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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第23 首都高速道路株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

用地保全工事における防じん処理工費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの


用地保全工事における防じん処理工費の積算を施工の実態に適合するよう改善させたもの

科目
仕掛道路資産
平成17年9月30日以前は、
(項)高速道路建設事業費
(項)社会資本整備事業費
(項)受託関連街路建設費
部局等の名称
首都高速道路株式会社(平成17年9月30日以前は首都高速道路公団)東京、神奈川両建設局
工事名
(高関)平成16年度用地保全工事(東京地区)ほか3工事
工事の概要
用地の砂じんの飛散を防止するなどのため、アスファルト混合物の舗装等を施工するもの
工事費
1億2180万余円(平成16、17両年度)
請負人
株式会社三共土木ほか2会社
契約
平成16年5月〜18年3月 指名競争契約(単価契約)
防じん処理工費の積算額
4833万余円
(平成16、17両年度)
低減できた防じん処理工費の積算額
2330万円
(平成16、17両年度)

1 工事の概要

(1)防じん処理工事の内容

 首都高速道路株式会社(平成17年9月30日以前は首都高速道路公団。以下「会社」という。)東京建設局及び神奈川建設局(以下「両建設局」という。)では、中央環状新宿線、横浜環状北線等の建設事業を施行しており、これらの事業に必要な用地等を買収等により取得している。そして、両建設局は、取得した用地を良好に管理する目的で、保全柵設置工、防じん処理工等の用地保全工事を単価契約で請け負わせ実施しており、その工事費は、16年度6431万余円、17年度5748万余円、計1億2180万余円となっている。
 このうち、防じん処理工は、用地の砂じんが周辺住宅等に飛散するのを防止するなどのため、現地盤の整地工を行った後、路盤工として再生砕石を敷き均して転圧した上に表層工として再生アスファルト混合物の舗装等を施工するもので、16年度4,328.8m 、17年度10,306.3m 、計14,635.1m の用地について実施している。

(2)防じん処理工費の積算

 両建設局では、防じん処理工費の積算に当たり、会社が制定した「事業用地等管理保全業務委託積算基準」(以下「用地等積算基準」という。)を適用している。この基準において、防じん処理工は、個人住宅等の小規模用地を前提としていることから、整地工は人力で、路盤工及び表層工は人力に小型機械を併用することとしている。そして、防じん処理工1m 当たりの単価を、東京建設局、神奈川建設局において、それぞれ16年度3,475円、3,364円、17年度3,485円、3,247円と積算し、この単価にそれぞれの施工面積を乗ずるなどして、防じん処理工費を16年度1469万余円、17年度3363万余円、計4833万余円と算定している。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点及び方法)

 中央環状新宿線等の建設事業では、トンネルに接続させるための地上施設等の規模が大きくなることなどから、個人住宅等の小規模用地だけでなく、工場等の一箇所当たりの面積が広い用地も取得対象となっている。そこで、経済性・効率性等の観点から防じん処理工費の積算が施工の実態に適合した適切なものとなっているかなどに着眼し、本社及び両建設局において設計書の内容や施工の状況等を検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、防じん処理工の施工実態について次のような事態が見受けられた。
 すなわち、用地等積算基準では、前記のとおり、防じん処理工は原則として人力で施工するとしているが、その施工実態をみると、用地の面積、形状等の現場条件に応じて、機械を使用し、効率的に施工している状況となっていた。
 機械を使用して施工している事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

 トンネル出入口として取得した用地(3,634.5m )は、施工面積が広いことから、整地工、路盤工及び表層工を、それぞれブルドーザ、タイヤローラ及びアスファルトフィニッシャなどの大型機械を使用して施工していた。

<事例2>

 住宅跡地である2箇所の用地(155.0m 及び164.4m 、計319.4m )は、障害物等がなく隣接していて一体として工事が可能であることから、整地工、路盤工及び表層工を、それぞれバックホウ、振動ローラなどの機械を使用して施工していた。

<事例3>

 住宅密集地域で取得した用地(61.9m )は、狭あいな箇所であることから、路盤工及び表層工を、上記のように機械を使用して施工することが困難であるため、主として人力で施工していたが、整地工では小型のブルドーザを使用して施工していた。
 したがって、防じん処理工費の積算に当たっては、会社が制定している道路の舗装工事の積算基準や、同種工事を実施している地方公共団体の積算基準を適用して、用地の面積、形状等の現場条件に適合した機械施工による工事費を算定することができたと認められた。

(低減できた防じん処理工費)

 本件各工事における防じん処理工費について、施工箇所を施工面積等の現場条件により使用機械等を区分し、上記の積算基準等に基づき計算すると、施工単価は16年度1,929円から2,712円、17年度1,454円から2,751円、工事費は16年度930万余円、17年度1570万余円、計2500万余円となり、前記の防じん処理工費4833万余円を約2330万円低減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、防じん処理工費の積算に当たり、会社において施工の実態を反映した用地等積算基準が定められていなかったり、両建設局の積算担当部門において関係部署との連絡調整が十分でなく、施工の実態等の認識が不足していたりしていたことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、会社では、道路の舗装工事等の積算基準を準用し、18年6月に、防じん処理工費の積算を施工の実態に適合させた「用地保全工事積算基準」を制定したり、両建設局内において関係部署間の連絡調整の体制を見直したりするなどし、同月以降契約する工事から適用する処置を講じた。