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  • 平成17年度|
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  • 予算経理

現場技術業務に係る予算執行が会計法令等に違背し、誤った歳出科目から支出しているもの


(1)—(8)現場技術業務に係る予算執行が会計法令等に違背し、誤った歳出科目から支出しているもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)防衛本庁
(項)施設整備費
(組織)防衛施設庁
(項)施設運営等関連諸費
(項)提供施設移設整備費
部局等の名称
防衛施設庁仙台防衛施設局ほか2防衛施設局
契約名
三沢米軍(15)現場技術業務委託契約ほか7契約(平成15、16両年度)
契約の概要
工事計画等に係る資料の収集・整理、工程等の調整などの支援業務等を委託するもの
契約の相手方
財団法人防衛施設技術協会
契約
平成16年3月〜17年3月 随意契約
契約額
324,450,000円
(平成15、16両年度)
上記のうち誤った歳出科目から支出した額
99,668,681円
(平成16、17両年度)

1 現場技術業務に係る予算執行の概要

(1)現場技術業務委託

 防衛施設庁の各防衛施設局では、管内に所在する自衛隊の基地等、在日米軍基地等において、格納庫、隊舎、庁舎等の建設工事を毎年度多数実施している。そして、各防衛施設局では、これらの建設工事の適正かつ円滑な実施等を確保するため、一つの契約で複数の建設工事を対象とする次のような現場技術業務を、財団法人防衛施設技術協会(以下「協会」という。)に委託している。
〔1〕 工事計画等に係る資料の収集・整理、工程等の調整などの支援業務
〔2〕 工事監督官が工事着手前及び工事施工中に月一回程度実施する施工体制に関する点検の補助業務

(2)現場技術業務に係る予算執行

 国の予算の執行に当たっては、財政法(昭和22年法律第34号)、会計法(昭和22年法律第35号)等(以下「会計法令等」という。)に基づき行うこととされている。
 会計法令等によれば、歳出予算については、その目的に従って項に区分し、各項の経費の金額については、当該各項に定める目的のほかに使用することができないなどとされており、前記の工事を実施するために必要な経費に係る歳出科目については、工事の目的に従って、次のア、イ、ウ等に区分されている。
ア 各自衛隊等に係る土木建築等の請負工事 (組織)防衛本庁(項)施設整備費
イ 在日米軍のための提供施設等の整備工事 (組織)防衛施設庁(項)施設運営等関連諸費
ウ 在日米軍のための提供施設を移転して当該提供施設の返還を受けるため必要となる施設整備工事 (組織)防衛施設庁(項)提供施設移設整備費
 そして、現場技術業務を実施するために必要な経費は、その対象工事を実施するために必要な経費に該当することから、現場技術業務に係る予算執行においても、その対象工事に対応した歳出科目から支出しなければならないこととなっている。

2 検査の結果

 防衛施設庁仙台、福岡、那覇各防衛施設局(以下「仙台局等」という。)が平成15、16両年度に締結した三沢米軍(15)現場技術業務委託契約ほか7契約計324,450,000円について、それぞれの契約がその対象工事に対応した適正な歳出科目から支出されているかなどを支出決定決議書等により検査したところ、次のとおり会計法令等に違背した事態が見受けられた。
 すなわち、仙台局等では、上記8契約の現場技術業務に係る委託費を(組織)防衛施設庁の(項)施設運営等関連諸費又は(項)提供施設移設整備費の歳出科目から支出することとして、予算を執行するため支出負担行為、支出決定等の各種手続を行っていた。しかし、これらの契約は、対象工事の中に前記アの各自衛隊等に係る土木建築等の請負工事が含まれていたり、前記イとウのそれぞれ目的の異なる工事が同一の歳出科目から支出する業務委託契約の対象工事の中に混在していたりしており、このような場合は、各対象工事に対応した歳出科目から現場技術業務に係る委託費を支出すべきであると認められた。
 したがって、上記の現場技術業務に係る予算執行は会計法令等に違背しており、本院の指摘を受けて支出負担行為の変更等を行い適正な歳出科目から支出された35,414,000円を除く計99,668,681円は誤った歳出科目から支出されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、仙台局等において、目的の異なる対象工事が混在している現場技術業務に係る予算執行に当たり、会計法令等を遵守して適正に執行すべきであることへの認識が十分でなかったことなどによると認められる。
 上記の事態について、一例を示すと次のとおりである。

<事例>

 仙台防衛施設局では、平成15年度に、三沢地区において実施する126件の建設工事を対象工事として、三沢米軍(15)現場技術業務委託契約を協会と39,900,000円で締結し、16年度に、同額を(組織)防衛施設庁(項)施設運営等関連諸費の歳出科目から支出していた。
 しかし、当該対象工事の中には、(組織)防衛本庁(項)施設整備費の歳出科目から支出している31件の航空自衛隊に係る建設工事が含まれており、これに係る現場技術業務委託費6,903,140円については、(組織)防衛本庁(項)施設整備費の歳出科目から支出すべきであった。
これらを契約別に示すと次のとおりである。

 
防衛施設局名
契約名
契約金額
支出年度
支出すべき歳出科目
誤って支出した歳出科目
誤って支出した金額
 
 
 
千円
 
 
 
 
 
(1)
仙台防衛施設局
三沢米軍(15)現場技術業務委託契約
39,900
16
(組織)
防衛本庁
(組織)
防衛施設庁
 
 
(項)
施設整備費
(項)
施設運営等関連諸費
6,903,140
(2)
三沢米軍(16)建設工事技術業務委託契約
39,795
17
(組織)
防衛本庁
(組織)
防衛施設庁
 
 
(項)
施設整備費
(項)
施設運営等関連諸費
7,868,855
(3)
福岡防衛施設局
佐世保地区(15)建設工事技術業務(その2)委託契約
6,300
16
(組織)
防衛本庁
(組織)
防衛施設庁
 
(項)
施設整備費
(項)
施設運営等関連諸費
3,526,690
(4)
佐世保地区(15)建設工事技術業務委託契約
93,450
16、17
(組織)
防衛本庁
(組織)
防衛施設庁
 
(項)
施設整備費
(項)
施設運営等関連諸費
24,593,668
(5)
那覇防衛施設局
沖縄地区(15)技術業務委託契約
42,630
16
(組織)
防衛施設庁
(組織)
防衛施設庁
 
 
(項)
提供施設移設整備費
(項)
施設運営等関連諸費
3,854,979
(6)
沖縄地区(15)建設工事技術業務委託契約
15,120
16
(組織)
防衛本庁
 
(組織)
防衛施設庁
 
 
(項)
施設整備費
(項)
施設運営等関連諸費
41,225
 
 
(項)
提供施設移設整備費
3,583,617
(7)
沖縄地区(16)技術業務委託契約
70,455
17
(組織)
防衛施設庁
 
(組織)
防衛施設庁
 
 
(項)
施設運営等関連諸費
(項)
提供施設移設整備費
40,140,665
(8)
沖縄地区(16)建設工事技術業務委託契約
16,800
17
(組織)
防衛本庁
(組織)
防衛施設庁
 
(項)
施設整備費
 
(項)
提供施設移設整備費
9,155,842
(組織)
防衛施設庁
 
 
 
(項)
施設運営等関連諸費
 
 
 
(1)—(8) の計
 
324,450
 
 
 
 
 
99,668,681