会計名及び科目
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一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)保健衛生施設整備費
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部局等の名称
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東京都
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補助の根拠
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予算補助
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補助事業者
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東京都
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間接補助事業者
(事業主体)
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社団法人衛生文化協会
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補助事業
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医療施設近代化施設整備事業
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補助事業の概要
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医療施設の患者の療養環境、医療従事者の職場環境等の改善等のための施設整備を行うもの
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上記に対する国庫補助金交付額
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232,509,000円
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(平成15、16両年度)
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不当と認める国庫補助金交付額
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20,855,000円
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(平成15、16両年度)
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医療施設等施設整備費補助金(医療施設近代化施設整備事業分)は、医療施設における患者の療養環境、医療従事者の職場環境等の改善等を図るため、市町村、社団法人等が事業主体となって医療施設等を整備する事業に対して、都道府県が補助する場合等に、その費用の一部を国が補助するものである。
社団法人衛生文化協会(以下「法人」という。)では、平成15、16両年度に医療施設近代化施設整備事業として、病院の病棟、電子カルテシステム等の整備を事業費15年度648,374,998円、16年度536,025,002円、計1,184,400,000円で実施し、東京都から15年度190,903,000円、16年度157,861,000円、計348,764,000円の補助金の交付を受けていた。そして、東京都は、これに対し15年度127,268,000円、16年度105,241,000円、計232,509,000円の国庫補助金の交付を受けていた。
上記補助事業のうち電子カルテシステムの整備は、15年度に、診察時に発生する処方、検査、入院等の情報をコンピュータに入力するためのシステム(以下「オーダリングシステム」という。)等を、16年度に、カルテ等の診療情報をコンピュータ等の電子媒体に入力、保存する診療録システム、各種検査の結果を時系列に閲覧する電子温度板システム等を事業費計81,900,000円(国庫補助金計20,855,000円)で導入するものである。
法人では、上記システムの納入契約をシステム開発業者(以下「業者」という。)と締結し、15年度分の納期を16年3月末、16年度分の納期を17年3月末とし、両年度末までに補助事業を完了したとしていた。そして、東京都では、16年3月及び17年3月に法人から本件補助事業に係る事業実績報告書の提出を受け、審査確認の上、16年4月及び17年4月に国庫補助金に係る事業実績報告書を国に提出し、額の確定を受けていた。
事業実績報告書等により検査したところ、次のような事態が見受けられた。
すなわち、法人では補助事業が完了したとしていたが、17年3月までに電子カルテシステムのシステム機器の整備は完了していたものの、業者によるソフトウェアに係る作業の遅れから、オーダリングシステムの一部、診療録システム及び電子温度板システムが稼働していない状態となっていた。そして、18年3月には、業者が電子カルテシステムの事業から撤退したため、オーダリングシステム等の未稼働部分について稼働のめどが立たなくなり、その結果、法人は、業者との協議に基づき電子カルテシステムの納入契約を合意解約し、電子カルテシステムのシステム機器すべての撤去を求めることとしている。
したがって、本件補助事業のうち電子カルテシステムの整備は、オーダリングシステム等が稼働しないまま、システム機器のすべてが撤去されることとなっていて、本件補助事業の一部が実施されておらず、これに係る国庫補助金計20,855,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、法人において、補助事業の適正な実施についての認識が欠けていたこと、東京都において、上記システムの未稼働の状況を把握していたのに、事業実績報告書を了とするなど、本件補助事業の審査、確認及び法人に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。