会計名及び科目
|
一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)児童扶養手当給付諸費
|
部局等の名称
|
北海道ほか2県
|
国庫負担の根拠
|
児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)
|
補助事業者(事業主体)
|
8市
|
国庫負担対象事業
|
児童扶養手当給付事業
|
国庫負担対象事業の概要
|
父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、その児童を監護する母等に児童扶養手当を支給するもの
|
支給すべきでなかった児童扶養手当の額
|
167,690,940円(平成15年度〜18年度)
|
不当と認める国庫負担金交付額
|
110,549,562円(平成15年度〜18年度)
|
児童扶養手当(以下「手当」という。)は、都道府県、市(特別区を含む。)及び福祉事務所を管理する町村が、児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)に基づき、児童(注1)
の父母が婚姻を解消したり、父が死亡したりなどしている場合に、これらの児童を監護する母又は養育する者(以下「受給資格者」という。)に対して支給するもので、国は、手当の支給に要する費用の4分の3(平成18年度からは3分の1)を負担している。
手当は、毎年3回、所定の額(児童1人の場合は月額で15年度42,000円、16、17両年度41,880円、18年度41,720円)を支給することとなっているが、受給資格者の前年の所得(注2)
が、次表(a)欄の「全部支給」の所得制限限度額(所得税法(昭和40年法律第33号)に規定する扶養親族等の数に応じて定められている額)以上で「一部支給」の所得制限限度額未満の場合は、受給資格者の所得に応じて手当を減額して支給し、「一部支給」の所得制限限度額以上の場合は、手当の全部を支給しないこととなっている。
また、受給資格者と生計を同じくする扶養義務者(注3)
等の前年の所得が、次表(b)欄の所得制限限度額以上の場合は、受給資格者の前年の所得が所得制限限度額未満であっても、手当の全部を支給しないこととなっている。
なお、同一の住居に居住している者は、原則として生計を同じくする者とすることになっている。
扶養親族等の数
|
受給資格者の所得制限限度額(a)
|
生計を同じくする扶養義務者等の所得制限限度額(b)
|
|
全部支給
|
一部支給
|
||
0人
|
190,000円
|
1,920,000円
|
2,360,000円
|
1人
|
570,000円
|
2,300,000円
|
2,740,000円
|
2人
|
950,000円
|
2,680,000円
|
3,120,000円
|
受給資格者が孤児等の養育者の場合は(b)欄の所得制限限度額が適用される。
|
|
扶養親族等が1人増えるごとに380,000円を加算する。
|
児童 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者又は20歳未満で所定の障害の状態にある者
|
|
前年の所得 地方税法(昭和25年法律第226号)に規定する総所得金額等の合計額から8万円を控除した額。なお、地方税法で規定する医療費控除等を受けている場合は、それらに相当する額を更に控除した額。また、申請が6月以前の場合は、前々年の所得とする。
|
|
扶養義務者 民法(明治29年法律第89号)第877条第1項に規定する直系血族及び兄弟姉妹
|
事業主体は、受給資格者から児童扶養手当認定請求書が提出された場合、受給資格者の婚姻関係や受給資格者と生計を同じくする扶養義務者等の有無、これらの者の所得等を調査確認して、支給要件を満たすと認定したときは、手当を支給することとなっている。
また、事業主体は、毎年8月に、手当の受給者から児童扶養手当現況届(以下「現況届」という。)を提出させ、受給資格や受給者等の前年の所得等について調査確認して、受給者等の前年の所得が所得制限限度額以上である場合には、支給制限等の手続を行うこととなっている。
北海道ほか18県の63事業主体において、15年度から18年度までの間における手当の支給の適否について、事業実績報告書等により検査した。
検査したところ、北海道ほか2県の8事業主体では、受給者である母が、所得制限限度額以上の所得がある扶養義務者と同一の住居に居住しているなどして生計を同じくしているのに、両者は生計を同じくしていないとして手当を支給していた。
したがって、支給すべきではなかった手当の額15年度15,378,140円、16年度54,886,960円、17年度60,901,110円、18年度36,524,730円、計167,690,940円に対する国庫負担金15年度11,533,604円、16年度41,165,219円、17年度45,675,832円、18年度12,174,907円、計110,549,562円が過大に交付されていて、不当と認められる。
上記の事態について、一例を示すと次のとおりである。
A市では、児童B及び児童Cを監護する母Dについて、平成14年12月に、手当の受給資格があると認定していた。そして、15、16、17各年に母Dから提出された現況届等によると、母Dの14、15、16各年の所得はいずれも所得制限限度額未満であるが、祖父E及び祖母Fと同一の住居に居住していることになっていた。そこで、A市では、祖父E及び祖母Fの所得等を調査したところ、祖父Eの各年の所得が所得制限限度額以上であることから、各年の所得が所得制限限度額未満である祖母Fのみを母Dと生計を同じくする扶養義務者とすることとして、15年8月以降、15年度188,740円、16年度563,040円、17年度562,560円、18年度374,400円、計1,688,740円の手当を支給していた。
しかし、母Dと生計を同じくする扶養義務者から祖父Eを除外する理由はなく、祖父Eの各年の所得は、いずれも所得制限限度額以上となっていることから、上記の手当の額計1,688,740円は全額支給の必要がなかった。このような事態が生じていたのは、事業主体において、所得制限限度額以上の所得がある扶養義務者の取扱いなど制度についての理解が十分でなかったこと、受給資格者と生計を同じくする扶養義務者の調査確認が十分でなかったこと、道県において適正な事務処理の執行についての指導が十分でなかったことなどによると認められる。
これを道県別・事業主体別に示すと次のとおりである。
道県名
|
事業主体
|
年度
|
児童扶養手当支給額
|
左に対する国庫負担金
|
支給すべきでなかった児童扶養手当の額
|
不当と認める国庫負担金
|
|
千円
|
千円
|
千円
|
千円
|
||||
(182)
|
北海道
|
小樽市
|
15〜18
|
53,846
|
34,758
|
40,809
|
26,553
|
(183)
|
同
|
室蘭市
|
15〜18
|
39,195
|
25,988
|
31,584
|
20,671
|
(184)
|
同
|
北見市
|
15〜18
|
41,225
|
26,564
|
26,733
|
17,229
|
(185)
|
同
|
岩見沢市
|
15〜18
|
36,714
|
24,045
|
32,658
|
21,699
|
(186)
|
同
|
深川市
|
15〜18
|
12,374
|
8,461
|
11,181
|
7,734
|
(187)
|
同
|
石狩市
|
15〜18
|
29,868
|
19,527
|
21,571
|
14,296
|
(188)
|
山口県
|
岩国市
|
15〜17
|
1,699
|
1,274
|
1,512
|
1,134
|
(189)
|
鹿児島県
|
出水市
|
16、17
|
1,639
|
1,229
|
1,639
|
1,229
|
(182)
—(189)
の計
|
216,564
|
141,851
|
167,690
|
110,549
|