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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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  • 不当事項|
  • 役務

森林資源データの分析・利用に関する調査等に係る委託事業の実施に当たり、他の業務に従事していた日数等を含めて人件費を算出したり、事業に要した実支出額によることなく電子計算機の使用料を算出したりしていたため、委託費の支払額が過大となっているもの


(286)森林資源データの分析・利用に関する調査等に係る委託事業の実施に当たり、他の業務に従事していた日数等を含めて人件費を算出したり、事業に要した実支出額によることなく電子計算機の使用料を算出したりしていたため、委託費の支払額が過大となっているもの

会計名及び科目
一般会計 (組織)林野庁 (項)林業振興費
部局等の名称
林野庁
契約名
(1)
森林資源モニタリング調査データ地理解析事業(平成14、15両年度)
(2)
森林資源調査データ解析事業(平成16、17両年度)
契約の概要
森林資源に関するデータの収集、データ解析システムの開発等
契約の相手方
社団法人日本森林技術協会(平成16年6月10日以前は社団法人日本林業技術協会)
契約時期等
(1)
平成14年8月ほか 随意契約
(2)
平成16年5月ほか 随意契約
支払額
(1)
332,786,000円
(平成14、15両年度)
(2)
283,989,000円
(平成16、17両年度)
616,775,000円
 
過大になっている支払額
(1)
25,445,247円
(平成14、15両年度)
(2)
10,718,408円
(平成16、17両年度)
36,163,655円
 

1 委託事業の概要

 林野庁では、森林資源に関するデータの収集を行うとともに、森林の動態変化の解析のためのシステムを開発することにより、我が国の森林の基礎的データの充実を図ることなどを目的として、平成14年度から17年度までの各年度において、森林資源モニタリング調査データ地理解析事業等を社団法人日本森林技術協会(16年6月10日以前は「社団法人日本林業技術協会」。以下「協会」という。)に委託して行わせている(以下、委託した事業を「委託事業」という。)。
 委託事業に係る契約書では、林野庁は、委託事業が終了し、協会から事業の成果を記載した実績報告書の提出を受けたときは、当該事業が契約の内容に適合するものであるかについて検査を行い、適合すると認めたときは、契約で定められた限度額(以下「支払限度額」という。)と人件費、直接経費、諸経費の区分別に算出した額の合計額(以下「算出合計額」という。)とのいずれか低い額を委託費の額と確定し、協会に支払うこととされている。そして、人件費については、協会職員の委託事業に従事した日数等が記載された人件費明細書により確認された額、直接経費については、委託事業に要した実支出額、また、諸経費については、人件費に契約締結の際に定めた諸経費率30%を乗じて算出された額とされている。
 林野庁では、14年度から17年度まで、毎年度、協会から支払限度額を超える算出合計額で事業を実施したとする実績報告書の提出を受け、これに基づき支払限度額を委託費の額と確定しており、その支払額は計616,775,000円となっている。

2 検査の結果

 この委託事業について、実績報告書、会計帳簿等により検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1)人件費等について

 協会では、協会職員が委託業務に従事した日数を14年度から17年度までの合計で7,651日とし、これに基づいて人件費を計290,242,256円、諸経費を計87,072,675円と算出していた。
 しかし、前記の人件費明細書等を精査したところ、協会職員は委託事業に従事したとしている日に他の業務に従事するなどしており、委託業務に従事した実際の日数は計7,403日となっていた。
 このため、14年度から17年度までの人件費等を修正計算すると、人件費は計280,395,654円となり、前記の算出額との差額計9,846,602円が過大となっていた。また、諸経費は計84,118,694円となり、前記の算出額との差額計2,953,981円が過大となっていた。

(2)直接経費について

 協会では、委託事業のために使用した協会所有の電子計算機の使用料を直接経費に計上していた。そして、その使用料は、電子計算機の減価償却費に、電算機諸経費、電算機技術料、保守料等を加算した額を基に月額使用料を決定し、これに年間稼働月数を乗ずるなどして、14年度から17年度までの合計で56,790,000円となっていた。
 しかし、上記のうち電算機諸経費、電算機技術料については、事業に要した実支出額ではなく、減価償却費等に一定率を乗じて算出した額となっていた。
 このため、14年度から17年度までの電子計算機の使用料を修正計算すると、計31,261,800円となり、前記の算出額との差額計25,528,200円が過大となっていた。
 このような事態が生じていたのは、協会において委託事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったことなどから事実と相違する内容の実績報告を行っていたこと、これに対する林野庁の検査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、前記の適正な人件費等及び電子計算機の使用料により算出合計額を修正計算すると、14年度から17年度までの委託事業に係る適正な委託費の額は、次表のとおり、計580,611,345円となり、前記の支払額計616,775,000円との差額計36,163,655円が過大に支払われていて、不当と認められる。

(単位:円)

年度
算出合計額
支払限度額
(委託費支払額)
適正な算出合計額
(適正な委託費の額)
過大な支払額
14
176,392,787
175,899,000
163,214,203
12,684,797
15
157,090,085
156,887,000
144,126,550
12,760,450
16
150,285,803
149,733,000
144,019,000
5,714,000
17
135,171,453
134,256,000
129,251,592
5,004,408
618,940,128
616,775,000
580,611,345
36,163,655
 適正な算出合計額が支払限度額を下回っているため、その額が適正な委託費の額となる。