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児童保護費等負担金の経理が不当と認められるもの


(146)—(181)児童保護費等負担金の経理が不当と認められるもの

会計名及び科目
一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)児童保護費
部局等の名称
北海道ほか19都府県
国庫負担の根拠
児童福祉法(昭和22年法律第164号)
補助事業者
(事業主体)
市31、特別区2、町3、計36市区町
国庫負担対象事業
保育所運営事業
国庫負担対象事業の概要
保護者の労働や疾病等により保育に欠ける児童の保育の実施を民間保育所に委託するもの
上記に対する国庫負担金交付額の合計
25,051,204,736円
(平成16年度)
不当と認める国庫負担金交付額
50,200,495円
(平成16年度)

1 負担金の概要

 児童保護費等負担金(保育所運営費国庫負担金に係る分)は、保護者の労働又は疾病等の事由により保育に欠ける児童の保育の実施を、社会福祉法人等が設置する保育所(以下「民間保育所」という。)に委託した市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対し、その委託に要した費用の一部を国が負担するものである。
 そして、この負担金の交付額は、次のとおり算定することとなっている。

児童保護費等負担金の経理が不当と認められるものの図1

 この費用の額及び徴収金の額は、次のとおり算定することとなっている。

〔1〕 費用の額は、民間保育所の所在地域、入所定員、児童の年齢等の別に1人当たり月額で定められている保育単価に、各月の入所児童数を乗じるなどして算出した年間の額による。
 この保育単価については、民間施設給与等改善費として、当該民間保育所に勤務するすべての常勤職員を対象として算出した当該年度の4月1日現在における職員1人当たりの平均勤続年数(注) に応じた次表の加算率の区分ごとに別途設定される額を加算している。

職員1人当たりの平均勤続年数
加算率の区分
10年以上
7年以上10年未満
4年以上7年未満
4年未満
12%
10%
8%
4%

 職員1人当たりの平均勤続年数 個々の常勤職員の勤続年数(他の社会福祉施設における通算勤続年数がある場合には、その年数を合算した勤続年数)について、全常勤職員分を合計(以下「合算総勤続年数」という。)し、これを常勤職員数で除して得た年数(6月以上の端数は1年とし、6月未満の端数は切り捨てる。)


〔2〕 徴収金の額は、児童の扶養義務者の前年分の所得税額又は前年度分の市町村民税の課税の有無等に応じて階層別に児童1人当たり月額で定められている徴収金基準額などから算出した年間の額による。この階層区分の認定については、その児童と同一世帯に属して生計を一にしている父母及びそれ以外の扶養義務者(家計の主宰者である場合に限る。)のすべてについて、それらの者の課税額の合計額により行う。なお、児童の属する世帯が母子世帯等の場合などには、階層に応じ、徴収金の額を軽減する。

2 検査の結果

(1)検査の対象及び方法

 北海道ほか23都府県の112事業主体において、平成16年度に交付されたこの負担金について事業実績報告書等により検査した。

(2)検査の結果

 検査したところ、北海道ほか19都府県の36事業主体では、児童の扶養義務者の所得税額等を誤認するなどして徴収金の額を過小に算定していたり、保育単価の適用を誤るなどして費用の額を過大に算定していたりしていた。
 このため国庫負担対象事業費が過大に精算されていて、国庫負担金50,200,495円が不当と認められる。
 上記の徴収金の額を過小に算定していた事態及び費用の額を過大に算定していた事態について、それぞれ一例を示すと次のとおりである。

<事例1>  扶養義務者の所得税額を誤認していたもの

 A事業主体では、平成16年度に、児童B(5歳)について、その扶養義務者である母の15年分の所得税額及び15年度分の市町村民税額はないこと、母子世帯であることから、徴収金の額を0円と算定していた。しかし、実際は、母のほかに児童Bの扶養義務者として祖父がいることから、祖父の15年分の所得税額625,400円を基に算定すべきであり、これにより計算すると徴収金の額は589,380円となり、同額が過小となっていた。
 そして、A事業主体ではこのように扶養義務者の所得税額を誤認していた事態が上記を含め、児童13人について見受けられ、徴収金の額が7,639,660円過小となっていた。

<事例2>  民間施設給与等改善費の加算を誤っていたもの

 C事業主体では、平成16年度に、財団法人Dが設置するE保育園に係る保育単価について、同園の常勤職員数が22人、合算総勤続年数が209年1月、平均勤続年数が10年となっていることから、前記の表の加算率の区分12%に該当するとして、この区分に該当する額を民間施設給与等改善費として加算し、同園に係る費用の額を110,390,600円と算定していた。
 しかし、実際は、同園の16年4月1日現在における常勤職員は、上記22人のほかに3人おり、常勤職員数は25人、合算総勤続年数は222年であった。そして、この常勤職員数、合算総勤続年数により平均勤続年数を算出すると9年となることから、これに応じた加算率の区分は10%となり、この区分に該当する民間施設給与等改善費の額により計算すると、費用の額は108,655,560円となり、費用の額が1,735,040円過大となっていた。
 このような事態が生じていたのは、事業主体において徴収金の額及び費用の額の算定に当たっての調査確認が十分でなかったこと、また、都道府県において適正な事務処理の執行についての指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを都道府県別・事業主体別に示すと次のとおりである。

 
都道府県名
事業主体
年度
国庫負担対象事業費
左に対する国庫負担金
不当と認める国庫負担対象事業費
不当と認める国庫負担金
摘要
 
 
 
 
千円
千円
千円
千円
 
(146)
北海道
釧路市
16
630,628
315,314
1,920
960
扶養義務者の所得税
額等を誤認していた
もの
(147)
秋田県
由利本荘市
16
723,359
361,679
4,005
2,002
保育単価の適用を
誤っていたものなど
(148)
南秋田郡
五城目町
16
73,228
36,614
1,419
709
扶養義務者の所得
税額等を誤認してい
たもの
(149)
栃木県
宇都宮市
16
2,125,046
1,062,523
1,974
987
保育単価の適用を
誤っていたものなど
(150)
小山市
16
505,046
252,523
1,110
555
扶養義務者の所得税
額を誤認していたもの
(151)
千葉県
松戸市
16
1,183,876
591,938
1,573
786
(152)
鎌ヶ谷市
16
129,098
64,549
1,659
829
扶養義務者の所得税
額等を誤認していた
ものなど
(153)
東京都
大田区
16
652,326
326,163
7,048
3,524
(154)
板橋区
16
1,847,409
923,704
6,683
3,341
(155)
東村山市
16
350,960
175,480
4,676
2,338
扶養義務者の所得税
額を誤認していたも
のなど
(156)
東京都
西東京市
16
251,498
125,749
1,343
671
扶養義務者の所得税
額等を誤認していた
もの
(157)
神奈川県
藤沢市
16
891,407
445,703
4,784
2,392
(158)
石川県
金沢市
16
4,616,061
2,308,030
1,308
654
保育単価の適用を
誤っていたもの
(159)
岐阜県
美濃市
16
163,439
81,719
1,166
583
扶養義務者の所得税
額等を誤認していた
もの
(160)
静岡県
富士市
16
719,127
359,563
5,339
2,669
扶養義務者の所得税
額を誤認していたも
(161)
滋賀県
大津市
16
1,437,028
718,514
3,487
1,743
保育単価の適用を
誤っていたものなど
(162)
京都府
福知山市
16
819,872
409,936
3,746
1,873
(163)
舞鶴市
16
452,612
226,306
1,843
921
扶養義務者の所得税
額を誤認していたも
(164)
宇治市
16
898,258
449,129
1,077
538
扶養義務者の所得税
額等を誤認していた
もの
(165)
亀岡市
16
512,053
256,026
2,160
1,080
(166)
大阪府
大阪市
16
15,394,904
7,697,452
2,705
1,352
保育単価の適用を
誤っていたものなど
(167)
兵庫県
西宮市
16
978,320
489,160
9,046
4,523
扶養義務者の所得税
額等を誤認していた
ものなど
(168)
和歌山県
新宮市
16
287,298
143,649
1,770
885
(169)
那賀郡 岩出町 (注)
16
122,072
61,036
1,705
852
扶養義務者の所得税
額等を誤認していた
もの
(170)
島根県
松江市
16
1,513,511
756,755
5,267
2,633
扶養義務者の所得税
額を誤認していたも
(171)
出雲市
16
1,564,070
782,035
3,461
1,730
(172)
益田市
16
1,144,949
572,474
3,370
1,685
扶養義務者の所得税
額等を誤認していた
ものなど
(173)
岡山県
倉敷市
16
3,488,425
1,744,212
1,707
853
扶養義務者の所得税
額を誤認していたも
のなど
(174)
笠岡市
16
387,759
193,879
1,412
706
扶養義務者の所得税
額等を誤認していた
もの
(175)
山口県
下関市
16
1,595,745
797,872
1,364
682
保育単価の適用を
誤っていたものなど
(176)
宇部市
16
1,126,465
563,232
1,889
944
保育単価の適用を
誤っていたもの
(177)
防府市
16
971,245
485,622
1,356
678
保育単価の適用を
誤っていたものなど
(178)
熊毛郡
田布施町
16
129,045
64,522
1,121
560
扶養義務者の所得税
額等を誤認していた
もの
(179)
福岡県
直方市
16
636,303
318,151
1,728
864
扶養義務者の所得税
額を誤認していたも
のなど
(180)
熊本県
人吉市
16
807,811
403,905
2,058
1,029
(181)
大分県
別府市
16
972,141
486,070
2,104
1,052
保育単価の適用を
誤っていたものなど
(146)—(181) の計
50,102,409
25,051,204
100,400
50,200
 

 平成18年4月1日以降は岩出市