ページトップ
  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 役務

原子力発電所緊急時連絡網システムに係る賃貸借、保守等の契約において、長期間にわたり履行状況を確認しないまま契約に基づく保守点検等が行われたものとして契約金額を支払っていて適切を欠いているもの


(303)原子力発電所緊急時連絡網システムに係る賃貸借、保守等の契約において、長期間にわたり履行状況を確認しないまま契約に基づく保守点検等が行われたものとして契約金額を支払っていて適切を欠いているもの

会計名及び科目
電源開発促進対策特別会計
(電源立地勘定) (項)事務取扱費
部局等の名称
原子力安全・保安院(平成13年1月5日以前は資源エネルギー庁)
契約名
(1)
原子力発電所緊急時連絡網システム装置賃貸借
(2)
原子力発電所緊急時連絡網システム装置保守請負
(3)
原子力発電所緊急時連絡網システム装置改修
契約の概要
原子力安全・保安院と各保安検査官事務室等との間を結ぶ電話、ファックス、同報装置等の原子力発電所の防災に係るシステムに使用する機器の賃貸借及びこれらの保守点検並びに蓄電池の交換
契約の相手方
(1)〜(3)株式会社日立製作所
契約
(1)
平成16年4月、17年4月
随意契約
(2)
平成10年4月〜17年4月
随意契約
(3)
平成17年2月
随意契約
支払額
(1)
13,419,350円
(平成16、17両年度)
(2)
87,397,275円
(平成10年度〜17年度)
(3)
1,220,100円
(平成16年度)
不当と認める支払額
(1)
855,561円
(平成16、17両年度)
(2)
4,074,604円
(平成10年度〜17年度)
(3)
1,220,100円
(平成16年度)
6,150,265円
 

1 契約の概要

 原子力安全・保安院(平成13年1月5日以前は資源エネルギー庁、以下「保安院」という。)では、「原子力発電所等に係る防災対策上当面とるべき措置について」(昭和54年7月12日中央防災会議決定)を受け、原子力発電所と国の機関及び地方公共団体との間の緊急時連絡体制を常時整備し、維持することを目的として、原子力発電所緊急時連絡網システム(以下「システム」という。)を設計・構築し、その運用を行っている。システムは、保安院と原子力発電所内の保安検査官事務室(18年3月現在17箇所)、緊急事態応急対策拠点施設(注1) 内の保安検査官事務所(18年3月現在17箇所)及び原子力発電所が立地しているなどの道府県との間を専用回線で接続し、ファックス及び電話により情報の伝達や相互の連絡を行うものであり、原子力発電所の事故・トラブル等の緊急事態の際には、システムに装備されている同報装置を通じ、保安院から各保安検査官事務室等に対して同時刻に一斉にファックスにより上記情報の伝達等を行うこととしている(参考図参照)
 保安院では、システムの構築に必要となる電話、ファックス、同報装置、交換機等の機器について、株式会社日立製作所(以下「会社」という。)と賃貸借契約(16、17両年度の契約金額計14,028,636円)を締結(以下、この契約を「機器等賃貸借契約」という。)するとともに、システムの保守点検について、会社と請負契約(10年度から17年度までの契約金額計88,288,200円)を締結(以下、この契約を「保守点検契約」という。)し、これを行わせている。
 機器等賃貸借契約によれば、会社は、契約期間中、装置に故障が生じた場合には、誠意をもって善処し、速やかにこれを修理しなければならないこととされており、また、保守点検契約によれば、会社は、上記機器の機能の状態を点検し、その点検結果を報告書に記載し提出しなければならないこととされている。
 また、保安院では、16年度に、泊保安検査官事務室ほか6保安検査官事務室(注2) (以下「7保安検査官事務室」という。)において、停電時にもシステムを稼動できるようにするために交換機に取り付けられている蓄電池の容量が著しく不足しているなどの状況となっていたことから、これらの蓄電池の交換作業を1,220,100円で会社に請け負わせている。

2 検査の結果

 本件契約について、契約内容、機器の状況、支払の状況等を検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
ア 保安院では、16年4月から18年2月までの間、機器等賃貸借契約がすべて履行されたとして、この間に係る契約金額13,419,350円全額を会社に支払っていた。
 しかし、機器等賃貸借契約により賃借している機器のうち、同報装置は、16年6月に不具合が発生し使用できない状況となったため一時的に使用を停止することとしたが、その後も、18年3月の会計実地検査時まで会社によって修理されないまま、放置された状態となっていた。
イ 保安院では、10年4月から18年2月までの間、保守点検契約がすべて履行されたとして、この間に係る契約金額87,397,275円全額を会社に支払っていた。
 しかし、会社は、同報装置に上記のとおり16年6月に不具合が発生してから18年2月まで、同報装置について保守点検を行っておらず、点検結果を記録した報告書も保安院に提出していなかった。また、会社は、福島第一及び福島第二保安検査官事務室に設置されているファックスについては10年12月から18年2月までの間、川内保安検査官事務室に設置されているファックスについては10年6月から18年2月までの間、志賀保安検査官事務室に設置されているファックスについては10年4月から18年2月までの間、いずれも保守点検を行っておらず、点検結果を記録した報告書も提出していなかった。
ウ 保安院では、16年度に、7保安検査官事務室の蓄電池の交換作業がすべて履行されたとして、同作業に係る契約金額を会社に支払っていた。
 しかし、実際には、すべての箇所で蓄電池の交換が実施されていなかった。
 上記のように、同報装置が修理されずに放置され機能が回復されないままとなっていたり、ファックスの保守点検が長期間にわたって行われていなかったり、蓄電池の交換作業が実施されていなかったりしているのに、これらを確認しないままそれぞれの契約に係る契約金額を全額支払っていたのは、適切とは認められない。また、このような事態が長期間継続していたことは、システムの機能が長期間にわたり発現せず、システムを構築した目的が達成されていないもので、原子力発電所の防災対策の重要性にかんがみても、適切とは認められない。
 このような事態が生じていたのは、保安院において、契約履行状況の確認など基本的な会計経理を適切に行う認識が著しく欠けていたことなどによると認められる。
 したがって、各契約が履行されたとして支払っていた前記の同報装置に係る賃貸借料855,561円、同報装置及びファックスに係る保守点検料4,074,604円並びに蓄電池の交換作業料1,220,100円、計6,150,265円が不当と認められる。

 緊急事態応急対策拠点施設 原子力緊急事態において国、地方公共団体等が一体となった応急対策を実施するための共同の対策本部を設置する場所となる施設(通常、オフサイトセンターと呼称している。)
 泊保安検査官事務室ほか6保安検査官事務室 泊、女川、東海、浜岡、高浜、志賀、伊方各保安検査官事務室

(参考図)

原子力発電所緊急時連絡網システム概念図

原子力発電所緊急時連絡網システム概念図

 …は緊急時の同時刻一斉連絡の際使用