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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 厚生労働省|
  • 平成16年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

国民健康保険組合の組合員の被保険者資格手続の適正化について


(2)国民健康保険組合の組合員の被保険者資格手続の適正化について

(平成16年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した改善の処置

(検査結果の概要)

 国民健康保険は、都道府県知事の認可を受けた国民健康保険組合(以下「国保組合」という。)が保険者となって行うことができることとなっている。
 国保組合は、同種の事業又は業務に従事する者を組合員として組織することとなっており、国保組合が行う国民健康保険の被保険者は、これらの組合員等となっている。
 一方、健康保険法(大正11年法律第70号)により、常時5人以上の従業員を使用する建設、医療等の事業を行う事業所又は法人の事業所に使用される者は健康保険の適用を受けることとなっており、これらの事業所(以下「適用事業所」という。)に常時使用される者は、健康保険の被保険者となることとされている。ただし、適用事業所に使用される者が社会保険事務所等(政府管掌健康保険の保険者)に政府管掌健康保険の適用を受けないこと(以下「適用除外」という。)とする申請を行い、承認を受けた場合には、国民健康保険の被保険者となることができることとされている。
 そして、国保組合が行う国民健康保険に対する国庫助成としては、療養給付費補助金がある。その交付額は、原則として、各国保組合の被保険者の療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る被保険者の一部負担金に相当する額を控除した額等の100分の32に相当する額とすることとなっているが、平成9年9月1日以降国保組合の組合員となった者のうち適用除外の承認を受けた者等に係る同補助金の補助率は、政府管掌健康保険との均衡を図る観点から、上記の100分の32ではなく、国が政府管掌健康保険に補助する率を勘案した100分の13.7(16年度からは100分の13)とすることとされている。
 そこで、国保組合の被保険者のなかに、本来健康保険の被保険者となるべき者で前記の適用除外の承認を受けないまま国保組合の被保険者となっている者はないかなどに着眼して検査したところ、本来健康保険に加入すべき者であるのに、適用除外の承認を受けないまま国保組合に加入していて、これに係る療養給付費補助金を国保組合の一般の被保険者に係る補助率(100分の32)により算定している事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、主として次のことによると認められた。
ア 都道府県、国保組合及び事業所において、本制度の趣旨を十分に理解していないこと
イ 被保険者台帳や保険医療機関台帳等により、事業所が適用事業所としての要件を満たしているか否かを確認できるのに、国保組合において、これらの活用が十分でなかったため、事業所の状況を把握していないこと
ウ 国保組合において、法令に違反した状態にある組合員に適正な手続を執るよう勧奨していないこと、また、勧奨してもこれに応じない組合員に対して、過怠金を課したり、除名したりする手続を執っていないこと
エ 厚生労働省における都道府県に対する指導及び都道府県における国保組合に対する指導が十分でないこと

(検査結果により要求した改善の処置)

 健康保険の適用除外の承認に係る手続が適切に行われるよう、次のとおり、厚生労働大臣に対し17年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
ア 都道府県、国保組合及び事業所に対して、本制度の周知徹底を図ること
イ 国保組合に対して、適用事業所としての要件を満たしているか否かの確認については、被保険者台帳や保険医療機関台帳等を活用して事業所の状況を把握するよう指導すること
ウ 適用事業所としての要件を満たしている事業所の事業主であるのに適用除外の申請をしていない事業主である組合員に対して、各国保組合において法令に則った手続を勧奨するよう指導すること、また、これに従わない場合は、組合の規約に基づいて過怠金を課したり、除名したりする手続を執るよう指導すること

2 当局が講じた改善の処置

 厚生労働省では、本院指摘の趣旨に沿い、17年12月に都道府県に対して通知を発するなどして、健康保険の適用除外の承認に係る手続が適切に行われるよう、次のような処置を講じた。
ア 都道府県に対し、本制度の周知を図るとともに、国保組合及び事業所への制度の周知徹底が的確に図られるよう指導した。
イ 国保組合に対して、被保険者台帳や保険医療機関台帳等により、適用事業所としての要件を満たしているか否かについて定期的な確認を行い、事業所の状況を把握するよう指導した。
ウ 国保組合に対して、適用事業所としての要件を満たしている事業所の事業主であるのに適用除外の申請をしていない事業主である組合員に、早急に適用除外の承認申請等の法令に則った手続を執ることを勧奨するよう指導した。また、これに従わない場合は、組合の規約に基づき除名等の所要の措置を講ずるよう指導した。