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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 農林水産省|
  • 平成16年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

沖縄の復帰に伴う国有林野に係る国有財産台帳の整備について


沖縄の復帰に伴う国有林野に係る国有財産台帳の整備について

(平成16年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 林野庁では、国有財産である国有林野を適正に管理及び処分するため、各森林管理局において、行政財産及び普通財産の分類ごとに国有財産台帳を備えるとともに、国有林野を地番ごとに整理することによって国有財産台帳の内訳簿としての機能を持つ国有林野地籍台帳を備えている。
 沖縄(沖縄県の区域をいう。以下同じ。)の国有財産については、「沖縄の復帰に伴う国有財産の国有財産台帳への新規登録及び国有財産台帳価格の改定等の取扱いについて」(昭和47年蔵理第2721号大蔵省理財局長通達)等に基づき、各省各庁の長において、昭和47年度中を目途として現況に基づき国有財産台帳を整備するとともに国有財産の数量及び価格を記載した調書を作成し、大蔵省理財局長に提出することとされた。しかし、戦前の上記の両台帳に登録されていた地番や面積と戦後作成された土地台帳及び公図の地番や面積が異なっており、期限内に戦前の地番の位置の特定や面積の確定を行い現況に基づいて両台帳を整備することが困難であったなどのため、現況に基づく国有財産台帳の整備が行われなかった。
 そこで、沖縄の国有林野について検査したところ、沖縄が復帰してから現在に至るまで長期にわたり沖縄の普通財産(国有財産台帳の面積約1346万m )及び行政財産(国有財産台帳の面積約3億6492万m のうちの約45万m )に係る国有財産台帳が適正に整備されておらず、このため、同台帳を基に作成される国有財産増減及び現在額報告書等が現況を正しく反映したものとなっていなかったり、普通財産について、有効活用を十分に図ることができないこととなっていたり、適正な額による国有資産所在市町村交付金の交付ができないこととなっていたり、誤って国以外の者から第三者に売り払われているものがあったりなどしている事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められた。
ア 普通財産については、林野庁において、56年以降大蔵省(平成13年1月6日以降は財務省)理財局及び沖縄開発庁(13年1月6日以降は内閣府)沖縄総合事務局との間で国有財産台帳の整備方針について協議を行ってきたものの、長期にわたり、実態調査における調査事項や調査結果に基づき作成すべき関係資料の記載事項を明確にするなどの具体的な国有財産台帳の整備方針が定められなかったこと
イ 行政財産については、熊本営林局(11年3月1日以降は九州森林管理局)において、測量及び境界確定を行って面積を確定したものの、国有財産台帳の整備に当たり、普通財産として整理すべき面積の一部を行政財産の面積として誤って計上したこと

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 林野庁において、沖縄の特殊性を考慮しつつ関係機関と十分調整して、国有財産台帳を正当な権利関係や現況の面積等に基づく適正なものとするよう、次のとおり、林野庁長官に対し17年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。
ア 普通財産については、財務省所管の普通財産に係る処理方法との整合性を図った上で、実態調査における調査事項及び作成すべき関係資料の記載事項を具体的に定めた国有財産台帳の整備方針を策定し、これに基づく実態調査を促進して、同台帳の整備を図ること
イ 行政財産については、国有財産台帳を訂正するなど、同台帳の所要の整備を速やかに行うこと

2 当局が講じた是正改善の処置

 林野庁では、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じた。
ア 普通財産については、実態調査における調査事項及び作成すべき関係資料の記載事項を具体的に定めた国有財産台帳の整備方針を17年10月に策定し、これに基づき市町村の区域ごとに順次実態調査に着手し国有財産台帳の整備を開始した。そして、19年度中を目途に、すべての区域について同台帳の整備が完了することとなった。
イ 行政財産については、18年3月に国有財産台帳を訂正するなど、同台帳の所要の整備を行った。