会計名及び科目
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一般会計 (組織)国土交通本省
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(項)国土交通本省
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自動車損害賠償保障事業特別会計
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(自動車事故対策勘定)
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(項)自動車事故対策費
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平成13年度以前は、
自動車損害賠償責任再保険特別会計
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(保障勘定)
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(項)保障費
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部局等の名称
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国土交通本省
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補助の根拠
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予算補助
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自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)
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事業主体
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仙台市ほか4市
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補助事業
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(1)
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公共交通移動円滑化設備整備
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(2)
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低公害車普及促進対策
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(3)
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自動車事故対策
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補助事業の概要
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以下の(1)〜(3)を目的として、バス事業者等がノンステップバス、CNGバス等を導入する場合の経費の一部を補助するもの
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(1)
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高齢者、障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性・安全性の向上
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(2)
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大都市部等の大気汚染問題の解決
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(3)
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都市交通の安全・円滑化に資するバス利用の促進
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上記に対する国庫補助金交付額
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(1)
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4億9486万余円
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(平成14年度〜16年度)
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(2)
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3億3800万余円
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(平成14年度〜16年度)
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(3)
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3億9528万余円
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(平成13年度〜16年度)
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計
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12億2815万余円
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過大に交付された国庫補助金交付額
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(1)
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7070万円
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(平成14年度〜16年度)
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(2)
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1889万円
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(平成14年度〜16年度)
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(3)
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3397万円
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(平成13年度〜16年度)
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計
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1億2358万円
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国土交通省では、乗合バス事業者等(以下「バス事業者等」という。)がノンステップバス(注1)
、CNGバス(注2)
等を導入する場合の経費の一部を直接補助するため、次の各国庫補助金を交付している。
ア 「公共交通移動円滑化設備整備費補助金交付要綱」(平成12年運計第153号)に基づく、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性及び安全性の向上の促進を図ることを目的とした、公共交通移動円滑化設備整備費補助金(以下「移動円滑化補助金」という。)
イ 「低公害車普及促進対策費補助金交付要綱」(平成14年国自総第10068号、国自貨第135号、国自環第336号)等に基づく、窒素酸化物、二酸化炭素等の排出削減を図り、もって地球環境及び地域環境の保全を図ることを目的とした、低公害車普及促進対策費補助金(以下「低公害車補助金」という。)
ウ 「自動車事故対策費補助金交付要綱」(昭和55年自保第151号)に基づく、都市交通の安全・円滑化に資するバス利用の促進を図ることを目的とした、自動車事故対策費補助金(以下「事故対策補助金」という。)
そして、ノンステップバス、CNGバス等の導入に係る平成13年度以降の移動円滑化補助金、低公害車補助金及び事故対策補助金(以下、これらの国庫補助金を総称して「移動円滑化補助金等」という。)の交付額は表1のとおりとなっている。
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移動円滑化補助金(A)
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低公害車補助金(B)
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事故対策補助金(C)
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合計(A)+(B)+(C)
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台数
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国庫補助金額
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台数
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国庫補助金額
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台数
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国庫補助金額
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台数
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国庫補助金額
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13年度
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483
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764,290
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\
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\
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291
|
824,272
|
774
|
1,588,562
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14年度
|
742
|
1,088,844
|
115
|
622,005
|
179
|
764,560
|
1,036
|
2,475,410
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15年度
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832
|
1,356,212
|
82
|
464,298
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127
|
744,873
|
1,041
|
2,565,383
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16年度
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861
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1,464,980
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107
|
535,773
|
104
|
572,160
|
1,072
|
2,572,913
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計
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2,918
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4,674,327
|
304
|
1,622,076
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701
|
2,905,866
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3,923
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9,202,270
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(注) | 移動円滑化補助金は、平成13年度については運輸施設整備事業団が補助事業者であり、また、低公害車補助金については、14年度から本件補助制度が開始されている。
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(注1) | ノンステップバス 地上面からバスの床面までの高さがおおむね30cm以下であるなどのバス
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(注2) | CNG(Compressed Natural Gas)バス 内燃機関の燃料として圧縮天然ガスを用いるバス
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国土交通省では、移動円滑化補助金等の交付手続については、地方運輸局を通じて行っている。そして、バス事業者等が導入するノンステップバス、CNGバス等に係る移動円滑化補助金等の交付額は、車両本体等の購入価格を補助対象経費として、
〔1〕 補助対象経費に4分の1を乗じて得た額、
〔2〕 補助対象経費と通常車両価格(事故対策補助金については、バス車両査定基準額。以下、これらを総称して「通常車両価格」という。)との差額に2分の1を乗じて得た額
等を比較して最も少ない金額以内としている。
この通常車両価格は、移動円滑化補助金、低公害車補助金及び事故対策補助金の別に定められている運用方針において、車両の長さを基準として、7m未満1110万円、7m以上9m未満1260万円、9m以上1670万円などと規定されている。そして、各運用方針において明示されていないが、これらの価格には消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)額は含まれていない。
消費税法(昭和63年法律第108号)等によれば、消費税は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生じるが、生産、流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除(以下、この控除を「仕入税額控除」といい、控除する額を「消費税仕入控除税額」という。)する仕組みが採られている。
そして、補助事業の事業主体が補助対象の設備等を取得することも課税仕入れに該当し、当該課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除の対象とすることができる。ただし、地方公共団体が特別会計を設けて運営する事業者の場合については、補助金収入など売上以外の収入(以下「特定収入」という。)の額を売上高と特定収入の合計額で除した割合(以下「特定収入割合」という。)が100分の5を超える場合、課税仕入れに係る消費税額から特定収入により賄われる消費税額を控除した残額を消費税仕入控除税額とすることとされている。
移動円滑化補助金等に係る消費税額については、各交付要綱によると仕入税額控除を行う場合における仕入税額控除の対象となる消費税額については補助対象としないこととなっている。そして、その実際の取扱いについては、原則として補助対象経費には消費税額を含めないこととし、消費税額を仕入税額控除できない場合についてのみ補助対象経費に消費税額を含めることとしている。また、このような場合には、消費税額を仕入税額控除できない理由書を申請書に添付することとしている。
このように、原則として補助対象経費に消費税額を含めない取扱いとしているのは、移動円滑化補助金等に係る消費税額を仕入税額控除できる民間バス事業者が事業主体の大半を占めるためである。
移動円滑化補助金等の交付を受けるバス事業者等のうち、地方公共団体が特別会計を設けて運営する公営バス事業者については、特定収入割合が100分の5を超えることがあるため、移動円滑化補助金等に係る消費税額を仕入税額控除できない場合もあり、この場合は例外的に補助対象経費に消費税額を含める取扱いとしている。そこで、合規性等の観点から公営バス事業者を対象に、実績報告書、確定申告書等により、移動円滑化補助金等の算定が適切に行われているかに着眼して検査した。
東北運輸局ほか5運輸局(注3) 管内に所在する東京都交通局ほか11市交通局(注4) に交付された14年度から16年度までの間の移動円滑化補助金12億6084万余円及び低公害車補助金5億2830万余円、13年度から16年度までの間の事故対策補助金4億1165万余円を対象として検査した。
(注3) | 東北運輸局ほか5運輸局 東北、関東、中部、近畿、四国、九州各運輸局
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(注4) | 東京都交通局ほか11市交通局 東京都交通局、仙台、横浜、川崎、名古屋、京都、大阪、神戸、尼崎、姫路、徳島、熊本各市交通局
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検査したところ、仙台市交通局ほか4市交通局(注5)
では、当該特別会計に係る13年度から16年度までの間の各年度における特定収入割合は100分の5を超え特定収入により賄われる消費税額は仕入税額控除ができないと見込まれるとして、それぞれ、その旨を説明した理由書を添付して、補助対象経費に消費税額を含めて申請し、表2のとおり移動円滑化補助金等計12億2815万余円の交付を受けていた。そして、上記の5公営バス事業者は、移動円滑化補助金等の前記〔2〕の算定に当たり、消費税額を含めた補助対象経費から各運用方針に示された通常車両価格をそのまま控除し2分の1を乗じていた。
しかし、通常車両価格は、前記のとおり各運用方針に明示されてはいないものの消費税額が含まれていないものであり、前記〔2〕の算定において、上記のようにこの通常車両価格をそのまま消費税額を含めた補助対象経費から控除すると、通常車両価格に含まれていない消費税額に2分の1を乗じて得た額が過大となる。そして、上記の5公営バス事業者は、このような方法によって前記〔2〕を算定するなどして移動円滑化補助金等の実績報告を行っていたため補助金が過大に交付されていた。
したがって、移動円滑化補助金等の算定において、補助対象経費に消費税額を含めた場合には、通常車両価格にも消費税額を含めた適切な算定方法とするよう改善の必要があると認められた。
仙台市交通局ほか4市交通局に交付された移動円滑化補助金等について、通常車両価格に消費税額を含めた上で適正な交付額を算定すると、表2のとおり、移動円滑化補助金等は、計11億0457万余円となり、前記の交付額計12億2815万余円との差額計1億2358万余円が過大に交付されていると認められた。
表2 過大交付額
(単位:千円)
補助金名
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年度
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交付額(A)
|
適正な交付額(B)
|
過大交付額(A)-(B)
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移動円滑化補助金
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14
|
92,361
|
72,943
|
19,417
|
15
|
249,504
|
213,109
|
36,395
|
|
16
|
153,000
|
138,103
|
14,896
|
|
計
|
494,865
|
424,155
|
70,709
|
|
低公害車補助金
|
14
|
168,146
|
159,128
|
9,017
|
15
|
88,936
|
83,926
|
5,010
|
|
16
|
80,923
|
76,055
|
4,868
|
|
計
|
338,005
|
319,109
|
18,895
|
|
事故対策補助金
|
13
|
135,366
|
118,656
|
16,710
|
14
|
124,800
|
113,613
|
11,187
|
|
15
|
53,953
|
51,713
|
2,240
|
|
16
|
81,161
|
77,321
|
3,840
|
|
計
|
395,283
|
361,305
|
33,977
|
|
\
|
合計
|
1,228,153
|
1,104,571
|
123,582
|
このような事態が生じていたのは、上記の5公営バス事業者において、移動円滑化補助金等を算定する際に用いる通常車両価格に消費税額が含まれていないことについての認識が十分でなかったことにもよるが、次のことによると認められた。
ア 国土交通省において、移動円滑化補助金等の交付を受けるのは、消費税額を仕入税額控除ができる民間バス事業者が大半を占めることから、各交付要綱に、仕入税額控除ができない場合の取扱いについて明示していなかったこと、及び各運用方針に、通常車両価格に消費税額が含まれていないことを明示していなかったこと
イ 国土交通省において、移動円滑化補助金等の交付申請の窓口である地方運輸局及び交付申請者である公営バス事業者に対して、補助対象経費に消費税額を含める場合の取扱いについての周知徹底が十分でなかったこと
ウ 国土交通省及び地方運輸局において、補助金交付申請書及び実績報告書の審査が十分でなかったこと
上記についての本院の指摘に基づき、国土交通省では、移動円滑化補助金等の算定に当たり、公営バス事業者が補助対象経費に消費税額を含めた場合の通常車両価格の消費税額の取扱いを適切に行うよう、次のような処置を講じた。
ア 18年4月に各運用方針において、通常車両価格に消費税額が含まれていないことを明示し、また、各交付要綱において、仕入税額控除ができない場合の移動円滑化補助金等の算定方法を明示することとした。
イ 18年9月に補助対象経費に消費税額を含めた場合の通常車両価格の取扱いに関する通知を地方運輸局に発し、同通知の周知徹底を図った。
ウ 上記の通知において、仕入税額控除ができない場合などの計算方法を例示するなどして具体的な審査方法を示した。