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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • その他

航空機に対する地上作業を監視する業務に係る分担金の支払に当たり、分担金の対象とならない監視時間を含めて算定していたため、支払額が過大となっているもの


(341)航空機に対する地上作業を監視する業務に係る分担金の支払に当たり、分担金の対象とならない監視時間を含めて算定していたため、支払額が過大となっているもの 

会計名及び科目
空港整備特別会計 (項)空港等維持運営費
部局等の名称
東京航空局
契約名
国が管理する空港(共用空港を含む)における航空機への地上作業監視業務の費用分担
契約の概要
航空機に対する地上作業を監視する業務を警備会社に委託する場合に、その費用の一部を分担するもの
契約の相手方
株式会社日本航空ジャパン(平成18年10月1日以降は株式会社日本航空インターナショナル)
契約
平成17年4月 随意契約(単価契約)
支払額
79,016,565円
(平成17年度)
過大になっている支払額
14,012,584円
(平成17年度)

1 分担金の概要

 東京航空局(以下「東京局」という。)では、国が管理する空港等において、航空会社が国内旅客便を対象としてスポット(駐機場)に駐機する航空機に対する地上作業(注) を監視する業務(以下「監視業務」という。)を警備会社に委託する場合に、その費用の一部を分担している。
 この監視業務は、平成13年9月の米国同時多発テロ事件発生後、国土交通省が、ハイジャック防止等のため全国の空港の警戒体制を最高水準に強化したことに伴い航空会社に対して実施するように指示したもので、その目的は航空機に対する地上作業の輻輳(ふくそう)に紛れて持込禁止品が旅客等に手渡され、あるいは機内に搬入されることを防止することにある。
 そして、監視の対象は、国土交通省が定めた「地上作業監視業務に関する指針」(平成16年国空総第1178号。以下「指針」という。)によると、出発便及び到着便の地上作業とされているが、上記の目的から、到着便については、到着の地上作業に引き続き出発の地上作業が行われる場合に限るとされている。
 この監視業務に係る費用の分担は、東京局と航空会社との間の費用分担契約によっており、分担金の額は、監視業務1時間当たりの単価に監視時間数を乗じた額の2分の1の額となっている。そして、費用分担契約が、指針で定めた監視業務を実施する場合の費用分担に係るものであることから、到着便に対して引き続いて出発の地上作業が行われない場合、航空会社がこの到着便に対して監視業務を実施したとしても、これに係る時間数は、費用分担契約上の監視時間数に含めないこととなっている。
 東京局では、航空会社から監視業務の実施状況(警備会社による監視時間数、支払金額等)を集計した業務報告書の提出を受け、これを審査、確認した後、請求に基づき分担金を支払うこととなっている。

 地上作業 駐機場で行われる旅客の乗降、受託手荷物・貨物積込み(積降ろし)、給油、清掃、点検・整備などの作業


2 検査の結果

 17年度に株式会社日本航空ジャパン(18年10月1日以降は株式会社日本航空インターナショナル。以下「JAL」という。)が東京国際、新千歳両空港において実施した監視業務に係る分担金79,016,565円(東京国際空港分57,027,600円、新千歳空港分21,988,965円)について、業務報告書、国内旅客便の運航状況に関する資料等により検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 すなわち、各スポットにおいて、最終出発便が出発し、その後に到着する便に対して出発の地上作業が行われていないのに、JALでは、警備会社との委託契約により、最終出発便の出発後も一定の時刻まで監視を実施し、これに係る時間数を、費用分担契約上の監視時間数に含めて分担金を請求していた。そして、東京局では、この請求による誤った監視時間数に基づき分担金を支払っており、その支払額が過大となっていた。このような事態が生じていたのは、JALにおいて、指針に対する理解が十分でなかったことにもよるが、東京局において、JALから提出される業務報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、東京国際、新千歳両空港について、適正な分担金を算定すると、東京国際空港分で45,889,391円、新千歳空港分で19,114,590円となり、東京国際空港分で11,138,209円、新千歳空港分で2,874,375円、計14,012,584円が過大に支払われていて、不当と認められる。