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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第20 独立行政法人都市再生機構|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠工費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの


境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠工費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの

科目
(都市再生勘定)
(項)賃貸住宅業務費
(項)賃貸住宅事業費
(項)居住環境整備事業費
(項)都市機能更新事業費
(項)防災公園街区整備事業費
(項)土地有効利用事業費
(宅地造成等経過勘定)
(項)ニュータウン整備(大都市圏)事業費
(項)受託経費
(項)市街地整備特別業務費
部局等の名称
独立行政法人都市再生機構(平成16年6月30日以前は都市基盤整備公団)東日本支社ほか8支社
工事名
サンヴァリエ桜堤(第3期)基盤整備その他工事ほか127工事
工事の概要
宅地等の造成に併せて道路等を築造などするもの
工事費
262億6761万余円(平成16、17両年度)
請負人
日特建設株式会社ほか100会社、福田・西武特定建設工事共同企業体ほか11共同企業体及び三ツ和総合建設業協同組合ほか1組合
契約
平成16年6月〜17年11月 一般競争契約、公募型指名競争契約、指名競争契約、随意契約
型枠工費の積算額
1億2334万余円
(平成16、17両年度)
低減できた型枠工費の積算額
5450万円
(平成16、17両年度)

1 事業の概要

(1)工事の概要

 独立行政法人都市再生機構(平成16年6月30日以前は都市基盤整備公団。以下「機構」という。)東日本支社ほか8支社(注) では、居住環境整備事業等の一環として、16、17両年度に、サンヴァリエ桜堤(第3期)基盤整備その他工事ほか127工事を、工事費総額262億6761万余円で施行している。
 上記の各工事では、宅地等の造成に併せて道路等を築造するため、舗装工、縁石工、側溝工を施工するなどしており、このうち縁石工及び側溝工(以下「縁石工等」という。)は、道路と宅地を区分する地先境界や歩道と車道を区分する歩車道境界等に、工場製品である地先境界ブロック、歩車道境界ブロック、L型側溝等(以下「境界ブロック等」という。)を設置するなどのものである。

(2)縁石工等の施工

 境界ブロック等を用いた縁石工等の施工は、次のとおり行うこととなっている。
〔1〕 境界ブロック等を設置する延長にわたって所定の位置に砕石を敷き均す。
〔2〕 砕石の上に築造する基礎コンクリートの高さ、幅に応じた合板を立て、これを角材等で固定して型枠を施工し、コンクリートを打設する(参考図参照)
〔3〕 コンクリートが硬化した後に型枠を取り外す。
〔4〕 境界ブロック等と基礎コンクリートを密着させるため、モルタルを基礎コンクリートの上に敷き均し、その上に境界ブロック等を設置する。
 そして、機構では、これら縁石工等の基礎コンクリートの施工に当たり、機構が定める出来形管理基準により、その出来形について、高さ、幅等の許容される誤差を定め、施工の精度を確保することとしている。

(3)境界ブロック等の基礎コンクリート型枠工費の積算

 機構では、境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠工費の積算に当たっては、前記の施工の精度を確保するため必要であるとして、機構制定の「土木・造園工事積算要領」(以下「積算要領」という。)に基づき、現場打ちの側溝、集水桝など主に本体構造物を施工する際に適用される「小型構造物型枠」の歩掛かりを適用し、これにより、前記の128工事における型枠工費を総額1億2334万余円と積算していた。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点及び対象)

 積算要領では、擁壁や函渠等の基礎部に設置するコンクリートの型枠工費に適用される「均し基礎コンクリート型枠」の歩掛かりを別途定めており、この歩掛かりは「小型構造物型枠」に比べて各作業に係る人工数が少なく経済的な歩掛かりとなっている。そこで、機構が施行した前記の各工事を対象に、経済性・効率性等の観点から、境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠工費の積算に当たり、「小型構造物型枠」の歩掛かりを適用することが施工の実態に適合しているかなどに着眼して検査した。

(検査の結果)

 本件各工事について、設計書、積算基準及び現地において施工の状況等を検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 積算要領によれば、「小型構造物型枠」の歩掛かりの対象となる「小型構造物」とは、コンクリートの断面積が1m 以下の連続している現場打ちの側溝や、コンクリート量が1m 以下の集水桝等となっている。これらの構造物は、現地の形状に合わせ、高さ、幅などが個々に設計されるため、その施工に使用される型枠は形状が複雑で、加工、組立などに手間を要するものである。そして、前記のとおり機構では、境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠工費の積算に当たっては、「小型構造物型枠」の歩掛かりを適用している。
 一方、機構では、擁壁等の基礎部に設置するコンクリートについては、「均しコンクリート」に分類されるとして、その型枠工費の積算に当たっては、「小型構造物型枠」に比べ経済的な「均し基礎コンクリート型枠」の歩掛かりを適用している。この「均しコンクリート」は、擁壁等の構造物の基礎部に高さ10cm程度のコンクリートを打設して築造するものであり、その型枠は、コンクリートの高さに合わせて、全延長にわたりほぼ同じ断面で順次据え付けるもので、本件各工事で施工している境界ブロック等の基礎コンクリートと同様の形状で、型枠の設置も同様の施工実態となっている。
 このように、機構では、この擁壁等の均しコンクリートと、本件境界ブロック等の基礎コンクリートの施工の精度に差異があるとして、その型枠の積算に当たって異なる歩掛かりを適用しているが、両者の型枠工事における施工方法及び型枠材料に差異があるとは認められなかった。
 また、機構が制定している歩掛かりは、国土交通省制定の「土木工事標準歩掛」を準用したものであるが、国土交通省では、境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠の工事と擁壁等の基礎部の均しコンクリートに係る型枠の工事には大きな差異がないとして、境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠工費の積算に当たっては、「均し基礎コンクリート型枠」の歩掛かりを適用している状況である。
 したがって、機構において、境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠工費の積算に当たり、「小型構造物型枠」の歩掛かりを適用しているのは適切とは認められず、「均し基礎コンクリート型枠」の歩掛かりを適用して、経済的な積算をすべきであると認められた。

(低減できた積算額)

 上記により、本件各工事における境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠工費について、「均し基礎コンクリート型枠」の歩掛かりを適用して修正計算すると、6874万余円となり、前記の積算額1億2334万余円を約5450万円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、機構において、境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠工費の積算に当たって、施工の実態を反映させるための検討が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、機構では、18年9月に、境界ブロック等の基礎コンクリートに係る型枠工費の積算に当たっては、積算要領の「均し基礎コンクリート型枠」の歩掛かりを適用して積算することとする文書を発し、同年10月以降発注する工事から適用することとする処置を講じた。

 東日本支社ほか8支社 東日本、東京都心、千葉地域、神奈川地域、埼玉地域、茨城地域、中部、西日本、九州各支社


(参考図)

境界ブロック等の基礎コンクリート型枠の概念図

境界ブロック等の基礎コンクリート型枠の概念図