独立行政法人の組織編成や人員配置については、自らの判断で機動的かつ弾力的に行えることになっていることから、それらの13年度から16年度における状況に着目して調査した。
検査の対象とした45法人の業務の追加状況についてみると、図1−1のとおり、中期計画の変更を伴う業務の追加を行っている法人(注1) が10法人あり、その内訳は試験研究法人が1法人、文教研修法人が3法人、その他の法人が6法人となっている。
図1−1 中期計画の変更を伴う業務の追加状況(13年度〜16年度)
そして、4箇年度で追加した業務は、表1−1のとおり、試験研究法人では3事項(これに伴う人員増0人)、文教研修法人では3事項(同15人)となっているのに対し、その他の法人では17事項(廃止が2事項あり、差引き人員増103人)となっていて、試験研究法人や文教研修法人に比べ追加された業務が多くなっているが、そのほとんどが法律改正に伴うものとなっている。
業務類型 | 法人名 | 追加した主な業務 | 事項数 | 人員増 |
試験研究法人 | 北海道開発土木研究所 | 地球温暖化対策に資するエネルギー地域自立型実証研究業務等 | 3 | 0 |
文教研修法人 | 大学入試センター | 法科大学院適性試験の調査研究業務 | 1 | 0 |
国立オリンピック記念青少年総合センター | 青少年教育に関する団体に対して、当該団体が行う活動に対して行う助成金の交付業務 | 1 | 2 | |
国立美術館 | 新国立美術展示施設の開設に向けた準備業務 | 1 | 13 | |
小計 | \ | 3 | 15 | |
その他の法人 | 農林水産消費技術センター | 食の安全・安心にかかる業務等 | 2 (1) |
67 |
種苗管理センター | 遺伝子組換え生物等の仕様等の規制に関する法律に基づく立入検査等の実施業務等 | 3 | 6 | |
家畜改良センター | 牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法に基づく業務等 | 2 | 11 | |
肥飼料検査所 | 肥料取締法改正による特定普通肥料に関する栽培試験・調査業務、飼料安全法改正による飼料のリスク管理強化業務等 | 3 (1) |
12 | |
農薬検査所 | 生態影響、環境基準等に係る農薬登録検査業務等 | 2 | 7 | |
製品評価技術基盤機構 | 化学物質審査規制法関連業務等 | 5 | 0 | |
小計 | \ | 17 (2) |
103 | |
合計 | \ | 23 (2) |
118 |
各年度末における法人の部課室等数の推移についてみると、表1−2のとおり課室等が減少しており、また、プロジェクト制を採用して業務の進ちょく状況により組織を機動的に改編している法人もあるなど、移行前と比較して各独立行政法人が、組織の改編を適宜行っている状況となっている。
このことは、役員に関するもの以外の内部組織については、個別法の定める業務の範囲で独立行政法人の長がその裁量により決定、変更又は改廃することとされたことから、国の機関当時に必要とされた政令の改正手続等を経ることなく、組織の改編が比較的容易に行えることとなったことによると思料される。
区分 | 13年度期首(A) | 13年度末 | 14年度末 | 15年度末 | 16年度末(B) | (B)-(A) |
本部・センター等 | 62 | 62 | 62 | 63 | 63 | 1 |
部等 | 314 | 320 | 320 | 324 | 320 | 6 |
課室等 | 1,368 | 1,368 | 1,346 | 1,324 | 1,315 | ▲ 53 |
その他 | 144 | 144 | 152 | 154 | 154 | 10 |
各年度末における常勤役員数の推移及び役員就任の直前の職についてみると、図1−2のとおり、常勤役員数はほぼ同数で推移しており、また、役員就任の直前に府省等の職に就いていた者が各年度とも約7割を占めている。
これは、検査の対象とした独立行政法人がすべて国の機関から移行した法人であること、各独立行政法人において府省等の出身者の専門性に期待するところがあることなどによると思料される。
図1−2 常勤役員数の推移及び直前の職の状況(13年度〜16年度)
各年度末において、各独立行政法人の職員数を常勤職員と非常勤職員(注2)
に区分して、その数の推移をみると、図1−3のとおり、16年度末においては13年度末に比べ、常勤職員数は微増し、非常勤職員数は大幅に増加している。常勤職員数が微増となっているのは、中期計画において削減又は抑制することとされているものの、前記のとおり一部の法人において法律改正に伴う業務の追加などにより人員増があったことによるものである。
なお、業務の追加を行っていない35法人の常勤職員数は、13年度には6,545人であったが、16年度には6,472人に減少している。
そして、非常勤職員数の増加の状況について、業務類型別にみると、図1−4のとおり、試験研究法人における増加が顕著となっている。これは、試験研究法人において、受託研究契約の増加に伴い必要となった研究要員の増加分について、主に、非常勤職員の増員により対応していることなどによると思料される。
図1−3 常勤職員及び非常勤職員の数の推移(13年度〜16年度)
図1−4 業務類型別にみた非常勤職員数の推移(13年度〜16年度)
各年度末における常勤職員数の推移を職種別にみると、図1−5のとおりであり、16年度末においては13年度末に比べ、一般職(事務職)は増加し、一般職(技術職)は減少しており、研究職はほぼ横ばい状況となっている。これは、一般職(事務職)については、一部の法人において業務の追加が行われたことなどにより増加し、一般職(技術職)については、各法人において、従来、一般職(技術職)を充てて行っていた警備、清掃等の業務の一部を外部委託により実施することとしたことなどにより減少したものと思料される。
図1−5 職種別にみた常勤職員数の推移(13年度〜16年度)
次に、各年度末における常勤職員を国家公務員の役職に当てはめてその推移をみると、図1−6のとおり、本省係長相当職以下は減少傾向を示しており、一方、本省課長補佐相当職以上は増加傾向を示している。
図1−6 役職別にみた常勤職員数の推移(13年度〜16年度)
このことについては、独立行政法人が、中期計画であらかじめ定められた人件費総額の中で職員の役職別管理を独自に行ったことなどによると思料される。
多くの法人では、中期計画等において、効率的な人材の確保や事業の迅速・的確な実施等のための人事交流を積極的に行うこととしている。そこで、16年度末における常勤職員に占める人事交流の状況についてみると、図1−7のとおり、常勤職員の約4分の1が出向者となっており、その多くは各独立行政法人が行う事業の企画立案を行っている主務省からの出向者となっている。
図1−7 人事交流の状況(16年度)