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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成18年10月

地方財政の状況に関する会計検査の結果について


(3)職員の病気休暇等の制度の状況

ア 国の制度

 国家公務員の勤務条件の内容は一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号)及び人事院規則15―14(職員の勤務時間、休日及び休暇)等で定められている。勤務条件のうち病気休暇及び特別休暇については、次のように規定されている。

(ア)病気休暇

 休暇の期間は、療養のため勤務しないことがやむを得ないと認められる必要最小限度の期間とされ、私傷病による療養の場合は、休暇が90日を超えると給与が半減されることになっている。また、長期の休養を要すると認められた場合には、病気休暇から休職に移行することが通常であり、私傷病による休職の場合には、給与の8割相当額が休職者給与として1年間支給されることになる。

(イ)特別休暇

 選挙権等の行使、証人等としての出頭、ドナー休暇、ボランティア休暇、結婚休暇、産前・産後休暇、子の保育、妻の出産、子の看護、親族の死亡、父母の法要、夏季休暇など17種類別に、休暇の期間が定められている。

イ 地方公共団体の制度

 総務省では、地方公共団体の勤務条件等に関する調査を毎年度実施しており、16年度の調査では、都道府県、政令指定都市、市区町村の2,465団体を対象として、病気休暇中の給与の取扱いの状況、主な特別休暇等の状況などの事項について調査している。そして、公表されている調査結果は、〔1〕病気休暇中の給与の取扱いの状況については、取扱いが国と同等の団体が1,858団体、取扱いが国と異なる団体が607団体であること、〔2〕主な特別休暇等の状況については、国に制度のない休暇を導入している団体があり、家族の祭日(法要)休暇が890団体、妊娠障害休暇が843団体、リフレッシュ・永年勤続休暇が730団体等であることなどとなっている。

(ア)病気休暇

 実地検査の対象とした15道府県及び226市町村における17年4月1日現在の病気休暇の期間及び休暇中の給与の取扱いの状況は、表2―14のとおりである。国の制度と同様に、休暇期間は必要最小限度の期間として、休暇が90日を超える場合は給与が半減される制度となっている団体も50(全体の21%)あるが、休暇期間の上限を具体的に規定している団体が多く、その中では上限を90日としている団体が148(全体の61%)で最多となっている。

表2―14 病気休暇の休暇期間及び給与の取扱い
区分
必要最低限度の期間で90日超は給与が半減される(国と同取扱い)
国と異なる取扱い
必要最小限度の期間だが、給与の取扱いが国と異なる
休暇期間の上限を具体的に規定する
90日
120日
180日
1年
北海道
33団体
17
1団体―180日超で半減
13
 
2
 
山形県
18団体
 
 
18
 
 
 
栃木県
12団体
 
 
 
12
 
 
千葉県
13団体
4
1団体―180日超で半減
6
2
 
 
山梨県
12団体
12
 
 
 
 
 
長野県
21団体
 
 
21
 
 
 
静岡県
25団体
 
 
15
1
9
 
滋賀県
13団体
7
2団体―180日超で半減
1団体―180日超で無給
1
 
2
 
大阪府
12団体
6
1団体―60日超で無給
2団体―90日超で無給
3
 
 
 
兵庫県
12団体
 
1団体―90日超で無給
1団体―90日超で半減、180日超で無給
9
1
 
 
鳥取県
12団体
1
 
11
 
 
 
岡山県
12団体
 
 
12
 
 
 
愛媛県
12団体
 
 
11
 
1
 
福岡県
14団体
3
1団体―90日超で半減、120日超で無給
8
 
1
1
宮崎県
20団体
 
 
20
 
 
 
241団体
50
11
148
4
27
1
(注)
 特定疾患や精神疾患などについては一般の傷病とは別に休暇期間を規定している団体もあるが、上表は一般の傷病に係る期間で区分している。


 また、病気休暇から休職に移行した場合の休職者給与の支給期間及び支給割合の状況は、表2―15のとおりであり、196団体(全体の81%)では、国と同様に、給与の8割相当額が休職者給与として1年間支給されることになっている。

表2―15 休職者給与の支給期間及び支給割合の区分別団体数
区分
1年で給与の8割(国と同取扱い)
国と異なる取扱い
2年8割
1年10割
その他
北海道
33団体
28
1
 
1団体―1.5年給与10割+1.5年給与7割
1団体―1年給与8割+1年給与5割+1年給与3割
1団体―1年給与2/3割+1年給与5割+1年給与1/3
1団体―1年給与8割+2年給与5割
山形県
18団体
18
 
 
 
栃木県
12団体
12
 
 
 
千葉県
13団体
11
 
1
1団体―1年給与8割+2年給与1/3
山梨県
12団体
12
 
 
 
長野県
21団体
 
21
 
 
静岡県
25団体
24
1
 
 
滋賀県
13団体
13
 
 
 
大阪府
12団体
11
 
 
1団体―1年給与8割+2年給与1/3
兵庫県
12団体
8
 
2
1団体―2年給与10割
1団体―1.5年給与10割+0.5年給与8割
鳥取県
12団体
10
 
 
2団体―1年給与9割
岡山県
12団体
6
3
1
1団体―3年給与10割
1団体―1年給与10割+1年給与8割+1年給与5割
愛媛県
12団体
12
 
 
 
福岡県
14団体
11
1
 
1団体―1.5年給与10割
1団体―勤続年数により2〜8月給与10割+1年1月〜1年10月給与8割
宮崎県
20団体
20
 
 
 
241団体
196
27
4
14
(注)
 特定疾患や精神疾患などについては一般の傷病とは別に支給期間及び支給割合を規定している団体もあるが、上表は一般の傷病に係る期間で区分している。


(イ)特別休暇

 実地検査の対象とした15道府県及び226市町村では、休暇に関する条例で特別休暇を定めている。また、いくつかの団体では、地方公務員の服務に関する制度である職務専念義務の免除という形で条例を定めることなどにより、実質的に特別休暇と同様な取扱いが行われている。上記の団体が定めている特別休暇等の数の状況について、特別休暇等数の区分別に該当団体数を示すと、表2―16のとおりであり、国の17種類より多くの特別休暇等を設けている団体が217(全体の90%)となっている。

表2―16 特別休暇等数の区分別の該当団体数
区分
16以下
17
18〜20
21〜23
24〜26
27〜29
30以上
北海道
 
3
11
12
6
 
1
山形県
 
 
 
13
5
 
 
栃木県
 
 
7
5
 
 
 
千葉県
 
 
 
8
4
 
1
山梨県
9
2
1
 
 
 
 
長野県
3
 
4
12
2
 
 
静岡県
 
 
4
15
5
1
 
滋賀県
 
 
8
5
 
 
 
大阪府
 
 
1
2
6
2
1
兵庫県
 
1
6
5
 
 
 
鳥取県
 
 
 
 
 
9
3
岡山県
 
 
 
5
3
2
2
愛媛県
 
 
 
7
4
1
 
福岡県
 
 
8
6
 
 
 
宮崎県
3
3
6
4
4
 
 
15
9
56
99
39
15
8
217

 特別休暇の種類別の状況は、表2―17のとおりである。家族の祭日(法要)休暇、妊娠障害休暇、リフレッシュ・永年勤続休暇など国に制度がない特別休暇を導入している団体があるが、一方、国に制度がある特別休暇でも地方公共団体における導入率が低いものもみられる。なお、国に制度がない特別休暇の中には、国においては病気休暇又は職務専念義務の免除が認められているものがある。

表2―17 特別休暇の種類別の導入団体数
休暇名
道府県
市町村
導入率
<国に特別休暇の制度があるもの>
〔1〕選挙権等の公民権の行使
〔2〕証人、鑑定人等としての官公署への出頭
〔3〕骨髄移植のための骨髄液の提供
〔4〕災害時における被災者、障害者、高齢者等を支援するボランティア活動
〔5〕職員の結婚
〔6〕職員の出産(産前)
〔7〕職員の出産(産後)
〔8〕生後1年に達しない子の保育
〔9〕職員の妻の出産の付添等
〔10〕妻が産前産後期間中の男性職員の育児参加のための休暇
〔11〕負傷又は病気の小学校就学前の子の看護
〔12〕親族の死亡に伴う行事等
〔13〕父母の追悼のための特別な行事
〔14〕夏季における盆の行事等
〔15〕災害により滅失し、または損壊した職員の現住居の復旧作業等
〔16〕災害、交通機関の事故等による出勤困難
〔17〕災害時における退勤途上の危険回避
 
15
15
15
15
15
15
15
15
15
13
13
15
14
15
15
15
12
 
225
226
222
217
226
225
226
226
224
72
198
226
214
223
220
226
162
 
240
241
237
232
241
240
241
241
239
85
211
241
228
238
235
241
174
 
(99.5%)
(100%)
(98.3%)
(96.2%)
(100%)
(99.5%)
(100%)
(100%)
(99.1%)
(35.2%)
(87.5%)
(100%)
(94.6%)
(98.7%)
(97.5%)
(100%)
(72.2%)
<国に特別休暇の制度がないもの>
生理休暇
母子保健法に基づく検診等
妊娠中の通勤緩和
妊娠障害
流産や分娩異常等
母体・胎児の健康保持
厚生計画の実施
子育て休暇
家族の看護休暇
人間ドック
家族の祭日
家族の結婚
家族休暇
結核の予防に関するもの
冬季休暇
盆休暇
祭典休暇
事務・事業の停止
地方公務員法の規定に基づく措置要求等
災害時における住居の防災
国体等競技会への参加
感染症予防
組合休暇
リフレッシュ・永年勤続休暇
その他の休暇
通信教育等への参加
運転免許証更新等
献血
メーデー参加
公の職務の執行(公的な場での講義・講演又は公的な組織への参加等)
宿直勤務中繁忙であった場合翌日
障害を有する職員の特別休暇
更年期障害休暇
警察の勤務軽減
被爆者に対する健康診断
職員の予防接種
 
13
15
14
12
1
6
2
3
2
1
8
0
4
2
0
0
0
4
4
1
1
10
0
9
0
3
0
0
0
1
0
1
0
1
1
1
 
173
169
130
114
6
60
23
5
41
26
83
10
7
2
3
1
5
27
24
15
12
171
21
76
12
27
6
4
11
10
1
1
1
0
0
8
 
186
184
144
126
7
66
25
8
43
27
91
10
11
4
3
1
5
31
28
16
13
181
21
85
12
30
6
4
11
11
1
2
1
1
1
9
 
(77.1%)
(76.3%)
(59.7%)
(52.2%)
(2.9%)
(27.3%)
(10.3%)
(3.3%)
(17.8%)
(11.2%)
(37.7%)
(4.1%)
(4.5%)
(1.6%)
(1.2%)
(0.4%)
(2.0%)
(12.8%)
(11.6%)
(6.6%)
(5.3%)
(75.1%)
(8.7%)
(35.2%)
(4.9%)
(12.4%)
(2.4%)
(1.6%)
(4.5%)
(4.5%)
(0.4%)
(0.8%)
(0.4%)
(0.4%)
(0.4%)
(3.7%)

 また、国に制度がある特別休暇のうち、結婚休暇及び夏季休暇の付与日数状況について、付与日数の区分別に該当団体数を示すと表2―18のとおりとなっていて、国の制度における付与日数(結婚休暇は5日、夏季休暇は3日)より多い日数を設定している団体もみられるが、同じ付与日数となっている団体が、結婚休暇で123(全体の51%)、夏季休暇で138(同57%)となっている。

表2―18 結婚休暇及び夏季休暇の付与日数の区分別の該当団体数
付与日数の区分
結婚休暇
夏季休暇
5日
5.5日〜7日
7.5日〜9日
9.5日〜
3日
3.5日〜5日
5.5日〜7日
7.5日〜9日
9.5日〜
北海道
21
8
2
2
26
7
 
 
 
山形県
7
11
 
 
13
1
4
 
 
栃木県
9
3
 
 
9
 
3
 
 
千葉県
6
6
1
 
 
1
3
8
1
山梨県
11
1
 
 
9
3
 
 
 
長野県
14
7
 
 
14
7
 
 
 
静岡県
13
10
 
2
22
3
 
 
 
滋賀県
7
5
1
 
7
1
4
1
 
大阪府
 
4
6
2
 
2
4
6
 
兵庫県
6
6
 
 
3
1
4
4
 
鳥取県
2
9
 
1
9
3
 
 
 
岡山県
3
 
8
1
2
9
1
 
 
愛媛県
6
6
 
 
1
3
6
2
 
福岡県
5
9
 
 
6
5
3
 
 
宮崎県
13
6
 
1
17
3
 
 
 
123
91
18
9
138
49
32
21
1