科目
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交通通信費
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部局等の名称
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日本銀行本店及び釧路支店ほか21支店
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旅費の概要
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本支店間の事務打合せ、職員の研修等を行うための旅費
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航空機を利用した旅費の合計額
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9億4717万余円
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(平成11年度〜17年度(18年1月))
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上記のうち支給が過大となっていた旅費の合計額
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7372万円
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日本銀行では、職員が国内において本店及び各支店間の事務打合せ、職員の研修等を行うために出張する場合等において、内国旅費規則(昭和28年文総第670号)及び内国旅費規則取扱要項(昭和28年文総第671号)等(以下「内国旅費規則等」という。)に基づき、旅費として航空賃、鉄道賃等の交通費、旅行雑費、宿泊料等を支給することとしており、平成11年度から17年度(18年1月末まで。以下同じ。)までの間に計27億0585万余円を支給している。
このうち航空賃については、内国旅費規則等によると、実際に利用する経路に従い、実費を支給することとなっている。そして、航空機を利用する場合において、出張者が往復割引運賃で搭乗する場合は、これにより計算した旅費を支給することとなっているが、往復割引運賃に比べて更に割安な運賃で搭乗する場合は、当該運賃で計算した旅費を支給することとなっている。
国内線の航空賃には、普通運賃と割引運賃があり、割引運賃には同一区間を往復することを条件とした往復割引運賃のほか、利用する一定期間前までに航空券を予約することなどを条件とした事前購入運賃、航空賃と宿泊代をセットにしたパック料金で販売される運賃等各種の割引運賃(以下、往復割引運賃以外のこれらの割引運賃を「割安航空賃」という。)がある。
内国旅費規則等によると、本店及び支店(以下「各店」という。)の職員が航空機を利用して出張する場合、出張者は出張期間、利用経路、金額等が記載された所定の出張旅費明細書を各店の旅費支給担当者に提出し、旅費支給担当者は内容を審査の上、原則として出張前に旅費を支給することとされている。この場合、本店においては、出張者は、指定旅行業者から出張者の申請に基づく航空券の現物支給を受け、その航空賃を控除した旅費の支給を受けている。また、支店においては、出張者は、申請した航空賃を含めた旅費の支給を受けている。そして、出張者は、日程変更等により支給された旅費に過不足が生じたときは、出張後精算することとされている。
近年の国内線の航空賃制度の自由化に伴い、同一区間の同一日の航空券において複数の運賃が存在する状況にかんがみ、合規性等の観点から、日本銀行における航空賃に係る旅費の支給及び精算が内国旅費規則等に従い適正に行われているかに着眼して検査した。
11年度から17年度までの各店における国内出張のうち、航空機を利用した出張がある本店及び釧路支店ほか25支店(注1) における、航空機を利用した出張10,333件、出張者2,185人、これに係る旅費合計9億4717万余円を対象として、出張者から実際の航空賃等を確認したり、旅費支給担当者から旅費の支給及び審査の状況を聴取したり、各店を通じて旅行業者等に航空券等の販売価額等を問い合わせたりするなどして検査した。
検査したところ、日本銀行では、内国旅費規則等において、航空賃は実費支給である旨を定めているのに、出張者から搭乗券、領収書等の現に支払った実費額を証明する書類を提出させる旨の規定は定められておらず、航空賃に係る実費額の審査及びこれに基づく精算は、日程変更等による例外的な場合を除いて行われていなかった。
このように、実費支給に係る審査等が行われていない状況において、11年度から17年度までの間の航空機を利用した出張に対し支給した旅費9億4717万余円のうち、出張4,756件、出張者1,336人に支給した旅費3億8094万余円の精算が行われておらず、旅費計7372万余円が過大に支給されていた。これらの態様等を示すと以下のとおりである。
ア 本店において、出張者が、現物支給された往復割引運賃等の航空券をキャンセルしてそれと異なる割安航空賃の航空券を購入するなどしていたのに、出張後に旅費の精算が行われていなかったもの
出張1,073件、出張者312人、過大支給額1606万余円
イ 前記26支店のうち釧路支店ほか21支店(注2) において、出張者が、旅費支給額と異なる割安航空賃の航空券を購入するなどしていたのに、出張後に旅費の精算が行われていなかったもの
出張3,683件、出張者1,099人、過大支給額5766万余円
このように、日本銀行において、実費支給とされている航空賃について、現に支払った実費額を証明する領収書等の書類の提出を義務付けていない状況の下、精算が行われないまま旅費が過大に支給されていた事態は適正とは認められず、是正改善を図る必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、次のようなことなどによると認められた。
ア 日本銀行において、航空賃は実際に利用した経路に従い実費を支給することと定めているのに、現に支払った実費額について、それを証明する書類によって確認するなどの具体的な審査方法を内国旅費規則等で定めていなかったこと
イ 出張者及び各店の旅費支給担当者において、内国旅費規則等の規定についての理解が十分でなく、同規定に基づき適正に旅費の申請、支給及び精算を行うという意識が欠けていたこと
上記についての本院の指摘に基づき、日本銀行は、過大支給となっている旅費を出張者から返納させるとともに、旅費の支給が適正に行われるよう、次のような処置を講じた。
ア 18年8月に、内国旅費規則等を改正し、航空機を利用する出張については、実費による精算が適正に行われるよう、搭乗券、領収書等の現に支払った航空賃を証明する書類を提出させ審査することなどを定めた。
イ 18年9月に、研修会等を実施し、職員に対して航空賃等の申請及び精算を適正に行うよう、また、各店の旅費支給担当者に対して内国旅費規則等を遵守し、審査の徹底を図り、実費の支給及び精算を適正に行うよう周知を図った。
釧路支店ほか25支店 釧路、札幌、函館、青森、秋田、仙台、福島、横浜、新潟、金沢、大阪、神戸、岡山、広島、松江、下関、高松、松山、高知、北九州、福岡、大分、長崎、熊本、鹿児島、那覇各支店
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釧路支店ほか21支店 釧路、札幌、函館、青森、横浜、新潟、金沢、大阪、岡山、広島、松江、下関、高松、松山、高知、北九州、福岡、大分、長崎、熊本、鹿児島、那覇各支店
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