ページトップ
  • 平成17年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
  • 第2節 国会からの検査要請事項に関する報告

国会からの検査要請事項に関する報告


<参考:報告書はこちら>

第5 各府省等におけるコンピュータシステムに関する会計検査の結果について

要請を受諾した年月日
平成17年6月8日
検査の対象
内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、国会、裁判所、会計検査院
検査の内容
上記の府省等におけるコンピュータシステムについての検査要請事項
各府省等におけるコンピュータ査システムの調達等に係る経費
4773億円(平成16年度)
報告を行った年月日
平成18年10月25日

1 検査の背景及び実施状況

(1)検査の要請の内容

会計検査院は、平成17年6月8日、参議院から、下記事項について会計検査を行い、その結果を報告することを求める要請を受けた。

一、会計検査及びその結果の報告を求める事項

(一) 検査の対象

内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、国会、裁判所、会計検査院

(二) 検査の内容

各府省等におけるコンピュータシステムについての次の各事項

1 各府省の株式会社エヌ・ティ・ティ・データ等コンピュータシステム会社に対する事務・業務の委託契約の状況

2 保守・運用契約の競争性、経済性の状況

3 主なシステムの利用の状況

4 情報セキュリティの管理体制の状況

5 電子政府構築計画に基づく「業務・システム最適化計画」の作成を予定しているシステム(レガシーシステムを含む)の現状と最適化に向けた取組の状況

6 右を踏まえた決算内容の検証

(2)平成15年度決算審査措置要求決議の内容

 参議院決算委員会は、17年6月7日に検査を要請する旨の上記の決議を行っているが、同日に「平成15年度決算審査措置要求決議」を行っている。
 このうち、上記検査の要請に関連する項目の内容は、以下のとおりである。

5 ITシステムの見直しについて
 現在、政府部内には、厚生労働省の「社会保険オンラインシステム」を始めとするレガシー・システムが合計36あり、平成17年度予算で約3572億円の経費が計上されている。また、このほかに、「人事給与システム」や「災害管理システム」などの多くのITシステムがある。
 これらのITシステム、とりわけレガシー・システムの調達は、技術的専門性の高さから、その多くがシステム事業者任せになり、システムの詳細がどうなっているのか、各府省側でその内容の把握が不十分なまま特定事業者との間で随意契約が繰り返され、その結果、不透明な契約内容、割高な契約額、システム事業者が開発したソフトウェアの著作権の帰属、システム開発費を分割払としたことによる多額の残債の存在、政府全体として平成15年度におけるIT調達にかかわる決算額を確定することのできない事実等の多くの問題が生じている。
 一方、会計検査院の「決算確認システム」では、その運用業務委託契約の業務内容を全面的に見直すとともに、契約方法を随意契約から一般競争契約へ移行させた結果、委託経費がそれまでの約30分の1に削減できたように多大の成果も見られる。
 政府は、今後、レガシー・システムを含む77のITシステムについて「業務・システム最適化計画」を作成しシステムの全面見直しを進めていく中で、システム事業者が開発したソフトウェアの著作権の各府省への帰属の実現、システム開発費を分割払としたことによる多額の残債問題の解消等に努め、汎用コンピュータのオープンシステム化、データ通信サービス契約そのものの見直し、随意契約から競争契約への移行等の改善を図るとともに、当該調達にかかわる決算内容の検証・評価を厳正に行うべきである。
 また、会計検査院は、以上の観点に留意して会計検査を実施すべきである。

(3)国の情報通信技術に係る施策の概要

 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成12年法律第144号)に基づいて内閣に設置された高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部では、13年1月の「e—Japan戦略」から18年1月の「IT新改革戦略」まで、数次にわたって、戦略、計画等を策定し、政府はこれらに沿って、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を推進している。
 また、14年9月に設置された各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議は、15年7月に電子政府構築に係る基本的考え方や具体的取組を定めた「電子政府構築計画」を策定しており、同計画において、各府省に共通する業務・システムおよび個別府省の業務・システムについて、17年度末までに「最適化計画」を策定することとした。
 高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する予算は、内閣官房が実施した調査によると、16、17両年度において1兆3千億余円の多額に上っている。また、総務省がとりまとめている行政機関の情報システム関係予算については、16年度6192億円、17年度5773億円となっている。

(4)検査の観点、着眼点及び方法

 検査に当たっては、合規性、経済性・効率性、有効性等の観点から、主として契約の競争性、システムの利用、情報セキュリティの対策、最適化計画の効果に着眼し、検査要請のあった事項について、内閣ほか14府省等の本省及び外局等(以下「省庁」という。)42省庁すべてについて資料の提出を求めるとともに、このうち、35省庁については実地検査を実施し、契約関係書類、業務・システム最適化計画関係書類等の内容を調査するなどした。

2 検査の結果

(1)各府省の株式会社エヌ・ティ・ティ・データ等コンピュータシステム会社に対する事国務・業務の委託契約の状況

ア 国における情報システム関係の契約の概況

 国の情報システム関係の契約の全体像は国の決算関係書類から直ちに把握することはできないため、各府省等のそれぞれの契約実績を積み上げる必要がある。この点については、内閣官房、総務省及び財務省が、17年7月に、行政機関を対象機関とし、最適化計画策定対象の77業務・システムに係る16年度の情報システム関係予算の執行状況の調査(以下「政府調査」という。)を実施している(その対象範囲は、16年度予算ベースでは、行政機関における情報システム関係予算全体の約80%に相当)。
 今回の検査においては、行政機関の契約状況について、政府調査の内容を確認した上で分析するとともに、政府調査の対象機関となっていない国会、裁判所及び会計検査院の契約状況については、16年度支払金額(単価契約の場合は年間支払金額)が100万円以上のものにつき資料の提出を受け、これを対象に分析した。
 分析の対象とした16年度における国の情報システム関係の支払金額は、表1のとおり、合計4773億円となっている。

表1 国における情報システム関係の契約及び支払の状況(16年度)

(単位:件、百万円)

行政機関
国会、裁判所及び会計検査院
合計
件数
金額
件数
金額
件数
金額
6,111
465,370
364
11,935
6,475
477,305

 「行政機関」の「件数」については、複数の契約をまとめて1件としているものや、同一の契約が複数の業務・システムに関連しているために複数件数としているものが一部ある。


 これを契約内容別にみると、データ通信役務契約(注1) 33.8%、ハードウェア、ソフトウェア両者の賃貸借28.0%、システム整備10.3%、運用、運用支援の請負等5.9%等となっている。

 データ通信役務契約 電気通信事業者が定める約款に基づき、当該事業者が提供する電子計算機及びこれに接続する電気通信回線からなる電気通信設備を用いて当該事業者が行う電気通信役務の提供を内容とする契約


イ 契約相手方

 6,475件の契約の契約相手方別の支払金額についてみると、株式会社エヌ・ティ・ティ・データへの支払金額が1730億円と最も多く、全体の36.2%となっている。そして、支払金額の上位5者で全体の65.4%を占めている。

 また、6,475件の契約のうち、年間支払金額が1億円以上となっている31省庁における契約について、契約相手方1者に対する支払金額が当該省庁の年間支払金額の50%以上となっているのは13省庁となっている。

ウ 契約方式

 6,475件の契約のうち支払金額300万円以上の契約2,873件、支払金額4732億円について契約方式をみると、表2のとおりとなっており、国における情報システム関係の契約の大半は随意契約で執行されている。

表2 契約方式の状況(300万円以上)

(単位:件、百万円、%)


契約方式
区分
競争契約
随意契約
合計
一般競争契約
指名競争契約
(件数割合)
件数
(18.8)
542
(0.3)
9
(19.1)
551
(80.8)
2,322
(100)
2,873
(支払金額割合)
支払金額
(3.6)
17,037
(0.0)
312
(3.6)
17,349
(96.3)
455,851
(100)
473,201

 これを契約内容別にみると、ハードウェア、ソフトウェア両者の買取りにおいて競争契約の割合は件数で57.7%と高く、一方、データ通信役務契約においては随意契約の割合が100%となっている。

エ 下請又は再委託の状況

 2,873件の契約のうち支払金額が1億円以上で、契約の種類が請負契約又は委託契約となっている218件の契約(支払金額合計756億円)について、契約条項における下請等に関する規定をみると、下請禁止11.0%、条件付認容68.3%、無条件認容1.8%、定めなし18.8%となっている。このうち、無条件認容及び定めなしとなっているものについては、契約履行上の責任の所在の明確化、適正な履行の確保、情報漏えいの防止等がなされないおそれがあることから、契約条項の整備が必要と思料される。
 そして、218件の契約について、下請等の状況をみると、実施されているものは48.1%、実施されていないものは42.6%、実施の有無を発注者が把握していないものは9.1%となっている。また、下請等が実施されている105件の契約のうち、下請等に係る支払金額を発注者が把握している78件の契約についてみると、下請率が50%以上となっている契約が73件(93.5%)となっている。

(2)保守・運用契約の競争性、経済性の状況

 支払金額300万円以上の契約2,873件のうち、各省庁の内部部局が締結している保守・運用契約492件、366億円について、その競争性、経済性の状況を検査した。

ア 保守・運用契約の競争性

 492件の契約を契約方式別にみると、競争契約の割合が、件数で8.1%、金額で3.9%であるのに対し、随意契約の割合は、件数で91.8%、金額で96.0%となっており、競争契約の割合は低くなっている。
 随意契約を締結している452件のうち個別府省業務・システムに係る94件について、その契約相手方をみると、契約相手方がシステム導入時の調達契約の相手方と同一又はその関連会社となっているものが85件(90.4%)となっている。
 492件の契約のうち、単価契約、総合評価落札方式による競争契約等を除いた458件について、契約方式別に契約金額の予定価格に対する比率(以下「落札比率」という。)の平均をみると、表3のとおりとなっている。

表3 契約方式別落札比率

(単位:件、%)


契約方式
件数
平均落札比率
競争契約
27
81.9
 
1者応札
17
94.3
複数応札
10
60.9
随意契約
431
97.4
合計
458
96.5

 契約における競争性を拡大するためには、発注者が業務の内容を十分把握し、これを仕様書等で具体的に提示することが重要と考えられる。そこで、492件のうち総合評価落札方式を除く競争契約及び原則として各省庁の支払金額上位5件から抽出した随意契約の計168件について契約の仕様書の内容のうち、競争性を拡大する上で重要な要素と考えられる〔1〕作業項目別作業量、障害発生状況等、〔2〕責任範囲、〔3〕システム構成の各項目の記載状況をみると、記載率はいずれの項目も随意契約より競争契約の方が高くなっている。
 保守・運用契約のほとんどは随意契約であるが、競争契約、とりわけ複数応札の経済的効果は、落札比率の状況からもうかがえる。このため、仕様書の記載項目の内容をより具体的なものとしたり、特定の事業者以外の者においても実施可能と考えられるシステム監視や問合せ業務等を別途契約としたり、マニュアル等を整備して受注できる事業者の範囲を拡大したりするなどして、競争契約への移行を検討する必要があると考えられる。

イ 保守・運用契約の予定価格の算定状況

 情報システム関係の保守・運用の契約については、工事請負契約等のような積算体系が確立されていないことから、その予定価格等は統一的に比較しにくい面がある。そこで、保守・運用契約492件のうち、共通的な業務項目(〔1〕システム監視、〔2〕予防保守、〔3〕発注者側のシステム担当職員からの問合せへの対応、〔4〕障害対応、〔5〕システム運転)を含む契約で、これらの業務をSE(システムエンジニア)等の技術者が行っている契約のうちから112件を抽出し、その予定価格の算定方法と業務実績等の検証状況について検査した。

(ア)予定価格の算定方法

 予定価格の算定方法についてみると、上記112件の契約を実施している26省庁には予定価格の算定に用いる積算マニュアルが存在せず、各省庁の担当者は前年度実績や参考見積りを徴するなどの方法で予定価格を算定している。
 〔1〕から〔5〕までの業務に従事するSE等の人件費単価(円/人月)の採用についてみると、各契約の業務内容は厳密には同等でないなどのため、単純に比較することはできないが、採用単価は、いずれの業務においても100万円未満から200万円以上までと幅がある。そして、112件の契約における人件費の採用単価の根拠資料についてみると、採用割合が最も高いのは、各業務とも「事業者からの見積り」であり、また、採用単価の高低と根拠資料の関係についてみると、根拠資料が異なると、いずれの業務においても単価の平均の最高と最低には2倍以上の差があるほか、採用単価を個別にみると、同一業務で根拠資料が同じでも、それぞれの採用単価には大きな差がある状況となっている。

(イ)業務実績等の検証

 予定価格におけるSE等に係る積算の妥当性の検証状況についてみると、112件のうち、「特に検証を行っていない」が29件(25.8%)ある。
 また、検証を行っていない29件を除く83件について、検証により把握した業務実績を次年度契約に反映させているかどうかをみると、「実績を踏まえ仕様を変更」が28件(33.7%)、「実績を踏まえ仕様の変更の要はないと判断」が48件(57.8%)となっている一方、「実績の反映はしていない」が6件(7.2%)ある。
 保守・運用契約の予定価格の算定においては、工事請負契約等のような体系的なマニュアルが整備されておらずSE等の人件費の採用単価も区々となっていることなどから、積算の合理性の向上を図るには、契約後における事後検証が特に重要である。
 また、予定価格の算定に用いる単価や業務に要する時間数などについては、積算方法の標準化に困難な面があるとはいえ、積算参考資料等の各種根拠資料や事後検証結果を踏まえて、統一的な考え方を整理することが望まれる。

(3)主なシステムの利用の状況

 IT戦略の重要な目標の一つが、ITの利用・活用による国民の満足度の向上であり、国民によるシステムの利用の拡大は重要な課題となっている。そこで、国民が各種手続等を電子的に行うことが可能な各省庁の様々な電子申請等関係システムについて、それらが、国民にどの程度利用されているかを共通的な比較指標を用いて検査するとともに、同様に、民間事業者が利用するシステムとして各省庁がそれぞれ導入している電子入札システムの利用状況についても検査した。

ア 電子申請等関係システムの利用状況

(ア)システムの導入状況

 検査の対象とした各省庁の内部部局が管理・運用する電子申請等関係システムは、汎用システム(国民からのインターネットによる各種申請・届出等手続の一元的な窓口機能を有するシステム)が16省庁16システム、専用システム(大量かつ反復継続して行われる手続を扱い、当該手続の個別のシステムとして整備することが効率的であるとして構築されたシステム)が12省庁25システム、合計20省庁41システムとなっている。これら41システムに係る15、16両年度の支払金額は329億円に上っている。

(イ)システムの利用可能手続の状況

 17年9月末現在における電子申請が可能な手続の数は14,354手続あり、このうち、汎用システムは12,899手続、専用システムは1,455手続となっている。
 これらの手続のうち、電子申請の際、電子証明書(注2) の添付が必要な手続は、汎用システムでは92.6%、専用システムでは76.7%となっている。

 電子証明書 電子申請に当たり、電子署名が本人によって行われたものであることを証明するための電磁的記録


 また、16年度末において電子申請が可能な手続のうち、全申請件数(電子申請件数と書面による申請件数の計)が0件となっている手続の割合は、汎用システムでは52.4%、専用システムでは23.7%となっている。

(ウ)システムの利用状況

 16年度における電子申請率(電子申請数を全申請件数で除した率)をみると、表4のとおり、汎用システムと専用システムの合計で0.94%となっている。

表4 電子申請等関係システムの16年度の利用状況

(単位:件、百万円)


システム形態
システム数
電子申請が可能な手続数
(16年度末現在)
全申請件数
(A)
 
電子申請率
(B)/(A)
開発・運用経費(16年度支払金額)
電子申請数
(B)
汎用システム
16システム
12,799
389,219,305
112,759
0.02%
3,781
専用システム
25システム
1,426
77,191,041
4,301,461
5.57%
11,439
合計
41システム
14,225
466,410,346
4,414,220
0.94%
15,220

 そこで、電子申請の利用手続や電子証明書等の必要性について検査した。
〔1〕 国民生活との関わりが深いシステムのうち、登記関係、国税関係、社会保険・労働保険関係の手続を含むシステムを対象として、電子申請の利用手続のうち事前準備作業に着目して調査したところ、利用者が実際に電子申請を開始するまでには様々な手順が必要とされ、その操作にはパーソナルコンピュータ(以下「PC」という。)の取扱いに習熟を要するだけでなく、時間と経費を要する状況となっている。
〔2〕 各省庁の汎用システムの中で全申請件数の多いものから順に最大で20手続、計282手続について、書面で申請する場合の本人確認等の方法について検査したところ、書面申請の場合は「身分証明書等による本人確認は行わず、実印及び印鑑証明書も必要でない」手続が61.3%で過半を占めているが、これらの手続についても、電子申請の際には電子証明書を必要としているものが8割以上となっていた。
 今後、電子申請等関係システムの利用の拡大を図っていくに際しては、広報活動の強化、添付書類の見直しやインセンティブ措置の導入の検討はもとより、各システムの操作性を向上させたり、手続によっては電子証明書に代えてID・パスワードによる本人確認に移行したりすることの検討が必要である。

イ 電子入札システムの利用状況

(ア)システムの導入状況

 検査の対象とした各省庁の内部部局が管理・運用している電子入札システムは、合計12省庁12システムで、これらに係る15、16両年度の支払金額は46億円となっている。

(イ)システムの利用状況

 15年度から17年度(9月まで)の間の電子入札システムの利用状況について、電子入札率(入札参加者の全部又は一部が電子入札システムを利用して入札した案件数を電子入札対象案件数で除した率)をみると、表5のとおり、物品・役務では、相対的に低い水準で推移している。

表5 電子入札システムの利用状況(工事、物品・役務)

(単位:件)


年度
入札種別
電子入札対象案件数A
電子入札実施件数
電子入札を実施せず
C(C/A)
すべて電子入札
一部電子入札
計B(B/A)
15年度
工事
132
71
33
104(78.7%)
28(21.2%)
物品・役務
129
12
25
37(28.6%)
92(71.3%)
16年度
工事
143
65
58
123(86.0%)
20(13.9%)
物品・役務
1,299
92
316
408(31.4%)
891(68.5%)
17年度
(9月まで)
工事
81
27
45
72(88.8%)
9(11.1%)
物品・役務
1,234
88
315
403(32.6%)
831(67.3%)

 そこで、各省庁の電子入札システムを利用する際の手続の相違や、入札書の提出以外の入札関係手続の状況について、検査した。
〔1〕 法務省商業登記認証局の電子証明書しか利用できない10省庁においては、9の民間認証局の電子証明書が利用できる10省庁に比べて、電子入札率はおおむね低い傾向となっている。
〔2〕 入札公告の公表手続、入札参加に必要な書類の提出手続は、電子入札システムを導入している全省庁でオンライン化されているが、入札説明書等の交付など入札参加希望者が発注元に直接出向くことが必要である手続が残っている。
 したがって、今後、電子入札システムの利用の向上を図っていくに際しては、各省庁のシステムで利用できる電子証明書の種類を拡大して、全省庁のシステムで利用可能となるよう検討を行ったり、入札関係手続のオンライン化対象の範囲の拡大を検討したりなどすることが必要である。

(4)情報セキュリティの管理体制の状況

ア 情報セキュリティ管理の必要性

 近年、国の機関におけるネットワーク化が急速に進展したことに伴い業務の情報システムへの依存度が増大することとなった。このような状況においては、ひとたび情報セキュリティ関連の事故が発生した場合、行政事務への影響は極めて大きく、ひいては国民の利便性が大きく低下し、多額の予算が投じられているIT施策の効果が損なわれるおそれがある。したがって、情報セキュリティ対策及び管理体制を十分なものとすることが必要となっている。

イ 情報セキュリティ対策の状況

 17年10月末現在における42省庁の内部部局での情報セキュリティ対策のうち、次の事項について検査した。

(ア)サーバルームに関するセキュリティ対策

 サーバルームへの入退室手続等は、「申請手続は必要がなく、入退室記録を全く取得していない」が10.8%となっている。また、監視状況は、「監視していない」が39.7%となっている。

(イ)LANに関するセキュリティ対策

 ネットワーク監視装置によるLAN機器等の監視状況は、「監視していない」が9.3%となっている。また、LANに対する攻撃の監視状況は、「監視していない」が6.8%となっている。

(ウ)データに関するセキュリティ対策

 サーバルームに設置されている各種システムに係るバックアップデータの保管状況は、バックアップデータを取得していないものやサーバルームのみに保管しているものが全体の半数近くとなっている。
 他課室のフォルダの閲覧可否状況は、「閲覧が可能」が5.7%となっている。また、PCによるデータコピーに対する制御状況は、「禁止していない」が67.6%となっている。

(エ)PCの利用に関するセキュリティ対策

 PCのユーザ権限付与の状況は、自由度が高く危険性を高める要因となる「Administrator(管理者)権限」が11.7%となっている。
 インターネット閲覧に対する制御状況は、「閲覧制限を実施しておらず、かつ職員のアクセス状況の保存や確認を実施していない」が3.4%となっている。また、ウィルス対策の実施率は100%となっているものの、「定義ファイル(ウィルス等の特徴が収録されたファイル)等の更新を利用者に手動で行わせている」が3.4%あり、更新漏れの危険性が高いものがある。

(オ)私用PCに関するセキュリティ対策

 私用PCの持込み制限の状況は、「禁止していない」が59.3%となっている。また、私用PCのLANへの接続制限の状況は、「禁止している」と「一定の手順を経れば接続可能」を合わせると96.8%になるが、その場合でも「ユーザが何らかの設定を行えば、接続できる」が65.6%、「ユーザが何の設定をしなくても自動的に接続される」が15.6%となっている。

(カ)セキュリティ対策状況のバランスマップ

 前記(ア)から(オ)までの各対策のすべての項目の対策を実施することとなっている29省庁について、本院において各対策項目の態様ごとに配点し対策状況を数値化した。その結果、29省庁全体を平均すると、図1のとおり、データ及び私用PCに関するセキュリティ対策が他の項目よりも数値が低くなっている。

図1 セキュリティ対策状況のバランスマップ(17年10月末現在)

図1セキュリティ対策状況のバランスマップ(17年10月末現在)

ウ 情報セキュリティの管理体制等の状況

 42省庁のうち本省等の管理下にある外局等を除く25省庁において情報セキュリティポリシー(以下「ポリシー」という。)を策定しているのは23省庁となっているが、このうち、当初のポリシー策定時にリスク評価を実施したものは7省庁(30.4%)にとどまっている。
 組織・体制をみると、最高情報セキュリティ責任者は、上記23のすべての省庁で設置していたが、1省だけは情報セキュリティ委員会等を設置していなかった。また、監査班の設置規定を設けているのは12省庁(52.1%)で、そのうち実際に監査班を設置しているのは4省庁にとどまっている。また、実施手順書の作成状況をみると、実施手順書数を把握していない5省庁を除く18省庁のうち、全く作成していないものが3省庁見受けられた。
 17年10月末までの間における監査等の実施状況は、「ポリシー遵守状況確認」を監査班が実施したものは1省庁、「自己点検」を実施したものは4省庁、「情報セキュリティ監査」を実施したものは8省庁、「ぜい弱性検査」を実施したものは17省庁となっている。
 また、ポリシーの改正状況は、改正実績がある18省庁の平均改正回数は2.1回となっていて、これらの改正理由をみると、大半はガイドラインの改定や他の関連規程の改正等に伴うもので、これが74.3%を占めている。
 なお、17年度末に情報漏えいが相次いだことなどにより、18年7月までに、11省庁においては官給PCの整備が図られ、7省庁においてはアクセスログ管理サーバ等の整備による監視機能を導入するなどの緊急措置が執られているところである。

(5)電子政府構築計画に基づく「業務・システム最適化計画」の作成を予定しているシステム(レガシーシステムを含む)の現状と最適化に向けた取組の状況

ア 業務・システム最適化計画策定対象のシステムの現状

(ア)最適化計画策定対象の業務・システムの概況

 電子政府構築計画において、業務・システムについては、17年度末までに最適化計画を策定することとし、また、レガシーシステム(注3) については、「レガシーシステム見直しのための行動計画」を策定して必要な見直しを行うこととした。

 レガシーシステム 汎用コンピュータやオフコン(開発事業者独自のOSを搭載した中型コンピュータ)を使用したシステム及びこれらに接続するためのシステム、又は平成6年以降随意契約が継続しているシステムのいずれかに該当するシステムで、年間10億円以上の経費を要する情報システムをいう。


 17年6月末現在において、最適化計画の策定対象となったのは21共通業務・システム及び56個別業務・システム、計77業務・システムであり、これらに係る16年度の運用等経費は、政府調査によると4653億円となっている。

(イ)レガシーシステムの状況

 77業務・システムに含まれるレガシーシステムは、16省庁の36システムであり、必要の都度、機能改善等の改良を加えながら長期間運用しているものが多い。その運用等に係る契約の16年度支払金額は3458億円となっており、最適化計画の策定対象となっている77業務・システムに係る支払金額の74.3%を占めている。

(ウ)データ通信役務契約の状況

 データ通信役務契約のうち16年度の利用料金が1億円以上のものは、9件であり、支払金額は1576億円となっている。また、これらの契約はすべて、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下「NTTデータ」という。)を相手方として長期にわたり長期継続契約を行っており、30年以上も継続しているものもある。
 そして、契約約款では、利用者の都合により契約の解除が行われる場合には、契約解除時から料金算定期間終了時までに係るソフトウェア使用料等をNTTデータが定めた方法で算出し、その額(以下「残債」という。)を利用者が支払うことが定められている。9件のデータ通信サービス契約に係る16年度末時点の残債は、総額1642億円に上っている。また、このうち、ソフトウェアの利用を含む契約7件に係る16年度末におけるソフトウェアの著作権の帰属先をみると、1件を除きすべてNTTデータとなっている。
 データ通信サービスについては、上記の残債の状況に示されるように、実質上、過去に発生したシステム開発費用の繰延払いとなっており、また、利用料金の構成要素のうち、ハードウェア等の使用料については、これを分離して調達することが可能であれば、各年度における契約金額が確定し、長期継続契約になじまないと考えられる。これらのことなどから、今後、同種内容の調達を行うに当っては、必要に応じて国庫債務負担行為の活用なども検討し、将来にわたって発生する実質上の債務の内容を明らかにして透明性を高めることが望まれる。

イ 業務・システムの最適化計画の策定状況

 17年度末までに最適化計画を策定することとされた77業務・システムについて、委託費として支払われた金額は、刷新可能性調査の実施で20億円、見直し方針の策定で3億円、最適化計画の策定で54億円、計78億円となっている。
 電子政府構築計画において、CIO等に対する支援、助言等を行う者としてCIO補佐官を配置することとされており、17年度では、21省庁が配置している。そして、最適化計画策定におけるCIO補佐官の関与は、最適化計画の信頼性の向上のためにも重要であるが、87最適化計画(注4) のうち、CIO補佐官が最適化計画のレビューに参加していないものは60.9%となっている。

 87最適化計画 77業務・システムの最適化計画の中には、複数の業務・システムを併せて1つの最適化計画を策定したり、共通業務・システムにおいて各省庁の業務・システムごとにそれぞれ最適化計画を策定したりしているものなどがあるため、合計は87最適化計画及び99業務・システムとなる。


ウ 最適化計画で示された経費削減効果と課題

(ア)最適化計画を実施した場合の費用の推移

 最適化計画を策定するに当たっては、最適化工程表を作成し、最適化全体に係る経費及び業務処理時間の低減効果を原則として数値により明らかにすることとしている。そして、CIO連絡会議から作成するよう事務連絡が発出されている最適化効果算出票には、〔1〕各年度の最適化に要する投資額(開発経費)、〔2〕最適化実施前後の業務・システムに係る経費(運用経費)及びその削減効果、〔3〕最適化実施前後の業務処理時間及びその削減効果を記載することとしている。
 そこで、本院において、最適化効果算出票を作成している93業務・システムについて最適化効果算出票等により試算したところ、全体では、最適化計画を実施するための開発経費は、17年度から24年度までの累計額で約4300億円となるが、17年度まで毎年約4000億円規模であった運用経費は、最適化計画実施後の24年度以降は3000億円台へと25%程度削減される見通しとなっている。

(イ)最適化による経費削減効果

 各業務・システムについて、最適化効果による開発経費回収時期の違いにより93業務・システムを分類すると、おおむね以下の5類型に分類することができる。

I型:
システムの運用経費の削減効果だけで、開発終了年度から2年以内に開発経費の回収が見込める業務・システム(40業務・システム)
II型:
システムの運用経費の削減効果だけで、開発終了年度から2年超4年以内の時期に開発経費の回収が見込める業務・システム(16業務・システム)
III型:
システムの運用経費の削減効果だけでは開発終了年度から4年以内に開発経費の回収が見込めないが、業務処理時間の削減効果を考慮した場合には開発経費の回収が見込める業務・システム(14業務・システム)
IV型:
主として国民の利便性向上等の間接的効果を目的としているため、システムの運用経費の削減効果だけではなく、業務処理時間の削減効果を考慮しても4年以内に開発経費の回収が見込めない業務・システム(21業務・システム)
V型:
最適化前にはシステムが存在せず新規にシステムを構築するため、システムの運用経費の削減効果が発生しない業務・システム(2業務・システム)

図2 I型からV型の類型図

図2I型からV型の類型図

 I型及びII型については、運用経費の削減効果だけでおおむね4年以内に開発経費の回収が可能であるとしているが、その効果が実現できるようシステムの開発及び運用状況を管理していくことが重要である。
 また、III型については、システムの開発及び運用状況だけでなく、業務処理時間の削減効果の実現に向けて業務の改善と見直しを図っていくことが重要である。
 さらに、IV型については、国民の利便性向上等の間接的効果を目的として最適化計画を策定しているものが多いことから、所期の効果が得られているかを検証すると同時に、最適化後の間接的効果が最大限に発揮されるよう、定期的なモニタリングによる効果測定をするなど十分な管理を行っていくことが重要である。

エ 最適化の精度の確保とその課題

(ア)機能情報関連図の整合性

 最適化計画の策定に当たっては、標準記述様式の一つである機能情報関連図(以下「DFD」という。)を基に他の標準記述様式を作成することとしている。
 そして、DFDを作成している66最適化計画について、DFDの0階層図及び1階層図について、機能間の情報の流れに不整合がないか検査した。その結果、DFDの作成過程において確認が十分でなかったなどのため、情報の流れの記載に不整合を生じている箇所が、47最適化計画において831箇所と多数見受けられた(図3参照) 。 各省庁においては、今後、最適化を実施するに当たり、DFDを含め、標準記述様式を必要に応じて修正するなどの見直しを行う要がある。

図3 DFDの不整合の模式図

図3DFDの不整合の模式図

注(1)
 1階層図(予算)では「○○省」から「予算」へ情報の流れの記載があるが、0階層図では記載がないもの
注(2)
 0階層図では「原課」から「予算」へ情報の流れの記載があるが、1階層図(予算)では記載がないもの
注(3)
 1階層図(予算)では1階層図(支払)へ情報の流れの記載があるが、1階層図(支払)では記載がないもの

(イ)業務・システムの最適化へ向けての調整

a システムの設計・開発に当たっての調整

 特に連携の必要性が高いと考えられる次の3業務・システムについて、情報システムの設計・開発段階における他の業務・システムとの間の調整状況を調査した。
〔1〕 人事・給与等業務(人事院・総務本省・財務本省)については、システム概要設計書を確認したところ、接続が確認できたのは共済業務と国有財産関係業務だけであり、研修・啓発業務ほか6業務・システムについては、接続が確認できない状況となっていた。人給情報システムは、既に開発まで終了しているため、4共通業務・システムについては、要求する情報や接続方法によって、その改修が必要となり、また、3個別業務・システムについては、今後、人給情報システムとの調整を要する場合がある。
〔2〕 官房5業務(注5) (経済産業本省)については、予算・決算業務及び公共事業支援システムとは調整を行っているが、研修・啓発業務ほか6業務・システムは具体的な調整をする段階にまで至っていないとして、これらの業務・システムとは仕様等の調整を行っていない状況であった。

 官房5業務 「物品管理」、「物品調達」、「謝金・諸手当」、「補助金」及び「旅費」を合わせて「官房5業務」という。



〔3〕 予算・決算業務(財務本省)については、官庁会計システムと連携の必要がある国有財産関係業務ほか2共通業務・システムについて調整を行っている。また、特別調達資金に関する業務は、20年度以前に運用を開始する場合、最適化計画に基づき構築される官庁会計システムに対するインターフェースの構築に加えて、現在稼動しているシステムに対するインターフェースの構築も必要となることから、官庁会計システムの本格運用と同時にシステムを運用することとしている。

b 共通業務・システムにおける調達に当たっての調整
 人事・給与等業務の最適化に当たっては、ソフトウェアを人事院及び総務本省が開発して、パッケージとして各省庁に配布し、各省庁は、ハードウェアの調達等を行うという分散運用方式で実施することとなっていた。しかし、開示された設計書等では、自省庁の人事・給与システムとして使用するには不十分であると判断したことなどから、予算要求を見送っている省庁も見受けられた。

オ レガシーシステム及びデータ通信サービス契約の見直しの方向性

(ア)レガシーシステム刷新に向けた計画

 レガシーシステムに関しては、〔1〕汎用パッケージソフトウェアの利用、〔2〕オープンシステム化(注6) 、〔3〕ハードウェアとソフトウェアのアンバンドル化(分離調達)、〔4〕随意契約から競争契約への移行、〔5〕データ通信サービス契約の見直し、〔6〕国庫債務負担行為の活用の6項目の可能性について、刷新可能性調査等を通じて検討した結果又は今後の検討方針を、見直し方針において明らかにすることとしている。
 そこで、36レガシーシステムの刷新可能性調査報告書等について、上記〔1〕から〔6〕までの各項目の記載の有無をみたところ、すべての項目について記述しているものは、見直し方針では8レガシーシステム、最適化計画では13レガシーシステムにとどまっている。

 オープンシステム化 個々のメーカーが独自に開発してきたシステムに対して、広く公開された規格や仕様に従ってシステムを構築すること


(イ)データ通信サービス契約の検討状況

 データ通信サービス契約のうち、16年度の利用料金が1億円以上の9件について、17年度中に契約を解消したものが1件、今後解消するとしているものが8件となっている。
 そして、8件のうち料金算定期間の設定がない1件を除く7件について、今後の契約解消予定時期についてみると、16年度末時点で設定されていた料金算定期間終了前に解消するとしているものは4件、同期間終了時に解消するとしているものは2件、同期間終了後も契約を継続し、その後解消するとしているものは1件となっている。
 また、料金算定期間終了前に契約を解消するとしている4件について、16年度末現在の残債総額1538億円の処理方法をみると、一括処理するとしているものは3件、新たに算定した月額料金により処理するとしているものは1件となっている。

(6)右を踏まえた決算内容の検証

 上記の(1)から(5)までの検査結果を踏まえ、国の情報システム関係の予算執行の状況について検証した。
〔1〕 国における情報システム関係に要した経費の額は、決算関係書類から直ちに把握することはできない。そこで、行政機関については情報システム関係予算の大宗を占める最適化計画策定対象の77業務・システムに係る契約を、また、国会、裁判所及び会計検査院については100万円以上の契約を確認したところ、16年度の支払金額は合計4773億円と多額に上っている。
 契約の相手方をみると、支払金額が最も多い株式会社エヌ・ティ・ティ・データが全体の支払金額の36.2%となっており、支払金額の上位5者で全体の65.4%を占めていた。
 また、契約方式をみると、競争契約の割合は低い状況となっていた。
〔2〕 保守・運用業務に係る契約の契約方式をみると、随意契約の占める割合は件数で91.8%、金額で96.0%となっており、競争性は低くなっていた。また、各契約の落札比率をみると、随意契約においては、競争契約、とりわけ複数応札の場合に比べて高くなっていた。そして、仕様書における作業項目別作業量等の具体的な項目の記載状況をみると、随意契約となっているものにおいては、その記載率は低い状況となっていた。
 保守・運用契約の予定価格の算定においては、SE等の人件費の採用単価は、契約によって相当の開きがあるなどしており、また、積算の標準化が進んでいない業務内容については、事後検証が特に重要であると考えられるが、契約後の事後検証及び検証結果の反映は必ずしも十分に行われていない状況となっていた。
〔3〕 「電子申請等関係システム」について、電子申請が可能な手続の状況をみると、16年度において、書面による申請も含めて申請件数が全くない手続が汎用システムで52.4%、専用システムで23.7%ある。
 そして、16年度の電子申請率をみると、汎用システムと専用システムの合計で0.94%となっている。このように電子申請率が低くなっている要因として、利用者にとって、事前の準備作業や電子証明書の取得のために手間と経費を要することなどがあると考えられる。
 また、各省庁の「電子入札システム」の利用状況をみると、工事の入札では電子入札率が80%程度と高いものの、物品・役務の入札では電子入札率は30%程度と相対的に低い状況となっていた。
〔4〕 17年10月末現在における各省庁の内部部局の情報セキュリティ対策状況をみたところ、サーバルーム、LAN、データ、PCの利用に関するセキュリティ対策については、各省庁によって区々となっており、また、私用PCの持込みに関する対策については、ほとんどの省庁において十分とはいえない状況となっていた。そして、これらの対策状況のバランスを本院において数値化し全体でみると、特にデータ及び私用PCに関するセキュリティ対策が低くなっていた。
 また、ポリシーの策定時にリスク評価を実施している省庁は30.4%にとどまり、ポリシーの遵守状況を確認するなどのための監査班を設置している省庁は少なく、ポリシーを実施するに当たっての実施手順書を全く作成していない省庁も見受けられた。
〔5〕 最適化計画策定対象の77業務・システムの運用等経費は、16年度において4653億円となっているが、このうち、36レガシーシステムの運用等経費は3458億円(74.3%)を占めていた。また、利用料金が1億円以上のデータ通信役務契約9件の支払総額は1576億円もの規模となっており、これらはいずれも長期間にわたる長期継続契約の対象とされているが、16年度末時点における残債が総額1642億円に上っていることや、ソフトウェアの著作権が契約相手方に帰属していることなどの課題を抱えている。
 最適化計画で示された経費削減効果についてみると、運用経費の削減効果だけで4年以内に開発経費の回収が見込めるものもあるが、業務処理時間の削減効果を含めないと4年以内に開発経費の回収が見込めないものもあった。
 また、最適化の精度の確保が今後のシステム開発等に及ぼす影響についてみると、最適化計画の中で作成することになっているDFD(機能情報関連図)において、不整合な箇所が多数見受けられた。さらに、他の業務・システムとの連携の必要性が高い業務・システムにおいて必要な調整が残されているものや、共通業務・システムの中には、開示された設計書が、各省庁にとって不十分であったことから、その影響を受けて機器の導入時期の変更に至ったものがあるなどの状況も見受けられた。

3 検査の結果に対する所見

 各府省等におけるコンピュータシステムについて、参議院からの要請に基づき、6項目に関して検査を実施した。
 これらの検査結果は、次のとおりである。
ア 契約については、その競争性が低い状況となっており、また、随意契約としているものの仕様書をみると、作業項目別作業量等の具体的な項目の記載に欠けているものが多い。さらに、予定価格の算定においては、体系的な積算マニュアルが整備されておらず、採用単価は契約により相当の開きがあり、さらに、契約後の事後検証及び検証結果の反映は必ずしも十分行われていない状況となっている。
イ システムの利用状況については、電子申請等関係システムの電子申請率は、全体では低くなっており、また、電子入札システムの電子入札率は、工事の入札では高いものの、物品・役務の入札では相対的に低い状況となっている。
ウ 情報セキュリティについては、17年10月末現在では、データ及び私用PCに関するセキュリティ対策が十分でないなどの状況となっており、また、ポリシー遵守状況の確認をするなどのための監査班を設置している省庁は少ないなど管理体制が必ずしも十分でない状況である。
エ 業務・システムの最適化に向けた取組については、最適化計画で示されている効果を発現させるための課題が見受けられたり、DFD(機能情報関連図)において不整合な箇所が多数見受けられたり、共通業務・システムの中には必要な調整が残されているものがあったりなどしている。
 国の情報システム関係については多額の予算が執行されているが、上記のように、契約における競争性・透明性、システムの利用、情報セキュリティ、業務・システムの最適化それぞれについて、多くの課題が見受けられた。
 したがって、今後、以下のような取組を進め、もって国の情報システム関係予算の経済的、効率的、効果的な執行を図ることが必要と考えられる。
ア 情報システム関係の契約に当たり、各省庁は、次のことに努めること
(ア)仕様書の記載内容をより具体化したり、業務内容を見直して競争可能な業務を別途契約にしたりなどして、随意契約から競争契約への移行を検討し、契約の競争性、透明性を向上させること
(イ)予定価格の算定における体系的な積算マニュアルが整備されていない業務の契約については、SE等の人件費単価や作業時間等に係る事後検証を的確に行ってその検証結果を反映させるとともに、事後検証結果や各種資料を踏まえて統一的な考え方を整理するなどして、積算の合理性の向上を図ること
イ システムの利用に関し、電子申請等関係システムについては、次のことを実施するなどしてシステムの利用の拡大を図り、もって利用者である国民の利便性の向上に努めるとともに、電子入札システムについても、各省庁のシステムで利用できる電子証明書の種類の拡大や、入札関係手続のオンライン化対象の範囲の拡大を検討するなどして、入札参加希望者の負担軽減と行政事務の簡素化・合理化に資すること
(ア)各省庁においては、手続のオンライン化について、事務・事業の見直しも含め、その必要性、経済性を十分検討するとともに、利便性に対する国民の意見、要望も広く聴取し、そのニーズを的確に把握し、オンライン利用促進のための行動計画に沿った方策を着実に実行していくこと
(イ)国全体としても、電子証明書の取得に必要な住民基本台帳カードやICカードリーダライタの普及に取り組むこと
ウ 情報セキュリティ対策に当たって、次のことを実施するなどして、情報セキュリティ水準を更に高めること
(ア)各省庁において、各セキュリティ対策の強化を図るとともに、情報セキュリティのPDCAサイクルの確実な実施を図ること、また、そのための管理体制の整備を図ること
(イ)国全体としても、統一基準等に沿って各種セキュリティ対策を進めること
エ 業務・システムの最適化に向けて、各省庁は次のことを実施するなどして、最適化を円滑に進めるとともに、最適化計画が状況の変化に対応したものになっているかについても常に留意すること
(ア)最適化計画で示された効果が発現されるよう、最適化の実施状況を的確に管理していくこと
(イ)DFDを含めた標準記述様式の記述に関しては、最適化の実施に当たり必要に応じて修正し、他の業務・システムとの連携の必要性が大きい業務・システムや多くの省庁に影響を及ぼす共通業務・システムについては、工程の管理や関係省庁間の連携、調整を密に図ること
(ウ)レガシーシステムについては、最適化計画に沿った見直しを進め、競争性、透明性を高めること
(エ)データ通信サービス契約については、残債やソフトウェアの著作権の帰属の課題に留意しつつ、現行の長期継続契約についても見直し、同種内容の調達を行うに当たっては、必要に応じて国庫債務負担行為を活用することなども検討し、透明性を高めること

 本院としては、最適化計画の実施に向けた政府の動きについて注視するとともに、国のコンピュータシステムについて、今後とも多角的な観点から検査を実施していくこととする。