会計検査院の検査を必要とするものは、会計検査院法第22条の規定により、次のとおりとされている。
〔1〕 国の毎月の収入支出
〔2〕 国の所有する現金及び物品並びに国有財産の受払
〔3〕 国の債権の得喪又は国債その他の債務の増減
〔4〕 日本銀行が国のために取り扱う現金、貴金属及び有価証券の受払
〔5〕 国が資本金の2分の1以上を出資している法人の会計
〔6〕 法律により特に会計検査院の検査に付するものと定められた会計
このほか、会計検査院は、必要と認めるとき又は内閣の請求があるときは、会計検査院法第23条第1項の規定により、次に掲げる会計経理の検査をすることができることとされている。
〔7〕 国の所有又は保管する有価証券又は国の保管する現金及び物品
〔8〕 国以外のものが国のために取り扱う現金、物品又は有価証券の受払
〔9〕 国が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計
〔10〕 国が資本金の一部を出資しているものの会計
〔11〕 国が資本金を出資したものが更に出資しているものの会計
〔12〕 国が借入金の元金又は利子の支払を保証しているものの会計
〔13〕 国若しくは国が資本金の2分の1以上を出資している法人の工事その他の役務の請負人若しくは事務若しくは業務の受託者又は国等に対する物品の納入者のその契約に関する会計
平成18年次の検査(検査実施期間平成17年10月〜18年9月)において検査の対象となったもののうち、〔5〕は政府関係機関、公団、事業団、独立行政法人等247法人の会計、〔6〕は日本放送協会の会計、〔9〕は4,669の団体等の会計、〔10〕は4法人の会計、〔11〕は13法人の会計である。
上記の検査の対象のうち主なものの平成17年度決算等の概要は、第6章の「歳入歳出決算その他検査対象の概要」に記載したとおりである。
検査対象機関に対する検査の主な方法は、書面検査及び実地検査である。
書面検査は、検査対象となる会計を取り扱う機関から、会計検査院の定める計算証明規則により、当該機関で行った会計経理の実績を計数的に表示した計算書、及びその裏付けとなる各種の契約書、請求書、領収証書等の証拠書類等を提出させ、これらの書類について在庁して行う検査である。
また、実地検査は、検査対象機関である省庁等の官署、事務所等に職員を派遣して、実地に、関係帳簿や事務・事業の実態を調査したり、関係者から説明を聴取したりなどして行う検査である。
これらの方法により、会計検査院が平成18年次に実施した検査の実績は、次のとおりである。
(ア)書面検査については、平成17年度分の計算書17万余冊及びその証拠書類5246万余枚を対象に実施した。
(イ)実地検査については、次表のとおり、検査対象機関である省庁等の官署、事務所等3万3千余箇所のうち、2千7百余箇所について実施したほか、国が補助金その他の財政援助を与えた前記4,669の団体等について実施した。これらの実地検査に要した人日数は、3万9千3百余人日となっている。
検査対象機関である省庁等の官署、事務所等
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左の箇所数
(A)
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左のうち検査を実施した箇所数(B)
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検査実施率(%)
(B/A)
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本省、本庁、本社等
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4,414
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1,977
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44.7
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都道府県単位の地方出先機関等
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7,997
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670
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8.3
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小計
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12,411
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2,647
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21.3
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駅、特定郵便局等
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20,678
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138
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0.6
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計
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33,089
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2,785
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8.4
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検査の進行に伴い、検査上疑義のある事態について、疑問点を質したり、見解を求めたりなどするために、関係者に対して書面をもって質問を発しているが、平成18年次の検査において発した質問は7百余事項となっている。