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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第5 関西国際空港株式会社|
  • 不当事項|
  • 工事

大阪航空局から委託を受けて施行する進入灯点検橋設置工事の実施に当たり、設計が適切でなかったため、進入灯点検橋支承部の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの


(345)大阪航空局から委託を受けて施行する進入灯点検橋設置工事の実施に当たり、設計が適切でなかったため、進入灯点検橋支承部の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

科目
(款)建設仮勘定 (項)受託事業
部局等の名称
関西国際空港株式会社本社
工事名
(1)
進入灯点検橋工事(その1)
(2)
進入灯点検橋工事(その2)
工事の概要
関西国際空港2期事業において、大阪航空局からの委託を受けて進入灯火を管理するための進入灯点検橋を、平成17、18両年度に整備するもの
工事費
(1)
967,575,000円
(当初契約額918,750,000円)
(2)
975,975,000円
(当初契約額924,000,000円)
請負人
(1)
東亜・新日鐵・国土総合進入灯点検橋工事(その1)共同企業体
(2)
若築・日立造船・吉田進入灯点検橋工事(その2)共同企業体
契約
(1)
平成17年5月
公募型競争契約
(2)
平成17年6月
公募型競争契約
支払
(1)
平成17年8月
(前払金330,448,472円)
(2)
平成17年8月
(前払金344,443,912円)
不適切な設計となっている工事費
(1)
24,456,000円
 
(2)
23,827,000円
 
48,283,000円
 

1 工事等の概要

 関西国際空港株式会社(以下「関空会社」という。)では、平成9年4月に、国土交通省大阪航空局(13年1月5日以前は運輸省大阪航空局。以下「大阪局」という。)との間で、大阪局が施行する関西国際空港2期事業における進入灯整備に関する事業について、関空会社が委託を受けて実施することとする協定を締結している。
 関空会社では、上記の協定に基づき、進入灯点検橋、進入灯施設等の実施設計、風洞試験等業務について、16年9月に大阪局との間で委託契約を締結してこれら業務を17年3月に完了し、その後、進入灯点検橋、進入灯施設等の設置工事について、同年4月に大阪局との間で委託契約を締結して当該工事を19年3月に完了させることとしている。このうち進入灯点検橋については、17年5月に進入灯点検橋工事(その1)(以下「その1工事」という。)を工事費918,750,000円で、同年6月に進入灯点検橋工事(その2)(以下「その2工事」という。)を工事費924,000,000円でそれぞれ発注し、いずれも18年6月に完了させることとしていた。
 上記2件の工事は、関西国際空港2期事業において建設する2本目の滑走路に係る進入灯点検橋2橋(いずれも全橋長519.0m)を、その1工事では大阪府側に、その2工事では和歌山県側にそれぞれ設置するものである。そして、その1工事及びその2工事の下部工については橋台1基及び受台9基の築造を、上部工については単純鋼管桁(桁長68.9m)、単純トラス桁(桁長50.8m)、3径間連続トラス桁(桁長170.8m)及び4径間連続トラス桁(桁長227.9m)の製作及び架設を、また、上部工と下部工の接点には上部工の荷重等を下部工に伝達する支承部の設置等を、それぞれ実施するものである(参考図参照)
 本件進入灯点検橋の設計は、16年9月に大阪局との間で締結した委託契約の実施計画書(以下「実施計画書」という。)によると、「空港土木施設設計基準」(国土交通省航空局監修、財団法人港湾空港建設技術サービスセンター編)、「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編。以下「示方書」という。)等に準拠して行うこととされている。
 上記の示方書によると、設計で想定されない地震動が作用したり、周辺地盤の破壊や構造部材の予測しない複雑な振動によって、想定を超える変位、変形等が生じたりした場合でも上部構造の落下を防止することができるように、落橋防止システムを設置することとされている。そして、この落橋防止システムは、落橋防止構造、桁かかり長(注) 等から構成されていて、橋りょうの形式、地盤条件等に応じて適切に選定することとされている。ただし、このうち落橋防止構造は、上部構造の両端が剛性の高い橋台に支持され、上部構造の長さが25m以下の橋りょうなどについては省略してもよいとされている。

2 検査の結果

 本件工事について、実施計画書、設計図面、設計計算書等を検査したところ、本件進入灯点検橋の設計は、前記の落橋防止システムを設置することとしておらず、適切でなかった。
 すなわち、実施計画書においては、本件進入灯点検橋の設計に当たり示方書に準拠して実施するとされていることから、本院において、示方書に基づき、本件進入灯点検橋について、橋りょうの形式、地盤条件等に応じた落橋防止システムの必要性等について検討したところ、各桁の桁長がそれぞれ25mを超えていて、示方書において設置を省略してもよいとされている場合に該当しないことなどから、各桁の端部(1橋当たり8箇所、計16箇所)の支承部には落橋防止構造を設置する必要があると認められる。
 このような事態が生じていたのは、関空会社において、落橋防止システムに関し、示方書の適用に対する理解が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、本件進入灯点検橋支承部は、設計が適切でなかったため、落橋防止構造が設置されておらず、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る工事費相当額48,283,000円(その1工事の工事費相当額24,456,000円及びその2工事の工事費相当額23,827,000円)が不当と認められる。

 落橋防止構造、桁かかり長 上部工と下部工に突起を設けるなどして、上下部構造間に予期しない大きな相対変位が生じた場合に、これが桁かかり長(桁端部から下部構造頂部縁端までの長さ)を超えないようにする構造(参考例参照)


(参考例)

(参考例)

(参考図)

橋りょう概念図

橋りょう概念図

橋りょう側面図

橋りょう側面図