおりである。


簡易生命保険特別会計の積立金
千円
92,427,072,548

 なお、資金運用部資金の一部及び簡易生命保険特別会計の積立金の一部は、財政投融資計画外として国債の引受け等に運用されている。

(2) 財政投融資の実績

 財政投融資計画に係る資金運用部資金等の貸付け等の8年度における実績は46兆6120億7926万余円、同年度末における残高は377兆2502億7046万余円であり、その原資別及び貸付け等先別の内訳は次のとおりである。

財政投融資の原資 8年度の貸付け等 8年度末の残高

産業投資特別会計の出資金及び貸付金
千円
57,985,500
千円
2,599,695,050
資金運用部資金 35,514,393,983 295,338,298,258
簡易生命保険特別会計の積立金 8,051,009,780 55,732,544,756
政府保証債及び政府保証借入金 2,988,690,000 23,579,732,400
  計 46,612,079,263 377,250,270,465
(注)資金運用部資金及び簡易生命保険特別会計の積立金により引き受けた債券は収入金ベースで計上し、政府保証債は額面ベースで計上している(以下、各表も同様)。

貸付け等先 8年度の貸付け等 8年度末の残高
(注)
一般会計
千円
-
千円
5,483,516,662
特別会計 5,835,584,749 49,127,517,677
政府関係機関 18,968,032,250 129,064,911,663
公団、事業団等 12,061,505,045 120,650,101,018
地方公共団体 9,417,669,619 68,613,065,144
特殊会社等 329,287,600 4,311,158,300
  計 46,612,079,263 377,250,270,465
(注)旧日本国有鉄道及び日本国有鉄道清算事業団の資金運用部からの借入金を一般会計が承継したものである(下表も同様)。

 また、国の会計、政府関係機関その他国が資本金の2分の1以上を出資している法人等のうち、財政投融資計画に係る貸付け等の残高が1兆円以上のものは、次のとおりである。


8年度の貸付け等 8年度末の残高

一般会計
千円
-
千円
5,483,516,662
国有林野事業特別会計 314,500,000 3,522,761,107
国営土地改良事業特別会計 100,632,749 1,184,252,037
空港整備特別会計 131,700,000 1,009,660,000
郵便貯金特別会計 5,000,000,000 40,150,000,000
国民金融公庫 2,880,000,000 8,403,200,000
住宅金融公庫 10,120,500,000 70,083,396,542
農林漁業金融公庫 235,000,000 4,384,530,020
中小企業金融公庫 1,451,980,500 6,981,426,825
北海道東北開発公庫 102,761,750 1,343,238,027
公営企業金融公庫 1,742,740,000 13,551,750,000
環境衛生金融公庫 304,800,000 1,082,620,000
沖縄振興開発金融公庫 191,250,000 1,542,445,248
日本開発銀行 1,319,000,000 13,951,508,000
日本輸出入銀行 620,000,000 7,667,997,000
日本道路公団 1,867,437,100 20,501,573,775
首都高速道路公団 331,067,175 3,515,718,000
水資源開発公団 98,907,875 1,431,623,850
阪神高速道路公団 357,401,250 2,908,470,770
本州四国連絡橋公団 242,034,710 2,051,133,975
日本鉄道建設公団 130,594,272 1,644,247,464
住宅・都市整備公団 1,210,671,075 13,603,410,386
簡易保険福祉事業団 1,701,109,000 9,722,905,000
年金福祉事業団 3,902,900,000 33,631,490,752
社会福祉・医療事業団 357,220,000 1,799,430,618
日本国有鉄道清算事業団 731,275,947 15,390,307,806
電源開発株式会社 180,137,600 1,731,983,375
海外経済協力基金 349,800,000 4,503,467,227
鉄道整備基金 334,500,000 4,538,320,610
地方公共団体 9,417,669,619 68,613,065,144

(3)財政投融資計画以外の運用

 資金運用部資金のうち財政投融資計画以外に運用されているものは、8年度末現在96兆6918億3850万余円であり、その内訳は次のとおりである。


長期国債
千円
64,549,863,568
短期国債 1,334,837,946
金融債 7,811,365,000
一般会計貸付金(注) 4,793,263,000
特別会計貸付金 17,621,476,923
(内訳) 交付税及び譲与税配付金特別会計 15,375,440,829
厚生保険特別会計 1,479,228,212
その他の特別会計 766,807,881
外国債等 581,032,064
  計 96,691,838,502
(注)交付税及び譲与税配付金特別会計における資金運用部からの借入金が一般会計に帰属したものである。

 また、簡易生命保険特別会計の積立金のうち財政投融資計画以外に運用されているものは、8年度末現在36兆6945億2779万余円であり、その内訳は次のとおりである。


預金
千円
5,575,316,341
長期国債 9,333,010,455
地方債 6,406,983,512
外国債 4,394,755,781
社債 3,537,267,774
その他の有価証券 5,166,603,708
契約者貸付等 2,280,590,219
  計 36,694,527,792