会計名及び科目
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労働保険特別会計(雇用勘定) (項)雇用安定等事業費
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部局等の名称
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(1)
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大阪労働局
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(2)
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沖縄労働局(支給決定庁 沖縄公共職業安定所)
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支給の相手方
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(1)
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1事業主
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(2)
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1事業主
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助成金
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(1)
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地域雇用開発促進助成金
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(2)
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沖縄若年者雇用開発助成金
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不適正な支給となっていた地域雇用開発促進助成金等
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(1)
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地域高度人材確保奨励金
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(2)
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沖縄若年者雇用奨励金
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上記の奨励金の支給額の合計
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(1)
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3,650,000円
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(平成17年度)
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(2)
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114,110,769円
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(平成16年度)
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計
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117,760,769円
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不適正支給額
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(1)
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2,100,000円
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(平成17年度)
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(2)
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1,359,803円
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(平成16年度)
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計
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3,459,803円
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地域雇用開発促進助成金及び沖縄若年者雇用開発助成金(沖縄若年者雇用開発助成金は、平成17年度に地域雇用開発促進助成金に統合された。)は、雇用保険(前掲の「雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの」
参照)で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、雇用に関する状況を改善する必要がある地域における雇用の安定を図るために、新たに労働者を雇い入れるなど必要な措置を講ずる事業主に対して支給されるものである。
地域雇用開発促進助成金には、地域高度人材確保奨励金(以下「高度人材奨励金」という。)等が、沖縄若年者雇用開発助成金には、沖縄若年者雇用奨励金(以下「沖縄奨励金」という。)等がある。これらのうち、高度人材奨励金及び沖縄奨励金の概要は次のとおりである。
高度人材奨励金は、同意高度技能活用雇用安定地域(注1)
に所在する事業所の事業主が、当該事業所を管轄する都道府県労働局に提出した「地域高度人材確保奨励金受入れ等計画書」に沿って、製品・技術の開発担当者(製品・技術開発等の業務に所定の期間従事していたなどの要件を満たす者。以下同じ。)等の高度技能人材を雇用等の契約により受け入れたことなどが支給要件となっている。そして、支給対象期間は1年、支給額は、中小企業事業主にあっては、受け入れた高度技能人材1人につき総額で140万円、当該受入れに伴い雇い入れた当該同意高度技能活用雇用安定地域に居住する求職者1人につき総額で30万円となっている。
高度人材奨励金の支給を受けようとする事業主は、高度技能人材の受入れ後に高度技能人材であることを証明する履歴書等を添付した「地域高度人材確保奨励金高度技能人材受入れ等申告書」(以下「受入れ等申告書」という。)を、また、受入れ後6箇月を経過するごとに当該奨励金に係る支給申請書を、それぞれ公共職業安定所を通じて都道府県労働局に提出することとなっている。そして、都道府県労働局では、受入れ等申告書、支給申請書等に記載されている当該高度技能人材の氏名、受入れ年月日、高度技能人材の該当の有無等を審査した上、支給決定を行い、これに基づいて高度人材奨励金の支給を行うこととなっている。
沖縄奨励金は、沖縄県内に所在する事業所の事業主が、当該事業所を管轄する公共職業安定所に提出し、その認定を受けた「沖縄若年者等の雇用に関する計画書」(以下「計画書」という。)に沿って、同県内において事業所の設置・整備を行い、それに伴って沖縄若年求職者(注2)
を常用労働者として雇い入れたこと(ただし、過去3年間に当該事業主の事業所において雇用されていた者等の雇入れを除く。)などが支給要件となっている。そして、支給対象期間は3年、支給額は、雇い入れた沖縄若年求職者に対して支払った賃金の額に所定の助成率(注3)
を乗じて得た額などとなっている。
沖縄奨励金の支給を受けようとする事業主は、事業所の設置・整備及び沖縄若年求職者の雇入れ後に「沖縄若年者雇用開発助成金雇入れ労働者申告書」(以下「雇入れ申告書」という。)等を、また、事業所の設置・整備及び雇入れ後6箇月を経過するごとに当該奨励金に係る支給申請書を、それぞれ公共職業安定所に提出することとなっている。そして、公共職業安定所では、雇入れ申告書、支給申請書等に記載されている当該雇入れ労働者の氏名、生年月日、雇用保険の被保険者資格取得年月日、過去3年以内の雇用歴等を審査した上、支給決定を行い、これに基づいて沖縄奨励金の支給を行うこととなっている。
(注2) | 沖縄若年求職者 沖縄県内に居住する30歳未満の求職者 |
(注3) | 所定の助成率 計画書を提出した日が平成10年6月から12年9月までの間である場合には暫定措置として2分の1、それ以外の場合は3分の1となっている。 |
大阪、沖縄両労働局の淀川公共職業安定所ほか2公共職業安定所管内において、16、17両年度に高度人材奨励金又は沖縄奨励金の支給を受けた事業主のうち9事業主を対象として、大阪労働局及び那覇、沖縄両公共職業安定所における支給決定の適否について、事業主が提出した支給申請書等により検査した。
検査したところ、大阪労働局淀川公共職業安定所管内における1事業主に対する高度人材奨励金の支給(支給額3,650,000円)のうちの2,100,000円及び沖縄労働局沖縄公共職業安定所管内における1事業主に対する沖縄奨励金の支給(支給額114,110,769円)のうちの1,359,803円、計3,459,803円が適正に支給されていなかった。
上記の不適正支給の態様は、高度人材奨励金については、製品・技術の開発担当者等に該当しない者を高度技能人材に含めて申請した事業主に対して、また、沖縄奨励金については、当該事業主の事業所において過去3年以内に雇用されていた者を新たに雇い入れた沖縄若年求職者に含めて申請した事業主に対して、それぞれ支給していたものである。
このような事態が生じていたのは、事業主が制度を十分に理解していなかったため、提出された受入れ等申告書又は雇入れ申告書に、支給要件に該当しない者を誤って記載していたのに、大阪労働局及び沖縄公共職業安定所において、これらに対する調査確認が十分でないまま支給決定を行っていたことによると認められる。
なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。