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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第30 東日本電信電話株式会社、第31 西日本電信電話株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

ひかり電話対応機器等を加入者宅に配送する業務について、加入の状況に応じて、事業便又は宅配便のいずれかを使用する方法に見直すことにより、配送費の節減を図るよう改善させたもの


(1)(2)ひかり電話対応機器等を加入者宅に配送する業務について、加入の状況に応じて、事業便又は宅配便のいずれかを使用する方法に見直すことにより、配送費の節減を図るよう改善させたもの

会社名
(1)
東日本電信電話株式会社
(2)
西日本電信電話株式会社
科目
(1)
営業費用
(2)
営業費用
部局等の名称
(1)
東日本電信電話株式会社本社
(2)
西日本電信電話株式会社本社
配送業務の概要
ひかり電話対応機器及び利用の手引きなどの冊子を同梱した荷物をひかり電話の加入者宅に配送する業務
荷物の配送数量
(1)
285,519個
(平成17年11月〜18年3月)
(2)
293,024個
(平成17年11月〜18年3月)
配送費
(1)
3億3100万余円
(平成17年11月〜18年3月)
(2)
3億0939万余円
(平成17年11月〜18年3月)
節減できた配送費
(1)
8460万円
(平成17年11月〜18年3月)
(2)
1億5860万円
(平成17年11月〜18年3月)

1 ひかり電話の概要

(1)サービスの概要

 東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)では、光ファイバケーブルとインターネットプロトコルを使用した通信サービスとして、Bフレッツハイパーファミリータイプ、光プレミアムファミリータイプ等の月額固定料金の光ブロードバンドサービスを提供しており、これらの加入者を対象としてIP電話サービスの一種である「ひかり電話」の提供を平成16年9月から順次開始している。
 ひかり電話は、IP通信網を通じて音声をデータとして送信するサービスであり、既存の固定電話サービスで使用していた電話番号が使え、固定電話サービスに比べて割安な料金設定となっていて、17年度末の利用回線数(注1) は891,438回線(NTT東日本493,821回線、NTT西日本397,617回線)となっている。

(2)機器の配送及び設置方法

 ひかり電話を利用するには、光ブロードバンドサービスに加入しておく必要があり、これに必要な光回線終端装置(以下「ONU」という。NTT西日本ではONUに加えて加入者回線網終端装置(以下「CTU」という。)の設置が必要となる。)及び、従来の電話機をひかり電話用として使用するために必要なひかり電話対応機器を設置しなければならない。さらに、IP通信網上でデータ送信のあて先を特定するため、設置したONU及びひかり電話対応機器にあらかじめ設定されているMACアドレス(注2) (以下「アドレス」という。)を電話番号の管理を行うサーバ等にそれぞれ登録する必要がある。
 上記のONU及びCTU(以下「ONU等」という。)は、光ファイバケーブル等の資材とともに、資材・物流業務の受託会社(以下「物流会社」という。)による定期又は随時の資材配送便(以下「事業便」という。)により、必要に応じてあらかじめ、光ブロードバンドサービス、ひかり電話等の開通工事を請け負っている工事業者(以下「工事業者」という。)の倉庫まで一括して大量に配送され、工事業者の倉庫に保管される。
 そして、光ブロードバンドサービスの開通工事は、次のように行われている(参考図参照)

(参考図)

(参考図)

〔1〕 NTT東日本においては、設備部門から開通工事の指示を受けた工事業者が、開通工事のために倉庫から持ち出すONUのアドレスを工事業者が使用するシステムに入力して前記のサーバ等に登録した後、当該ONUを戸建住宅の加入者宅又は加入者が居住する集合住宅の機械室等の共有部分まで持ち込み、光ファイバケーブルを配線してONUの設置・確認試験を行っている。
〔2〕 NTT西日本においては、ONUについては上記と同様の工事内容となっているが、別途CTUの取付けが必要なため、集合住宅の各加入者宅にも工事業者が赴いてCTUの設置・確認試験を行っている。
 一方、ひかり電話の開通に当たっては、両会社とも、申込みを受けた後、物流会社が、ひかり電話対応機器のアドレスを同会社が使用するシステムに入力して前記のサーバ等に登録した後、当該ひかり電話対応機器及び利用の手引きなどの冊子を同梱した荷物(以下「ひかり電話対応機器等」という。)を宅配便により加入者宅に配送している。
 そして、光ブロードバンドサービスの既加入者がひかり電話に加入する場合は、加入者自らがひかり電話対応機器を設置して開通の確認を行うことになっているが、ひかり電話と光ブロードバンドサービスを同時に加入する場合は、光ブロードバンドサービスの開通工事のために同時加入者宅(NTT東日本では戸建住宅、NTT西日本では戸建住宅及び集合住宅をいう。以下同じ。)に赴いた工事業者が、ひかり電話対応機器を設置して開通の確認を行っている。
 両会社が物流会社に委託している契約により、宅配便で送る場合と事業便で送る場合のそれぞれのひかり電話対応機器等1個当たりの配送費をみると、次表のとおりとなる。

表 ひかり電話対応機器等1個当たりの配送費
宅配便の場合
事業便の場合
出庫費
輸送費
出庫費(注)
輸送費
NTT東日本
出荷時2.2kg、50km内の場合
520円
610円
600円/件
16円
NTT西日本
出荷時1.2kg、50km内の場合
470円
9円
 事業便における出庫費は、数十個から数百個の配送指示伝票1枚で1件となる。

2 検査の結果

(検査の観点及び着眼点)

 NTT東日本及びNTT西日本では、「既存の固定電話サービスから光ケーブルを使用したIP電話サービスへの移行」をNTTグループの経営目標の1つとして掲げ、推進している。特にひかり電話は、既存の固定電話サービスに代わるものとして、今後も需要増が見込まれ、それに伴う機器の配送数量の増加も予測されるため、経済性・効率性等の観点から、ひかり電話の開通に伴う機器が加入動向を反映した適切な方法により配送されているかに着眼して検査した。

(検査の対象及び方法)

 NTT東日本の東京支店ほか12支店(注3) 及びNTT西日本の大阪支店ほか13支店(注4) を対象として、光ブロードバンドサービスとひかり電話の加入情報が照合できるようになった17年11月から18年3月までの5箇月間のひかり電話の開通実績等に基づき、ひかり電話の開通に伴う機器の配送状況について検査した。

(検査の結果)

 検査したところ、両会社では、17年11月から18年3月までに上記の各支店におけるひかり電話の開通に必要なひかり電話対応機器等578,543個(NTT東日本285,519個、NTT西日本293,024個)を配送する費用として宅配便による配送経費6億4039万余円(NTT東日本3億3100万余円、NTT西日本3億0939万余円)を支払っていた。
 しかし、この中には、光ブロードバンドサービスと同時に加入した場合に設置したひかり電話対応機器387,492台(NTT東日本の戸建住宅分138,070台、NTT西日本の戸建住宅及び集合住宅分249,422台)に係る経費が含まれている。そして、これらについては、工事業者が同時加入者宅まで赴き、ONU等の設置工事と併せてひかり電話対応機器を設置していることから、ひかり電話対応機器等をONU等と同様に事業便により工事業者の倉庫まで配送し、工事業者が同時加入者宅まで持ち込むことができたと認められた。ただし、この場合には、工事業者が使用するシステムに、ひかり電話対応機器のアドレスを入力して前記のサーバ等に登録できる機能を付加する必要があるが、この作業は数箇月でできると認められた。
 したがって、ひかり電話の加入者が光ブロードバンドサービスと同時に加入し、工事業者がONU等の設置工事と併せてひかり電話対応機器を設置する場合には、事業便によりひかり電話対応機器等を工事業者の倉庫まであらかじめ一括して大量に配送することとすれば、ひかり電話対応機器等1個当たりの配送費は安価となって、これに係る配送費を節減できると認められた。
 現に、両会社の法人営業を担当する部門、各支店の故障対応の部門等においては、ひかり電話対応機器を事業便で取り寄せておき、各担当者がそれぞれの顧客まで持参するなどしている状況であった。

(節減できた配送費)

 本件について、前記のとおり、ひかり電話対応機器等をONU等と同様に事業便により工事業者の倉庫まで配送しておき、工事業者がこれを同時加入者宅に持ち込むこととすれば、ひかり電話対応機器等を加入者宅に配送する費用はNTT東日本で約1億7880万円、NTT西日本で約6420万円で足り、工事業者が使用するシステムに新たな機能を付加することに伴う費用等を見込んだとしても、NTT東日本で約8460万円、NTT西日本で約1億5860万円の配送費が節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、同時加入者宅には、ONU等及びひかり電話対応機器を併せて設置することとなるにもかかわらず、ONU等を担当する設備部門とひかり電話対応機器を担当する営業部門との間で、機器の設置方法に対する考え方が異なっていて、事業便を使用した経済的な配送について調整が行われていなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、両会社では、設備部門及び営業部門がひかり電話対応機器等の配送について経済的な方法となるように部内で調整し、併せて、工事業者が使用するシステムにひかり電話対応機器のアドレスを入力して、前記のサーバ等に登録できる機能を付加するようシステム改良を行い、加入の状況に応じて、事業便又は宅配便のいずれかを使用することで経済的な配送とする処置を講じた。

 利用回線数 利用者に割り振られた電話番号数
 MACアドレス ネットワーク上でデータの送り先を特定するため、ネットワーク機器の出荷時に設定される通信上の固有番号
 東京支店ほか12支店 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、長野、宮城、福島、岩手、青森、北海道各支店
 大阪支店ほか13支店 大阪、みやこ、兵庫、名古屋、静岡、岐阜、三重、金沢、広島、山口、四国、福岡、熊本、沖縄各支店