会計名及び科目
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(項)空港建設費
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部局等の名称
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中部国際空港株式会社本社
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工事名
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(1)
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空港運用管理・警備システム
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(2)
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運用管理支援システム・場周警戒システム(第一ゲート対応)
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(3)
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空港土木付帯施設等工事(その1)
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(4)
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空港土木付帯施設等工事(その3)
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(5)
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護岸築造及び仮設物撤去他工事
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工事の概要
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中部国際空港の制限区域境界に整備された場周柵に場周警戒システム等を設置するもの
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工事費
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(1)
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3,622,923,150円
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(2)
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158,453,400円
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(3)
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1,346,415,000円
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(4)
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1,344,945,000円
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(5)
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3,659,250,000円
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計
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10,131,986,550円
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請負人
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(1)
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松下・三菱空港運用管理・警備システム共同企業体
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(2)
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松下電器産業株式会社
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(3)
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戸田・福田・ピーエス三菱共同企業体
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(4)
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佐伯・村本・吉川共同企業体
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(5)
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五洋・前田共同企業体
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契約
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(1)
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平成14年3月
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公募型指名競争契約
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(2)
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平成17年7月
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随意契約
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(3)
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平成15年1月
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公募型指名競争契約
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(4)
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平成15年1月
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公募型指名競争契約
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(5)
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平成16年6月
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公募型指名競争契約
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支払
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(1)
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平成15年5月〜17年3月
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3回
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(2)
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平成17年10月、18年2月
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2回
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(3)
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平成15年6月、16年8月
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2回
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(4)
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平成15年4月、16年8月
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2回
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(5)
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平成16年8月〜17年12月
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9回
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不適切な設計となっている工事費
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(1)
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72,031,000円
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(2)
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42,024,000円
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(3)
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17,517,000円
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(4)
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17,903,000円
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(5)
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39,764,000円
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計
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189,239,000円
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中部国際空港株式会社(以下「中部会社」という。)では、空港建設事業の一環として、運用管理支援システム、場周警戒システム等を整備するため、平成14年3月から18年1月までの間に、「空港運用管理・警備システム」(以下「〔1〕工事」という。)、「運用管理支援システム・場周警戒システム(第一ゲート対応)」(以下「〔2〕工事」という。)をそれぞれ工事費3,622,923,150円、158,453,400円、計3,781,376,550円で実施している。
このうち、場周警戒システムは、空港の制限区域内に人、車両等の外部からの侵入を防ぐなどのため、15年10月から17年5月までの間に、「空港土木付帯施設等工事(その1)」(以下「〔3〕工事」という。)、「空港土木付帯施設等工事(その3)」(以下「〔4〕工事」という。)、「護岸築造及び仮設物撤去他工事」(以下「〔5〕工事」という。)において整備された場周柵(標準的な支柱間隔2m、標準的な高さ3.48m)にセンサーワイヤーを張り巡らせ、これに侵入者等が触れることにより生ずる張力の変化を感知するセンサーを取り付けるなどして、侵入者等を即時に感知するシステムであり、17年1月、〔1〕工事の契約を変更し、また、同年7月、〔2〕工事を契約して実施している。
このセンサーは、2m間隔で整備されている鋼製の場周柵の支柱に取り付けられた次の3種類のポール(以下「センサーポール等」という。)にセンサーワイヤーを張り込んでいるものである(参考図参照)
。
ア センサーワイヤーの一端を接続したセンサー本体を取り付けるためのセンサーポール
イ センサーポールから伸ばされたセンサーワイヤーの一端を固定するため、センサーポールから左右両側に約50m離して取り付けるジョイントポール
ウ センサーワイヤーの設置高を保持するため、ジョイントポールとセンサーポールとの間の各支柱に取り付けるスライダーポール
中部会社では、当初、場周柵の強度設計に当たっては、国土交通省航空局監修の「空港土木施設設計基準」(以下「設計基準」という。)で示されている風の速度圧(注1)
3,000N/m2
を基に部材の形状に応じて風荷重を算出し、これが場周柵に作用した場合、支柱の最下部に生ずる曲げ応力度(注2)
が支柱部材の許容曲げ応力度(注2)
を下回ることから所要の強度が確保されているとし、これにより施工していた。
そして、場周柵の支柱にセンサーポール等を取り付けると、センサーポール等に作用する荷重はそのまま支柱に作用することになるため、支柱を設置したときよりも荷重は大きくなるが、本件の場合は直ちに補強する必要はないものとして、そのまま取り付けていた。
本件工事について、契約図書等を検査したところ、センサーを取り付けた場周柵のうち高さ3.48mのものの強度設計が、次のとおり適切でなかった。
すなわち、上記場周柵2,047mのうち空港の北側延長556m及び南側延長1,470m、計2,026mについては、センサーポール等の取付後に作用する風荷重等を設計基準で示されている風の速度圧3,000N/m2
により算出するなどして強度計算を行うと、支柱の最下部に生ずる曲げ応力度は、ジョイントポール取付箇所では345N/mm2
、センサーポール取付箇所では344N/mm2
、スライダーポール取付箇所では271N/mm2
となり、いずれも支柱部材の許容曲げ応力度235N/mm2
を大幅に上回っていて、当初の場周柵の設計で見込んでいた支柱の所要の強度が確保されていない状態となっていた。
このような事態が生じていたのは、中部会社において、本件場周柵の強度についての認識が十分でなく、〔1〕工事の契約を変更し、また、〔2〕工事を契約した際に、場周柵の当初設計の強度計算の基にしていた速度圧3,000N/m2
については標準の数値で幅があるものであるとして、場周柵の支柱について直ちに補強する必要はないものと考えていたことなどによると認められる。
したがって、本件場周柵は、所要の強度が確保されていない状態となっており、場周柵及びこれに取り付けられたセンサーに係る工事費相当額〔1〕工事72,031,000円、〔2〕工事42,024,000円、〔3〕工事17,517,000円、〔4〕工事17,903,000円、〔5〕工事39,764,000円、計189,239,000円が不当と認められる。
(注1) | 速度圧 流体の密度と流速により生じた圧力の単位面積当たりの大きさをいう。
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(注2) | 曲げ応力度・許容曲げ応力度 「曲げ応力度」とは、材が曲げられたとき、曲がった内側に生じる圧縮力又は外側に生じる引張力の単位面積当たりの大きさをいい、その数値が設計上許される上限を「許容曲げ応力度」という。
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センサーの概念図