会計名及び科目
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一般会計
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(組織)防衛本庁
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(項)防衛本庁
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(項)装備品等整備諸費
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(項)施設整備等附帯事務費
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部局等の名称
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海上自衛隊横須賀、佐世保両地方総監部、鹿屋、那覇、大村、小月各航空基地隊、沖縄基地隊及び航空補給処
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部隊輸送に係る経理処理の概要
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出動、訓練、演習等の目的で部隊及び隊員を輸送する場合に、あらかじめ購入した旅行券により航空券等を調達して現物支給しているもの
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旅行券の購入に係る支出額
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1億5974万余円
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(平成13年度〜17年度)
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上記に係る券面額
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1億6080万余円
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購入時期等が不適切だったため翌年度へ繰り越した旅行券の券面額(平成17年度末)
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5252万円
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一般の業務出張に使用し、使途が不適切だった旅行券の券面額
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809万円
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(平成14年度〜17年度)
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海上自衛隊では、出動、訓練、演習等の目的で部隊輸送を行っており、その場合の経理処理について、「出動、災害派遣、地震防災派遣、訓練、演習等のために部隊輸送をする場合における経費等の処理要領について(通知)」(平成17年海幕監査第625号。以下「処理要領」という。)を定め、これにより運用している。
処理要領によれば、部隊及び隊員を輸送するに当たって、その任務及び行動の本質上、輸送、宿泊及び給食等はすべて現物をもって処理するのが適当と認められる場合には、部隊輸送として取り扱い、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和25年法律第114号)に基づく旅費を支給しないこととしている。
そして、部隊輸送に伴う経費については、防衛本庁歳入歳出予算科目表(以下「予算科目表」という。)で定める(項)防衛本庁のうち、(目)運搬費から輸送経費を、(目)糧食費から給食経費を、(目)教育訓練費から宿舎借上経費をそれぞれ支出することとしている。
また、輸送手段については、極力自衛隊の輸送機関等を利用することとしているが、鉄道その他有料交通機関を利用する場合には、自衛隊旅客運賃料金後払証(注1)
により調達した乗車券等を利用し、又は当該部隊輸送に係る経費を所轄する資金前渡官吏(分任官を含む。以下同じ。)が購入した旅行券により、当該輸送に必要な航空券、乗船券、高速バス券等(以下「航空券等」という。)を調達し利用することなどとしている。
以上のように、旅行券は、部隊及び隊員の輸送に必要な航空券等を調達するために購入するものであることから、購入に要する費用は(目)運搬費から支出することとなっている。そして、この旅行券は、旅行会社等によって有効期限を定めないで発行され、旅行会社を通じて手配した航空券代、乗車券代、宿泊代等の支払に現金同様に使用できるものである。
海上自衛隊では、各地方総監部等の経理課等の経理部署が、旅行券による航空券等の発注・支払を担当するとともに、旅行券を保管して受払簿で残額の管理をしていることから、旅行券の購入に当たっては経理部署が調達請求元となっている。
経理部署では、旅行券を購入する必要があると判断した場合は、物品供用官へ請求し、物品供用官は当該部隊等の物品を所轄する分任物品管理官へ請求している。分任物品管理官は、旅行券の種類、枚数、支出科目等の請求内容を審査の上、資金前渡官吏を兼務している契約担当官へ調達要求を行い、契約担当官は旅行券の購入時期や購入額を決定し購入している。
そして、海上自衛隊の説明によれば、旅行券を購入する理由は、購入時に1%の割引を受けられるなど航空券等を現金で購入する場合より経済的であること、旅行会社と協定を結ぶことにより1箇月分を一括して旅行券で支払うことなどが可能となり、現金払で個々の航空券等を購入する場合に比べて事務の簡素化が図れることなどとしている。
国の予算の執行に当たっては、財政法(昭和22年法律第34号)等の法令に基づき、当該年度における収入支出は他の年度の収入支出と区分したり、予算科目の目的に従って支出したりすることなど適切に行うこととなっている。
そこで、部隊輸送の経費を支払う方法の一つとして使用されている旅行券について、合規性等の観点から、その購入時期、購入額、翌年度への繰越し、使途等が適切であるかなどに着眼して、各地方総監部等において契約差引簿等で旅行券の購入状況を確認することなどにより検査した。
検査に当たっては、横須賀地方総監部ほか17箇所(注2) において、平成13年度から17年度までの間に購入した旅行券を対象として検査を実施した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
横須賀、佐世保両地方総監部、鹿屋、那覇、大村、小月各航空基地隊、沖縄基地隊及び航空補給処(以下「横須賀地方総監部ほか7箇所」という。)では、13年度から17年度までの間に旅行券を購入しており、各年度ごとの旅行券の購入額、使用額及び翌年度への繰越額(これらの額はすべて券面額。以下同じ。)は、表1のとおり、いずれも年々増加傾向にあった。
年度
|
購入額
|
使用額
|
翌年度への繰越額
|
13
|
2,000
|
—
|
2,000
|
14
|
20,000
|
8,365
|
13,634
|
15
|
33,521
|
26,116
|
21,038
|
16
|
54,492
|
29,038
|
46,492
|
17
|
50,788
|
44,757
|
52,522
|
計
|
160,801
|
108,278
|
—
|
ア 旅行券の購入時期及び購入額
横須賀地方総監部ほか7箇所では、13年度から17年度までの間における旅行券の購入額1億6080万余円(支出額1億5974万余円)のうち、各年度末の3月に購入した額が購入額全体の約70%に当たる計1億1536万余円となっていた。そして、箇所別・年度別に当該年度の購入額に対する3月の購入割合を算定し、年度別に集計したところ、表2のとおり、3月の購入割合が50%以上となっているものが延べ22箇所のうち延べ19箇所あり、購入時期が3月に集中しており、その箇所数も年々増加している状況であった。
3月購入率
\
年度
|
50%未満
|
50%以上
|
計
|
||||||
20%
未満
|
20%
以上40%
未満
|
40%
以上50%
未満
|
50%
以上60%
未満
|
60%
以上70%
未満
|
70%
以上80%
未満
|
80%
以上90%
未満
|
90%
以上
|
||
13
|
—
|
—
|
—
|
—
|
—
|
—
|
—
|
1
|
1
|
14
|
—
|
1
|
—
|
—
|
—
|
—
|
1
|
1
|
3
|
15
|
1
|
—
|
—
|
—
|
—
|
2
|
—
|
2
|
5
|
16
|
—
|
—
|
—
|
—
|
1
|
—
|
3
|
1
|
5
|
17
|
—
|
—
|
1
|
—
|
1
|
1
|
—
|
5
|
8
|
計
|
1
|
1
|
1
|
—
|
2
|
3
|
4
|
10
|
22
|
3
|
19
|
イ 旅行券の翌年度への繰越し
横須賀地方総監部ほか7箇所について、箇所別・年度別に当該年度の使用可能額(前年度からの繰越額に当該年度の購入額を加えた額)のうち翌年度に繰り越している割合を算定し、年度別に集計したところ、表3のとおり、当該年度の使用可能額のうち50%以上を翌年度へ繰り越しているものが延べ22箇所のうち延べ16箇所あるなど、7割を超える延べ箇所で使用可能額の半数以上を繰り越している状況であった。
繰越率
\
年度
|
50%未満
|
50%以上
|
計
|
||||||
20%
未満
|
20%
以上40%
未満
|
40%
以上50%
未満
|
50%
以上60%
未満
|
60%
以上70%
未満
|
70%
以上80%
未満
|
80%
以上90%
未満
|
90%
以上
|
||
13
|
—
|
—
|
—
|
—
|
—
|
—
|
—
|
1
|
1
|
14
|
—
|
—
|
1
|
—
|
—
|
—
|
—
|
2
|
3
|
15
|
—
|
1
|
1
|
1
|
—
|
—
|
—
|
2
|
5
|
16
|
—
|
—
|
—
|
2
|
2
|
1
|
—
|
—
|
5
|
17
|
—
|
1
|
2
|
1
|
1
|
1
|
—
|
2
|
8
|
計
|
—
|
2
|
4
|
4
|
3
|
2
|
—
|
7
|
22
|
6
|
16
|
上記のとおり、横須賀地方総監部ほか7箇所では、年度末に多額の旅行券を購入し、多額の繰越しを行っていた。
しかし、旅行券は、必要な都度、必要な額だけを購入することが可能な物品であり、当該年度内に使用できないような多額の旅行券を年度末に購入する必要性は認められない。また、旅行券をそのまま航空券等として使用することはできず、旅行券で航空券等を調達して初めて最終的な目的を達成するものであるから、多額の旅行券を購入して、翌年度に繰り越して使用することは、当該年度の予算を実質的に翌年度以降の経費として使用することになり、財政法で定める会計年度独立の原則の趣旨を逸脱するものであると認められた。
したがって、横須賀地方総監部ほか7箇所において、旅行券の購入に当たって、購入時点での残高、購入時期、購入額を十分検討しないまま年度末に多額の旅行券を購入し翌年度へ繰り越している事態は、適切とは認められない。
上記について事例を示すと次のとおりである。
横須賀地方総監部では、表4のとおり、平成16年度から17年度へ2325万余円の旅行券を繰り越していた。一方、17年度における購入は18年3月29日まで行われず、それまでの使用額は1499万余円であったことから、同日現在でなお826万余円の残額が生じていた。しかし、3月30日に1300万円、31日に500万円を新たに購入したため、これらの合計2626万余円が18年度に繰り越される結果となっていた。
年度
|
年月
|
購入額
|
使用額
|
残高
|
繰越額
|
16
|
17年3月
|
/
|
/
|
/
|
23,255
|
17
|
17年4月〜18年2月
|
—
|
13,910
|
9,344
|
—
|
18年3月1日〜29日
|
—
|
1,081
|
8,262
|
—
|
|
18年3月30、31日
|
18,000
|
—
|
26,262
|
26,262
|
また、横須賀地方総監部ほか7箇所では、前記のとおり、13年度から17年度までの間に旅行券の購入のために計1億5974万余円(券面額1億6080万余円)を支出しているが、表5のとおり、このうち横須賀地方総監部及び鹿屋航空基地隊では、2606万余円(券面額2632万円)を、処理要領で旅行券購入の経費に充てることとしている(目)運搬費以外の予算科目から支出していた。そして、これらの旅行券は複数の予算科目の予算を併せて購入されたことから、支出した予算科目を個々の旅行券ごとに特定できない状況となっており、各予算科目が定める目的ごとに区分して使用することは困難となっていた。
予算科目
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(項)
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防衛本庁
|
装備品等整備諸費
|
施設整備等附帯事務費
|
合計
|
|||||
(目)
|
運搬費
|
糧食費
|
教育訓練費
|
職員旅費
|
入校講習旅費
|
帰住招集等旅費
|
諸器材等維持費
|
艦船建造旅費
|
||
年度
|
13
|
990
|
—
|
990
|
—
|
—
|
—
|
—
|
—
|
|
14
|
10,970
|
1,980
|
2,970
|
—
|
—
|
—
|
3,960
|
—
|
||
15
|
25,407
|
990
|
2,970
|
645
|
10
|
994
|
1,980
|
330
|
||
16
|
46,932
|
1,980
|
2,871
|
—
|
—
|
—
|
2,277
|
—
|
||
17
|
49,376
|
—
|
1,120
|
—
|
—
|
—
|
—
|
—
|
||
支出額
|
133,676
|
4,950
|
10,921
|
645
|
10
|
994
|
8,217
|
330
|
159,744
|
|
26,068
|
||||||||||
券面額
|
134,481
|
26,320
|
160,801
|
横須賀地方総監部ほか7箇所における13年度から17年度までの間の旅行券の使途は、航空券代、乗船券代、高速バス券代等の交通費等として合計1億0827万余円となっていた。
このうち、移動の目的及び行程を指示した命令書等の資料により検査したところ、国家公務員等の旅費に関する法律に基づく旅費を支給すべき、会計監査、物品管理検査等の一般的な業務出張の移動等に使用しており、その額について確認できた範囲内では、横須賀、佐世保両地方総監部で、37件809万余円となっていた。
しかし、これらの一般的な業務出張は、予算科目表で定める(目)運搬費の内容に該当せず、旅費の類の予算科目から支出すべきと認められ、上記の事態は、予算科目の区別による予算統制の趣旨に照らして不適切であると認められた。
このような事態が生じていたのは、海上幕僚監部及び地方総監部等において、旅行券の購入等に当たり、財政法等の法令についての理解が十分でなく、これらを遵守して予算を適切に執行すべき認識に欠けていたことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、海上幕僚監部では、旅行券の購入等について、18年9月に各地方総監部等の会計担当者に対する会議を開催するとともに同年10月に各地方総監部等に対して通知を発し、予算執行に当たって財政法等の法令を遵守するとともに、今後は旅行券の購入を行わないことなどを周知徹底する処置を講じた。