会計名及び科目
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一般会計 (組織)農林水産本省
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(項)農業生産基盤整備事業費
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(項)農村整備事業費
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部局等の名称
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農林水産本省、東北、関東、東海、近畿、中国四国、九州各農政局
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補助の根拠
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土地改良法(昭和24年法律第195号)、予算補助
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補助事業者
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秋田県ほか12県(うち事業主体、茨城県ほか8県)
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間接補助事業者
(事業主体)
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市5、町2、村1、計8事業主体
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補助事業
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農村総合整備、中山間地域総合整備、ほ場整備、畑地帯総合整備、農地還元資源利活用、山村振興等農林漁業特別対策、中山間地域農村活性化総合整備、農村総合整備モデル、農村基盤総合整備、農村活性化住環境整備、農村振興総合整備
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補助事業の概要
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農村総合整備事業等において、地域住民の生活環境の改善等を図るため、公共施設等を建設する施設用地の整備を行うもの
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事業効果が十分発現していない施設用地
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27件
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上記に係る事業費相当額
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2億3987万余円
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(平成2年度〜16年度)
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上記に対する国庫補助金相当額
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1億2383万円
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農林水産省では、土地改良法(昭和24年法律第195号)等に基づき、農村総合整備事業、中山間地域総合整備事業、ほ場整備事業等(注1)
(以下、これらの事業を「農村整備事業等」という。)の一環として、地域住民の生活環境の改善等を図るため、農業施設、住宅団地、社会福祉施設、保健医療施設等の公共施設等の建設の用に供する用地(以下、これを「施設用地」という。)の整備を国庫補助事業により多数実施している。
この施設用地の整備は、都道府県、市町村等が事業主体となって土地を整地し、フェンスを設置し、排水路、進入通路、駐車場等を施工するなどして造成するものである。
そして、施設用地を整備するに当たり事業主体では、農村整備事業等ごとにそれぞれ定められた実施要綱等に基づき、事業の円滑な推進を図るため、地域住民等の意向を十分に考慮し、関係行政機関等と密接な連携を保つなどして、施設用地の整備目的、内容及び事業費や施設用地に建設を予定する公共施設等(以下、この公共施設等を「計画施設」といい、これを建設する者を「建設主体」という。)などについて記載した事業計画を作成することとされている。
この事業計画の作成に当たっては、計画施設は、農村整備事業等の実施に併せて建設されることが確実なもので、建設主体が実施する他の事業等において計画施設の速やかな建設が予定されていることとされている。
そして、事業計画の作成の際、都道府県及び農林水産省は当該事業計画における計画施設が確実に建設されることを確認することとされており、さらに、事業実施の際には、事業主体は、建設主体が計画施設を確実に建設することを検証し、都道府県及び農林水産省は、計画施設が確実に建設されることを確認することとされている。
施設用地の整備については、長年にわたり多くの農村整備事業等において実施されており、その経費も多額に上っていることから、施設用地の整備に併せて計画施設が建設され、その効果が早期に発現されることが重要である。
そこで、有効性等の観点から、施設用地に事業計画どおり計画施設が建設されているかなどの点に着眼し、施設用地に係る事業計画と現地の状況とを対比するなどして検査した。
北海道ほか23府県(注2) 管内の248事業主体が平成元年度から17年度までの間に整備した施設用地計756件(用地面積計4,309,086m2 、事業費計184億1564万余円、国庫補助金等計98億2179万余円)を対象として検査した。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、農業用機械格納庫、Uターン者用住宅、特別養護老人ホーム等の計画施設を建設するために整備した施設用地において、当該計画施設の全部又は一部が施設用地整備後1年以上にわたり建設されておらず、施設用地が遊休していてその効果が十分に発現していないものが、次表のとおり、秋田県ほか12県(注3)
において、27件(遊休面積計88,945m2
、これに係る事業費相当額計2億3987万余円、国庫補助金相当額計1億2383万余円)見受けられた。
遊休期間
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件数
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遊休面積(m2
)
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左に係る事業費相当額
(千円)
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左のうち国庫補助金相当額
(千円)
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10年以上
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9
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39,626
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83,735
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44,466
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5年以上10年未満
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10
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30,833
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97,197
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49,165
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1年以上5年未満
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8
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18,486
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58,945
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30,202
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計
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27
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88,945
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239,878
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123,834
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これらの施設用地の中には、10年以上の長期にわたって遊休しているものが9件見受けられた。また10年未満であっても、計画施設の建設費が計画どおりに確保できなかったり、計画施設の建設が遅れている間に社会・経済情勢等が変化して当初計画していた計画施設の需要が低くなったりなどしていて、建設のめどが立たないものも見受けられた。
A県は、中山間地域総合整備事業の一環として、平成10、11両年度に、県内のB村において、同村が建設を予定している保健福祉センター、特別養護老人ホーム及び診療所のための施設用地19,232m2
を事業費2600万余円(国庫補助金1430万余円)で整備していた。
そして、建設主体である同村は、12年度に当該施設用地に保健福祉センターを建設したが、特別養護老人ホーム及び診療所については、建設費が計画どおりに確保できなかったことから、しばらく建設を見送っており、その後、周辺市町村の同種施設の整備状況も考慮するなどした結果、両施設を建設しないこととした。
このように、事業主体において、事業計画時及び実施時における建設主体の建設資金計画の検証が十分でなかったことなどにより、整備した施設用地の一部(面積7,800m2
、事業費相当額1054万余円、国庫補助金相当額580万余円)が遊休していた。
以上のように、事業主体において、施設用地を整備したにもかかわらず、事業計画で予定していた計画施設が施設用地に建設されていないなどしていて施設用地が遊休している事態は、農村整備事業等により整備した施設用地の効果が十分に発現しておらず、改善を図る必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、施設用地整備後の社会・経済情勢等の変化にもよるが、次のことなどによると認められた。
ア 事業主体である県及び市町村において、事業計画の作成に当たり、計画施設は農村整備事業等の実施に併せて建設することが確実なものとされているのに、その検証が十分でなかったこと、また、事業実施時における建設主体に対する計画施設の建設についての検証が十分でなかったこと
イ 県及び農林水産省において、事業計画時及び事業実施時における計画施設の建設が確実であるとの確認が十分でなかったこと、また、施設用地整備後の利用状況の把握が十分でなく事業主体に対する指導が十分でなかったこと
上記についての本院の指摘に基づき、農林水産省では、18年9月、各地方農政局等に対して通知を発し、前記の27件については国庫補助金の返還も含めた是正措置を図るとともに、今後施設用地の整備を適切に実施するよう、次のような処置を講じた。
ア 都道府県及び市町村等の事業主体は、事業計画時のほか事業実施時にも計画施設が確実に建設されることを十分に検証する。また、都道府県及び農林水産省は、事業計画時及び事業実施時に事業主体と建設主体との調整・連携状況なども含めて計画施設の建設が確実であることの確認を行うとともに、事業計画を適切に作成するなどするよう事業主体に対して指導する。
イ 事業主体は、計画施設の建設が予定どおり進まなかったり、変更する必要が生じたりした場合には、速やかに都道府県に報告を行う。これに対して都道府県は指導・助言を行い、その結果を農林水産省に報告する。
ウ 事業主体は、元年度以降に整備したすべての施設用地及び今後整備する施設用地について、施設用地の利用に関する調書等を作成して都道府県に報告し、都道府県は改善が必要と認められる場合には事業主体を指導し、改善が困難と認められる場合には国庫補助金の返還も含めた措置等を検討する。
農村総合整備事業、中山間地域総合整備事業、ほ場整備事業等 農村総合整備事業、中山間地域総合整備事業、ほ場整備事業、畑地帯総合整備事業、経営体育成基盤整備事業、農地還元資源利活用事業、農地再編関連整備事業、土地改良総合整備事業、地域開発関連総合整備事業、地域開発関連基盤整備事業、新山村振興農林漁業対策事業、山村振興等農林漁業特別対策事業、新山村振興等農林漁業特別対策事業、中山間地域農村活性化総合整備事業、農村総合整備モデル事業、農村基盤総合整備事業、集落環境整備事業、農村活性化住環境整備事業、農地環境整備事業、農村振興総合整備事業、集落地域整備事業、田園空間整備事業、集落地域整備統合補助事業、集落基盤整備事業、美しいむらづくり総合整備事業、むらづくり交付金、元気な地域づくり交付金、都市近郊交流基盤整備事業、農村振興都市近郊交流基盤整備事業、都市農業支援総合対策事業
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北海道ほか23府県 北海道、京都府、秋田、山形、福島、茨城、富山、山梨、長野、静岡、三重、兵庫、奈良、鳥取、島根、広島、山口、香川、愛媛、福岡、佐賀、大分、宮崎、沖縄各県
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秋田県ほか12県 秋田、茨城、長野、三重、兵庫、奈良、島根、広島、山口、香川、福岡、佐賀、宮崎各県
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